1.出発時に焦る、怒る
病院に連れて行かれたことのある猫は、動物病院に行く前ぶれを察知することがあります。
収納庫からキャリーケースを出す音を聞いただけで、家の中で隠れてしまったり、キャリーバッグに入るのを嫌がって暴れたり…。
これは普段からキャリーに入り慣れていないからで、飼い主さんがキャリーを「病院に行く時だけに使う特別なもの」にしてしまっていることが原因です。
慣れていないものに入らなければいけないだけでも猫にとっては苦痛なのに、その上猫が素直にキャリーに入ってくれないと、飼い主さんが出発前にイライラしてしまいませんか?
猫は飼い主さんの喜怒哀楽を感じ取ることができます。顔色を伺って、おやつをおねだりに来る猫もいるほどです。
そのため、動物病院に連れて行く前に飼い主さんがイライラしたり焦ったりするのはNG行為に該当します。キャリーケースに入りたがらない猫を、無理やり押し込んだり怒ったりするのはもっとNGです。
このNG行為をしないためには、普段からキャリーケースやバッグに入る習慣をつけておき、病院に行く時は時間に余裕をもって準備を始めると良いですね。キャリーバッグをリビングの一角に「猫のお部屋」のような感覚で常に置いておいたり、キャリーバッグの中でおやつをあげたりするのもおすすめです。
2.抱っこで連れて行く
猫を動物病院に連れていく際に、犬のように抱っこで連れていくのは絶対にやめましょう。ハーネスやリードをつけていてもバスタオルでくるんでいても、です。
「キャリーバッグに入れるのが困難で…」という人もいるかもしれませんが、万が一猫がパニックになってしまうと、どんな動きをするか分かりません。
ハーネスとリードをつけていても抜けてしまう可能性は十分にあります。「パニックになった猫が逃げてしまった」という事故を起こさないために、猫は必ず何かに入れて病院に連れていきましょう。
また、「隠れることができていない」という意味で、猫を何にも入れないで抱っこで連れて行くのは猫にとっての大きなストレスとなります。
もし猫がキャリーバッグに入るのを拒んだり、キャリーケースを所有していなかったりするときは、猫を洗濯ネットに入れてみましょう。洗濯ネットに猫を入れると、猫の動きを制御できて脱走する心配がなくなるだけではなく、内容によっては洗濯ネットから猫を出すことなく処置を受けることができます。
キャリーにも洗濯ネットにも入れることが困難な猫はまず、大きなタオルで猫をくるんでみましょう。猫の動きを制御できるだけではなく、視界を遮って安心感を与えることができます。そして、タオルでくるまれた猫を洗濯ネットやキャリーに入れます。
猫を抱っこで病院に連れて行くことは、リスクしかありません。猫が病院嫌いにならないように、移動方法から不安要素と事故が起きる可能性をとりのぞく工夫をするのが大切です。
3.待合室での待ち方
警戒心が強く、場所が変わるととても緊張してしまう猫は、動物病院についてからも、不安でいっぱいです。ですから、待合室での待ち方も猫が病院嫌いになるかどうかの要因になります。
例えば、猫をキャリーケースから出すのはマナー違反であると同時に猫に恐怖を与えます。動物病院の待合室には、他の人やペットが診察を待っていることがあります。見知らぬ人や犬などと同じ空間にいることは、猫にとって非常にストレスフルなのです。
「キャリーケースの中は窮屈で不安だよね?」と思ってしまうのは人間の感覚で、猫としては狭くて暗いキャリーの中は安心できる環境。キャリーの上からタオルをかけて目隠しをするのも良いことです。
このように、待合室ではキャリーから出さずに、猫が「隠れられている」と思える状況を作ることが猫に安心感を与えます。愛猫のことが心配な場合には、キャリーバッグの外からやさしく声をかけたりそっと隙間からのぞくくらいにとどめましょう。
まとめ
イヤな記憶はなかなか忘れられず、強く記憶に残ります。さらに猫は、動物病院が自分の病気やケガを治してくれる場所ということはわからないので、家とは違う環境や物音、嗅ぎ慣れないニオイ、そして治療が怖いのはある程度しかたがありません。
しかし、移動の仕方や待合室での待ち方などによってストレスを軽減させることは可能です。
猫の病院嫌いを少しでも緩和するために、まずはキャリーに入ることに慣れさせ、移動中や待合室などでは猫が隠れていると思える状況を作り、飼い主さんはいつも通りの優しさで接したり、愛猫がリラックスできる工夫をしましょう。