猫への上手な『薬』の飲ませ方4つ!無理なく飲んでもらうコツとは

猫への上手な『薬』の飲ませ方4つ!無理なく飲んでもらうコツとは

動物病院にかかると、薬が処方されることがあります。しかし、猫が嫌がってなかなかうまくいかないことが多いですね。どうしたら無理なく猫に薬を飲んでもらえるでしょうか?

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.フードに混ぜて与える

カプセルを持つ人の手と猫

猫に薬を飲ませようと思っても、すんなり飲んでくれません。嫌がっているのに無理やり飲ませようとすると、誤嚥させてしまったり次から警戒して飲んでくれないことも。

直接飲ませるのが難しい場合は、猫が気づかないうちに飲ませちゃいましょう。いつも食べているフードやおやつに薬を混ぜるという方法です。薬を混ぜる場合は、ウェットタイプのフードやおやつがいいでしょう。

ただし、フードの中に薬が混ざっているとわかると、フードを食べなかったり、薬だけ上手に残すなんてことも。口に入れたものの、吐き出してしまうこともあります。錠剤は猫に見つけられやすいので、砕いて混ぜてしまうのもひとつの方法です。

フードに薬を混ぜて与えたい場合は、食べ物と一緒に服用しても大丈夫かどうか、砕いてフードやおやつに混ぜたい場合は、砕いて良い薬かどうかも、必ず獣医師に確認してからにしましょう。

2.直接飲ませる

猫の口に錠剤を近づける人の手

食べ物と一緒に与えられない場合や、フードに混ぜてもすぐにバレてしまう、なんて場合は、やはり直接飲ませないといけませんね。なかなか大変ですが、飼い主が身構えてしまうと、猫が察してしまいます。猫に薬を見せずに、手早く、飲ませてしまいましょう。

薬を直接飲ませるコツは、錠剤やカプセルの場合、片手で猫の頬骨の辺りを持って上を向かせ、もう片方の手で口を開けて喉の奥に薬を落とします。この時、親指と人差し指で薬を持ち、中指で口を開けるようにすると飲ませやすいです。その後、少量の水をシリンジなどで飲ませます。飲み込むまで、顔は上を向かせておいてください。

薬が食道の粘膜に貼り付くと、食道炎を起こしてしまいます。錠剤やカプセルを飲ませた後は必ず、お皿から水を飲んでもらうかシリンジで水を飲ませてくださいね。

猫に薬を飲ませる方法を紹介している動画がたくさんありますので、慣れていない方はまず動画を見ながらぬいぐるみ相手に練習をして、飼い主自身が薬を飲ませる動作に慣れておきましょう。

3.水に混ぜる

黒猫にシリンジで飲ませる女性

シロップの場合は、シリンジを使って直接飲ませます。正面から飲ませると、こぼれてしまうことがあるので、口の脇から少しずつ飲ませて下さい。粉薬の場合も、水に溶いてシロップと同じようにシリンジで少量ずつ飲ませることができる薬もあります。

猫が飲み込むまで、口を閉じたまま上を向かせておいてください。急いで一気に飲ませたくなりますが、誤嚥を防ぐためにも、少しずつ飲ませましょう。猫に液体を飲ませる方法についても、動画がたくさん公開されています。まずは飼い主さんがその手順・コツをよく把握して、動作に慣れておきましょう。

また、薬を溶く液体は、液状おやつを薄めたものやささみのゆで汁、どうしてもの場合にはコーヒーミルクを利用することもできます。また、液体に混ぜるのではなく、少量の無塩バターや無糖ピーナッツバターなどに薬を混ぜ、上あごや歯茎に塗ってしまう、という方法もあります。

ただし、水以外のものに薬を溶いて与える場合には、必ずかかりつけの獣医師の許可をもらってからにしましょう。

4.当投薬補助アイテムを使う

スプーンでおやつをもらう猫

猫に薬を飲ませる時、できれば無理に口に入れるのではなく、上記のように猫が嫌がらない方法やおいしく食べてくれる方法で飲ませたいですね。しかし、どうしても飲んでくれないこともあるでしょう。

そんな場合には、投薬補助アイテムを使用するという方法があります。ピルガンという補助アイテムは、先端に薬を挟み、注射器の要領で反対側から押し出すというもの。液体を飲ませることができるものもあります。誤嚥させないように注意して使う必要がありますが、ピルガンなら吐き出されることなく薬を飲ませられる、という人もいます。

また、フードに混ぜて与える方法と同じですが、普段のフードやおやつではなく、投薬用として作られたおやつに薬を埋め込む方法もあります。動物病院専用の、投薬用液状おやつもありますので、投薬が難しい場合には、投薬補助おやつについて動物病院に相談すると良いでしょう。

まとめ

錠剤の匂いを嗅ぐ猫

猫に薬を飲んでもらうのに苦労している飼い主も多いことと思います。色々試してみて、猫が飲みやすい方法を見つけて下さいね。ひとりで難しい場合は、他の人に手伝ってもらいましょう。上手に飲み込めたら、たくさん褒めてあげて下さい。

猫に薬を飲んでもらわなければ、と焦るあまり、猫に恐怖心を与えてしまっては、今後の投薬もうまくいかないばかりか、飼い主のことも怖がってしまいます。

どうしてもうまくいかない場合は、薬を変えてもらうなど、動物病院で相談して下さいね。

【補足】

空のカプセルに錠剤を詰めて、猫が薬の味を感じないようにすることもできます。また、1つのカプセルに複数の薬を詰めることもできます。「錠剤を飲ませることはできるが、薬によっては味(苦味)のせいで飲んでくれない」や「薬がいくつもあって大変」という場合に役立つ方法ですので、そのようなお悩みがある飼い主さんは一度かかりつけの動物病院に相談してみてください。

近年、いざ必要になった場合に備えて、猫が若いうち、健康なうちから、触診(診察台で体の隅々まで触られること)や投薬などの練習をしておこう、という意識が広まりつつあります(ハズバンダリートレーニングの一部です)。おやつや遊びといった猫が喜ぶものを使いながら、遊び間隔で少しずつトレーニングしていきます。

ぜひハズバンダリートレーニングを日々の生活に取り入れて、いざという時の飼い主さんと猫の両方の負担をできるだけ少なくしましょう。実践している猫やトレーニング方法を紹介している動画がいくつも公開されていますので、「ハズバンダリートレーニング 猫」と検索してみてください。

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