愛猫との『チュー』は避けるべき?キスでうつる可能性がある病気2選

愛猫との『チュー』は避けるべき?キスでうつる可能性がある病気2選

愛猫と触れ合っていると、あまりの可愛さからチューしたくなってしまうことがありますよね。実はそのチューで、思わぬ病気に感染してしまっているかもしれません。本記事では、猫とキスをすることでうつる可能性がある病気をまとめました。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

1.トキソプラズマ症

食欲不振の猫

トキソプラズマ症は、「トキソプラズマ」という寄生虫が感染することで引き起こされる感染症です。

トキソプラズマは感染した猫の消化管の中で増えていき、排泄した糞便の中にオーシストと呼ばれる卵のようなものが含まれます。

感染した猫の糞便がついた足を毛づくろいした口に飼い主がキスをすると、二次感染を引き起こしてしまうので注意が必要です。

感染した場合の多くは無症状で経過しますが、発症すると以下のような症状が起こる可能性があります。

  • 発熱
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 肺炎
  • 黄疸

感染してもすべての猫に症状が現れるわけではありませんが、免疫が弱っている場合は発症リスクが上がることや、人間が妊娠中に感染すると流産の危険性があったり、胎児の健康状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。

予防のためには「猫とチューしないこと」「猫を完全室内飼いすること」「排泄物を素手で触らないこと」「トイレ掃除後は必ず手洗いを入念に行うこと」「妊婦はできる限り猫のトイレ掃除をしないこと」を徹底しましょう。

2.パスツレラ病

あくびする猫

パスツレラ病は、ほぼ100%の猫が口内に持っているといわれる「パスツレラ菌」に感染してしまうことで引き起こされる病気です。

パスツレラ菌は空気感染はしませんが「猫とキスをする」「舐められる」「引っかかれる」「噛まれる」といった行動によって人間にも感染してしまいます。

猫とキスをすることで口から感染してしまった場合は、気管支炎、肺炎、蓄膿症といった症状を伴います。

また噛まれたり引っかかれたりして感染した場合は、ケガした場所の痛みや発熱、腫れが起こるなど様々な症状を引き起こすので注意が必要です。

パスツレラ菌への感染を未然に防ぐためには、猫とキスなどの過剰な接触をしない、触れ合った後には必ず手洗いうがいを行うなどの対策を取ってください。

定期的に猫の爪切りをすることも予防に効果的な方法です。

猫から人へうつる病気に注意

診察される子猫

猫特有のものだと思われがちな病気でも、中には人間にも感染してしまう「ズーノーシス(人獣共通感染症)」と呼ばれる種類が存在します。

感染経路は様々ですが、ほとんどが猫とのキスを含めた過剰なスキンシップや、触れた後の手洗いうがいが十分でなかった場合などです。

猫のほとんどが原因となる菌を持っている感染症もあるため、日頃の生活から万が一に備えてしっかり予防をしていくことが大切です。

特にほかの猫と喧嘩をしたり、野生の虫や動物を食べる外猫はウイルスや寄生虫への感染リスクがより高くなっています。猫を飼うのであれば完全室内飼いにして、できる限り病原体との接触を減らすよう努めましょう。

まとめ

猫にキス

愛猫との触れ合いは何にも代えがたい瞬間であり、とても愛おしいものです。

しかし猫特有の病気だと思っていても、日々のスキンシップなどから人間に感染してしまうものもあります。感染後に現れる症状は複数あり、発熱や嘔吐など風邪のようなものから、肺炎や黄疸、脳炎や流死産といった重い症状が現れることもあります。

愛猫に触れたり、お世話をしたあとには手洗いうがいを欠かさず行い、猫の健康も飼い主自身の健康も守れるように努めましょう。

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