猫の知っておくべき『肛門腺』に関する知識3つ!放置するリスクも解説

猫の知っておくべき『肛門腺』に関する知識3つ!放置するリスクも解説

猫の肛門には、肛門腺という袋があります。猫の体質によっては肛門腺のお手入れが必要なケースもあるので、猫を飼っている方は肛門腺に関する基礎知識を学んでおくとよいでしょう。猫の肛門腺の知識と、お手入れせずに放置した時のリスクを解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の肛門腺について知っておきたいこと

お尻のニオイを嗅ぐ猫

1.肛門腺は肛門にある袋のこと

肛門腺とは、猫の肛門の左右にある袋のことです。猫だけでなく犬にも肛門腺があり、肛門嚢と呼ばれることもあります。肛門腺には独特なニオイのする分泌物が溜まっていて、この分泌物は液体もしくはペースト状になっています。

肛門腺の分泌物は通常、排便する際に一緒に排出されています。また興奮した時や緊張した時に排出されることもあるので、愛猫のお尻から独特なニオイがしていることに飼い主さんが気づくこともあるかもしれませんね。肛門腺の分泌物が自然に排出されている場合は、肛門腺のお手入れをする必要はないでしょう。

2.肛門腺の役割は相手の認識&マーキング

肛門腺にはニオイのする分泌物が溜まるので、猫は肛門腺のニオイを嗅ぐことで相手を認識できます。

猫や犬がお互いのお尻のニオイを嗅ぎ合うのは、肛門腺のニオイから「この猫はどこの誰?」という相手の情報を得るためなのです。また「今日はどんな調子?」と相手の体調を確かめたり、挨拶をしたりする時にも肛門腺のニオイを嗅いでいるようですよ。

さらに肛門腺のニオイは、マーキングの役割も担っています。猫は縄張り意識が強いので、自分の肛門腺のニオイをつけることで「ここは自分の縄張りだよ!」とアピールしているのです。

3.肛門腺の分泌物が溜まり続ける場合はお手入れが必要

肛門腺に溜まった分泌物は自然と排出されますが、なかには分泌物が排出されづらく溜まり続けてしまう猫もいます。愛猫が肛門腺の分泌物を十分に排出ができていない場合は、飼い主さんが定期的にお手入れしてあげなくてはなりません。

溜まった分泌物は、親指と人差し指を左右の肛門腺の上に当てて、肛門に向かってぎゅっと押し上げるように絞れば排出できます。

肛門腺に溜まった分泌物を放置するリスク

動物病院でお尻を診てもらう猫

肛門腺の分泌物が溜まり続けているにもかかわらず、お手入れをせずに放置していると危険です。肛門腺に分泌物が溜まると、肛門腺が炎症を引き起こす「肛門嚢炎」や、肛門腺が破裂して皮膚が破れた部分から膿が出てくる「肛門腺破裂」になるリスクがあります。

「肛門嚢炎」や「肛門腺破裂」は動物病院で治療できますが、愛猫につらい思いをさせないために、炎症や破裂を引き起こす前に肛門腺絞りをしてあげましょう。

肛門腺に分泌物が溜まると、ムズムズしたり痒くなったりといった違和感があります。愛猫がお尻を気にして舐めていたり、床にお尻を引きずりながら歩いていたりする時は、分泌物が溜まってきているサインです。

サインに気づいた時が、肛門腺絞りをするべきタイミングです。そのまま放置せずに、早めにケアしてくださいね。肛門腺の分泌物の溜まり方は猫によって異なりますが、月に1回を目安にお手入れをすると、愛猫のお尻の健康を守れるでしょう。

まとめ

お尻をこちらに向ける子猫

猫は肛門腺のニオイにより、お互いを認識してコミュニケーションをとったりマーキングしたりしています。肛門腺の分泌物は排便時に一緒に排出されるのですが、排出できない体質の猫には定期的なお手入れが必要です。

飼い主さんが自宅で肛門腺絞りをしてもOKですが、やり方がわからない場合や上手にできる自信がない場合には、動物病院やトリミングサロンでやってもらうのがおすすめですよ。肛門腺の分泌物が溜まり続けると、病気の原因になるので注意してくださいね!

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