1.異常の早期発見
まず、愛猫に定期健診を受けさせるメリットとして挙げられるのが、「異常の早期発見」です。元々猫は体の不調を隠す傾向があり、目に見えて症状が表れたときは、かなり病気が進行しているケースがあります。健診を受けると、密かに悪くなっている部分が見つかる場合があるため、愛猫の健康にプラスに働くでしょう。
受け始めるタイミングとしては、飼い始めや不妊手術を受ける際などの若い時からが最適です。10歳までの成猫では年に1回、11歳以上になったら最低でも半年に1回受けるとよいとされています。
また、暑くも寒くもない時期に動物病院に連れて行くのが、一番愛猫に負担をかけずに済むでしょう。春は予防医療のため動物病院を訪れる犬が多いので、春より秋が猫が健診を受けるのに向いているかもしれません。
その猫の品種や性格、動物病院の体制などによっても定期健診を受けるおすすめのタイミングが異なるため、個々の猫の定期健診のタイミングについてはかかりつけの獣医師への相談をオススメします。
2.病気の進行を遅らせられる
定期健診により病気の早期発見をすることで、少ない負担で病気を治したり、治らない病気だとしても進行を遅らせるための治療を早く始めることができます。
たとえば多くの猫は高齢になると、「慢性腎臓病」にかかります。腎臓は一度悪くなってしまうと、元に戻ることはありません。
そのため、病気の進行を遅らせる治療をすることになるのですが、病気の進行度合いによって適切な治療内容は異なり、治療を早く始められれば始められるほど、病気が悪くなるまでの時間が長くなったりあまり悪化させることなく寿命を迎えさせてあげられる可能性が高くなります。
3.心配事が解消できる
日頃愛猫と暮らしていて、「病院に行くほどではないと思うけど、気になること」はありませんか?体についてだけではありません。愛猫の行動や仕草など、「なんであんなことをするのだろう?」と不思議に思った経験は、飼い主さんなら1度はあるはず。
定期健診は、そのような飼い主さんが日頃抱えている疑問を、解消できる時でもあります。気になることがあればメモをしておき、健診時に担当の獣医師に尋ねてみましょう。飼い主さんが異常ではなく単なる愛猫のくせだと思っていたような行動が、実は病気や環境による異常行動だということもあります。飼い主さんの疑問から何か異常がある可能性を獣医師が疑えば、重点的に調べてくれるはずです。
日頃の疑問を解消できることは、飼い主さんが安心して暮らせることにもなります。
4.健康なときのデータが分かる
病気になってしまったとき、また検査でわずかな異常値が見られたときには、若い頃からの健康時のデータが役に立ちます。当たり前ですが、猫によって血液検査での数値や画像検査でわかる臓器の状態などが少しずつ異なります。健康なときのデータが複数あれば、微妙な変化があったときに異常なのかどうかの判断がしやすくなります。
定期的に健診を受けておくと健康なときのデータが蓄積され、いざというときに愛猫の健康を守ることにつながるのです。
5.「生活の質」を上げられる
前項の「定期健診により病気の進行を遅らせられる」ことは、大切な「生活の質」つまり「クオリティオブライフ(QOL)」を高めることになります。
定期健診によって病気の早期発見をし、病気を完治させられたり、完治できなくても進行を遅らせれば、痛みを和らげたり苦痛を感じる期間を短くでき、結果としてQOLの低下を防ぐのです。愛猫が必ずしも病気にかかるかどうかは分かりませんが、通院する必要のある病気に何もかからずに寿命を全うする猫は多くありません。どんなときにも愛猫のQOLをできるだけ低下させないために、定期健診を受けることは大切なのではないでしょうか。
まとめ
定期健診により、気づいていなかった愛猫の異常の発見や心配事の解消に繋がります。人間と同じで、年齢を重ねるほど、健康を損なうリスクは高まるもの。健診で健康寿命を伸ばすことができれば、愛猫も飼い主さんも、笑顔で過ごせる時間が長くなるのではないでしょうか。