猫がお互いに『お尻の匂いをかぐ』3つの理由 どんなメッセージを交換している?

猫がお互いに『お尻の匂いをかぐ』3つの理由 どんなメッセージを交換している?

猫の様子を見ていると、ときに「?」という行動に出ることがあります。今回のテーマ、お尻の匂いのかぎ合いもまた、そのひとつでしょう。なぜ猫はお尻の匂いをかぎたがるのか、3つの視点に分けて解説します。猫のことをより深く知るためのきっかけにしてみてください。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.猫流のあいさつ

鼻をくっつけ合う猫たち

私たち人間にとってあいさつは、円滑な人間関係を築くために欠かせない日常習慣です。

同じように、猫の世界にもあいさつがあって、何かですれ違ったときなどに、「やあ、元気かい?」という感じで気軽に交わされます。

猫のあいさつで一般的なのは、お互いに鼻を突き合わせる行動です。鼻先や口のまわりの匂いをかぐと、どんな素性の猫であるか、すぐに判断できます。人間世界で言えば、名刺交換のようなものかもしれません。

同様に、お尻の匂いをかぎ合う行為もあいさつの一種です。顔まわりに比べると、お尻の方が断然、匂いが際立っています。

猫にとっては、より深い情報が得られるのでしょう。お尻のかぎ合いは、鼻先の交わし合いよりも、さらに踏み込んだあいさつと言えます。

ちなみに、愛猫が飼い主さんにあえてお尻を向けるのは、親密さの証です。ときに、合わせ技のごとくしっぽを顔に巻きつけてくることもあります。

2.個人情報のやりとり

匂いをかぐ茶トラ猫

前述したフランクなあいさつのほかにも、より込み入った個人情報のやりとり、という側面があります。

猫のお尻まわりにはフェロモンを分泌する臭腺があって、健康状態をはじめ、食生活、発情の有無などの情報がたくさん詰まっています。

猫は相手のお尻の匂いをかぐだけで、認証パスワードなしで個人データにアクセスできるわけです。

このケースでのやりとりには、はじめに紹介したあいさつと違って、より親密なコミュニケーションの意味合いがあります。

警戒する相手に大切なお尻をわざわざ見せることはありません。お尻をかぎ合う仲は、それなりに気心の知れた間柄です。

同時に、猫は、お尻の匂いをかぎ合うことで、お互いの力関係を見極めている、とも言われています。相手の匂いをかごうとして、お尻を奪い合うかのようにその場をぐるぐる回るのは、そのためです。

3.匂いをかぐ時間が長い場合、相手猫が病気かも

匂いをかぐ猫のアップ

単独で狩りをするため、猫には優れた感覚能力が備わっています。たとえば、聴覚はざっと言って人間の4倍です。匂いをかぎ分ける嗅覚もまた、野生時代からのサバイバルの結果、鋭く研ぎ澄まされています。特に、食べ物の腐敗臭には敏感です。

実は、お尻の匂いによって、相手の体調不良などの健康トラブルを察知できる、と考えられています。その際にヒントになるのが、お尻をかぐ時間です。ふだんのあいさつよりもはるかに長いと、病気などの可能性を感じ取っています。

もし多頭飼いのおうちで、愛猫がお尻の匂いを熱心すぎるほどかいでいた場合、相手猫が健康上の問題を抱えているせいかもしれません。病気の早期発見のため、気づいた時点で、動物病院に連れていってみてください。

まとめ

お尻の匂いをかぐ猫

簡単にまとめると、猫のお尻のかぎ合いは、人間で言うところのあいさつの一環であり、健康面などのプライベート情報を開示する行為です。

鋭い嗅覚によって、猫はお尻まわりに含まれたさまざまな情報を読み取り、日常のコミュニケーションに活かしています。今回の記事がみなさんの愛猫暮らしの手助けになれば幸いです。

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