1.貴重なビタミンB群が摂取できる
猫は、必要以上のビタミンを体内に蓄えておくことができません。
しかし、ビタミンBは健康な体調をキープするのに必要な栄養素で、なかでもビタミンB1は、炭水化物を代謝してエネルギーに変えたり、心臓や肝臓、腎臓といった臓器の働きを正常化したり、猫の健康に大きな役割をもっています。
しかも、猫は犬の5倍もビタミンB1を必要とする動物なので、猫にとっては適量をきちんと摂取したい栄養素なのです。
とうもろこしにはビタミンB群が含まれていて、中でもビタミンB1とB2が豊富です。神経の伝達や成長促進、疲労回復にも役立つので、猫にとって摂取するメリットはあります。ただし、『ビタミンB群を期待するなら、とうもろこしの胚芽までも食べないと意味がない』ということも知っておきましょう。
また、とうもろこしのヒゲを好む猫もいますが、ひげや葉っぱは与えるのは禁止です。特に中毒成分は含まれていませんが、消化不良の原因となるほか、農薬やカビの付着も懸念されるからです。
2.糖質の過剰摂取のリスク
糖質の過剰摂取は、猫でも肥満を招きます。とうもろこしは糖質が多く、他の根菜類に比べても高カロリー。多量に与えると、糖尿病や呼吸器不全など、さまざまな病気のリスクも高くなってしまいます。
また、とうもろこしにはカリウムも含まれています。カリウムは余分な塩分を排出し、血圧を下げる力ももちますが、必要以上のカリウムを摂取するのは逆に体に負担がかかります。腎臓で処理が追いつかなくなり、腎臓病の発症リスクにつながってしまうのです。
腎臓病は猫がかかりやすく、死亡率も高い病気です。猫にとって、カリウムを摂取しすぎても、不足しすぎてもよくありません。そのため、腎臓病や持病のある猫にとうもろこしを与えるときは、かかりつけの医師に相談してから与えると安心です。
3.「食物繊維=整腸作用」は賛否両論
とうもろこしには、食物繊維が豊富に含まれています。もっとも含有量が多いのは、ひと粒ひと粒を包んでいる皮の部分。ここに含まれるセルロースという食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維です。
基本的に食物繊維は、排便リズムや腸環境を整える働きがあるとされていますが、過剰摂取は便を硬くしてしまうことを把握しておきましょう。
また食物繊維が豊富とされる薄皮の部分ですが、猫にとうもろこしを与えるときには、薄皮部分を取り除くことが推奨されています。猫の喉は人間よりも細いため、喉に詰まらせてしまう危険性があるからです。
もし、食物繊維を期待するなら、とうもろこしの薄皮をすり潰したり、細かく刻んだりする等の下処理をする必要があります。
与える場合の加工方法や注意点
猫に与えても良いとうもろこしの量は、1日に1粒か2粒程度にとどめるのが安心です。また生のままでは皮は固いので食べにくく、体内に入っても消化器官に負担がかかるので、必ず火を通しましょう。
調理方法としては、茹でるだけでなく、電子レンジでも、蒸すでも、実がしっかり加熱できていれば大丈夫です。そして、先述したように、茹で上がったとうもろこしでも薄皮ははずしましょう。葉やひげ、芯をあたえるのも禁止ですよ。
また、とうもろこしはとうもろこしでも、缶詰めのものはNGです。人間の嗜好にあわせて加工してあるため、思っている以上に塩分過多です。もちろん、とうもろこしを加工したポップコーンや市販のポタージュスープも禁止です。
猫に与えても良いのは、素材の状態のとうもろこしであることをお忘れなく。
まとめ
とうもろこしは、猫にとって絶対に必要な食材ではありません。与えるときは、調理方法や分量を守って、安全な範囲であたえましょう。
なお、とうもろこしは穀物です。猫の中には穀物アレルギーの子もいて、グレインフリー(穀物不使用)のキャットフードが売っているほど。そのため、愛猫が穀物アレルギーの場合は、絶対にとうもろこしは与えないようにしてくださいね。