猫の危険な『人間に感染する病気』5種

猫の危険な『人間に感染する病気』5種

世の中には、猫から人へと感染する病気が存在します。些細なきっかけで起こる5種類の病気と、予防法について詳しく紹介いたします。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫から人へ伝染する病気

撫でられる猫

普段はあまり意識していないかもしれませんが、猫から人へ伝染してしまう病気が存在します。

原因不明の体調不良に悩まされ、医者でさえも頭を抱えるものの中には「人獣共通感染症」が絡んでいる場合も考えられます。

ここでは、日常の些細な行動から感染してしまう病を5つご紹介いたします。

1.猫ひっかき病

猫パンチ

比較的、耳馴染みのある言葉かもしれません。その名の通り、猫に引っかかれたり噛まれたりすることで、細菌が繁殖してしまう病気です。

感染すると、傷口に近いリンパ節が腫れて痛みを伴います。小さな傷だからと放置せず、負傷した場合は必ず消毒してください。

2.カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症

指を舐める猫

ややこしい病名ですが、医師でも分からないことがあるという意味でも非常に厄介な病です。

原因は、猫や犬に噛まれたり引っかかれたりすることですが、あと1つ重大な要因があります。

それは、元々あった傷を舐められてしまうことです。傷自体が小さく、いつ負傷したかも忘れているような些細なものが大事に至ることがあります。

症状としては発熱・頭痛・倦怠感・腹痛・吐き気などがあり、重篤になると敗血症や髄膜炎を起こすこともあります。

3.サルモネラ菌

ペーパーと猫

猫を介してサルモネラ菌を発症することは、イメージ的には意外かもしれません。でも、感染することがあるのです。

原因となるのは猫の便です。便にサルモネラ菌が付着していると、それを掃除した人へ感染する恐れがあります。感染すると急性胃腸炎を引き起こします。

ただし、健康な成人であれば無症状であることがほとんどです。幼児や高齢者は症状が出てしまうことがあるので気をつけてください。

4.トキソプラズマ症

猫のトイレ

トキソプラズマ原虫が原因となる感染症です。こちらも便を介して、猫から人へと移ります。

最も注意が必要なのは、トキソプラズマに対する抗体を持たない妊婦さんです。流産や、胎児の先天的な障がいの原因にもなります。

ご家庭に妊娠中の方がいる場合は、猫のトイレ掃除を健康な成人がサポートしてあげてください。

5.疥癬(かいせん)

痒い猫

強いかゆみを伴う湿疹ができ、かさぶたのようになることがある皮膚疾患です。ヒゼンダニ(かいせん虫)が原因で感染します。

ダニ本体が見つかりにくい場合や、ダニの卵が特定されにくいケースもあり厄介です。

さらに、デイサービスを利用中の高齢者が罹患すると、一時的に利用できなくなることがあります。

猫からの感染症、どう防ぐ?

リラックスする猫

どの病気も、よく考えると怖いですよね。しかし、重要なのは「猫はバイ菌ではない」ということです。

万が一に備えて正しい知識を持ち、日頃から予防することが大切です。予防法をいくつか挙げてみます。

手を洗う

手洗い

今ではすっかりお馴染みとなってしまった手洗い。実は、人獣共通感染症においても極めて有効な予防法になります。愛猫と触れ合ったあとは必ず手を洗いましょう。

規則正しい生活を送る

眠る猫

規則正しい生活を送り、免疫力を落とさないことも予防につながります。健康な状態をキープすることで、万が一感染しても無症状あるいは軽症のケースが多いからです。

現代社会でこのような生活は困難ですが、せめて食事だけでも意識して抜かないように心がけてください。

リスクのある家族を守る

遊ぶ猫

トキソプラズマでは妊婦さん、その他の病気では高齢者や幼い子どもがハイリスクになります。

ハイリスクの方と同居されている場合は、リスクのあるトイレ掃除や食器洗いなどを、率先して行うだけでも助かります。

まとめ

じゃれる猫

原因不明の不調が続く場合は、猫と暮らしていることを医師に告げることが大切です。

人獣共通感染症の重症化は健康な方には稀ですが、無防備に顔や口を舐めさせるなどの濃厚接触は避けましょう。

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