子猫の成長過程と健康管理
標準的な猫は、12ヶ月程で大人の猫へと成長します(大型種では15〜18ヶ月ほどかかることもあります)。発達が著しい1生後12ヶ月までの間は、細やかな健康管理が欠かせません。
そこで今回は、各発達段階ごとのポイントを紹介いたします。ここでは、積極的に人の手が加わる離乳食からスタートします。
1.離乳期(生後1~2ヶ月)
乳歯が生え始めます。母乳から離乳食へと移行した後、子猫用のフードへと切り替えていきます。
まだ消化器官は未熟なので、栄養価が高く消化に良いものを少量ずつ取り入れていきます。いきなり高栄養のものを大量に与えると、消化不良や高アンモニア血症を起こす可能性があるため注意が必要です。フード変更はゆっくり行っていきましょう。
健康面では危機に見舞われる時期です。なぜかというと、母乳による免疫が薄れてくる時期だからです。ワクチンによる免疫も獲得しにくいので、体調を崩しやすくなります。
十分な睡眠と、暖かい環境を保つことが大切です。
それと同時に母子やきょうだい間のふれあいが、心の成長を促す大切な時期でもあります。
自力で食べられるようになると、排泄も自分でできるようになります。少しずつトイレットトレーニングを始めましょう。
2.成長期(生後2~4ヶ月)
猫生で最も成長する時期です。効率よく栄養を取り入れたいので、個々の発達に合ったフードを選びます。
この時期からワクチン接種が可能になります。獣医さんに健康チェックをしてもらい、問題がなければ前向きに検討しましょう。
完全室内飼育では「3種混合ワクチン」が推奨されています。
この発達段階では「社会化期」と呼ばれる重要な期間を過ごすことになります。
猫同士はもちろん、種の異なる動物や、人間と積極的に関わることで懐きやすい性格になります。また、玄関のチャイム、車の音、他の人の声など色々な音を聞かせることで、人間社会の環境に慣れさせていきましょう。
トイレットトレーニングが順調に進めば、掃除のお手伝いのみで済むようになります。
3.性成熟期・若年期(生後4~11ヶ月)
緩やかな成長を続け、性の成熟も始まります。猫の思春期のような時期にあたります。
生後6ヶ月頃から成長後期用のフード、または少しずつ成猫用のフードが食べられるようになります。
健康面では、将来的に繁殖を望まない場合の避妊手術を検討する時期になります。
メス猫の場合は、、1歳未満で避妊手術を受けることで悪性度の高い乳がんの予防効果が格段に上がります。子宮・卵巣疾患も予防できます。
オス猫は早めに去勢手術を受けることで、マーキング行動の予防が期待できるかもしれません。避妊・去勢手術を受けた場合は、術後の肥満に気をつけましょう。
この頃には新しい家庭にも馴染んでいるでしょう。まだまだ遊び盛りなので、愛猫のペースに合わせて遊びに付き合ってあげましょう。
4.成熟期(生後12ヶ月)
1歳の誕生日を迎える頃には、ほぼ大人になっていますが、まだまだ甘えっ子な猫も多いでしょう。
身体的には成熟期に当たるので、食事は成猫用のフードを食べさせましょう。
避妊手術を受けた猫は「避妊・去勢後」という部類のフードを選ぶようにしてください。
健康面では、肥満にならないようにサポートしましょう。おやつの食べ過ぎや、運動不足にならないように気をつけてください。
食事をガツガツ食べられる子であれば、1日2回食でも構いません。
人間でいう成人に近い時期とはいえ、子猫時代と同様の好奇心を持っています。イタズラされては困るものは、必ず戸棚に収納しましょう。
発達のスピードには個体差がある
発達段階ごとのポイントを紹介しましたが、発達のスピードには個体差があります。大切なことは、愛猫の成長に合わせたお世話をしていくことです。
例えば、離乳期でもミルクを欲しがる子がいます。この場合は、ミルクと離乳食を併用して構いません。食に対するトラウマを作らないことが重要です。
完全に固形物が食べられるようになった後も、栄養状態や成長に合わせて1歳になるまで子猫用の食事を与えても大丈夫です。
猫の個性に合わせて臨機応変に対応してあげましょう。
まとめ
子猫の成長は凄まじく、誕生時は100g程しかなかった体重が1年後には3kgを超えるほどに育ちます。
あっという間の子猫時代ですが、猫生で最も重要な時代です。
猫は極端な環境の変化を苦手とする動物なので、必ず一貫性のあるお世話を心がけましょう。
「この時期にはこれをしなければ!」という固定概念に縛られず、うちの子ならではの子育てをしていけばいいのです。
子猫を育てる飼い主さんは、自信を持って愛情を注ぎましょう。