猫と犬を一緒に飼う時に必ず知っておかなければならないポイント5選

猫と犬を一緒に飼う時に必ず知っておかなければならないポイント5選

猫と犬は一緒に暮らすことができるのでしょうか?そして一緒に暮らす場合、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか?今回は猫と犬の同居に関する大切なポイントをご紹介いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫と犬は同居できるの?

犬と猫

猫派・犬派にとらわれずどちらも好きな方は、猫と犬と人間で楽しく過ごしたいという夢を持っているでしょう。でも、猫と犬は全く異なる動物なうえに、警戒心が強い猫が犬と共存することは可能なのでしょうか?

結論からいえば可能です。筆者宅でも猫と犬が同居しています。ただし、実現するためにはいくつか気をつけなければならないことがあります。次の項目で詳しくご紹介いたします。

猫と犬が同居する際に気をつけてほしいこと

犬に猫パンチしようとする猫

次に紹介する5つの事柄は、猫と犬が同居するうえで大切な配慮です。

1. 犬が先or幼いうちに両方一緒に迎える

寄り添う犬と猫

犬と猫は全く異なる動物なので、相性の良し悪しは性格によるものが大きいのが実状です。ただし、比較的上手くいくケースは次のような組み合わせのことが多いようです。計画的に両方を迎える方は参考にしてみてください。

  • 犬を先に迎える
  • 同性よりも異性のほうが相性が良い
  • 子猫と子犬を同時に迎える

縄張り意識の関係で、犬を先に迎えたほうが馴染みやすいといわれています。猫は自分の家の中でも「ここは自分の場所」と縄張りを持ってしまうことがありますが、犬は自分の家全体を「自分と仲間のもの」と考えるからです。

また、犬も猫もメスの方が母性本能によって他者を受け入れやすいことがあります。そのため、どちらかがメス、つまり同居動物を異性同士にした方が相性が良いかもしれません。

年齢差があり過ぎると、もし性格の相性は悪くなくても活動レベルが違い過ぎてストレスになってしまうかもしれません。一緒に仲良くさせることを考えるのでしたら、年齢があまり離れていない方が良いでしょう。ただしこの点については、飼い主さんがきちんと管理すれば大きな問題にならないことも多いでしょう。

逆に、お互いが生後3ヶ月程度の幼い月齢である場合は、同時に迎えると自然と仲良くなれる傾向にあります。理由としては、新しい物事をすんなりと受け入れやすい社会化期にお互いに出会い一緒に生活していく過程で、お互いの存在が自然なものとなるからです。犬の社会化期は生後3~12週齢頃までですが、猫の社会化期はそれより少し早く終わることが多く生後9週齢頃までのことが多いようです。

ここで紹介した組み合わせはあくまでも一例ですので、犬と猫の性格によっては全く違うケースでもうまくいったり、このようなケースでもうまくいかなかったりすることももちろんあります。保護施設からの子を新しく迎える場合は、お試し期間に相性を見極めましょう。同種の動物にしろ犬と猫のような異種の動物にしろ、先住の動物がいるところに新たな子を迎える場合には、相性が合わず仲良くできない場合にもきちんと飼うことができる環境を整えてから新入りの子を迎えましょう。

【相性についての補足】 動物としての本能を考慮してあげましょう。猫が犬にとって危険な存在になることはまずないでしょうが、犬によっては猫を獲物と捉える本能が強い犬もいます。よく言われるのは、サイトハウンドと猫、小動物との関係です。猫を獲物として食べたくて狙うのではなく、サイトハウンドは動く物を本能的に追いかけ捕まえようとする場合が多くあるということです。家の中でサイトハウンドが猫を追いかけてしまうようなことがあれば、犬と猫両方にとって事故やストレスの原因となります。このような本能が強い犬でも社会化期から同居すれば猫を追いかけない犬に育つこともありますが、学習で学んだ行動をしのぐのが本能です。学習だけでコントロールできない行動もある、ということを飼い主さんがよく理解しておく必要があります。また、ボーダーコリーをはじめとした実用犬からペットに転身して日が浅い牧羊犬はハーディング(家畜を追い込んで集めること)の本能が強く、猫や小動物、時には人間の子どもまでをもハーディングしてしまうことがあります。事故にはなりにくいかもしれませんが、しつこく追われる猫にとってはストレスになるかもしれません。

犬を選ぶ際には、まず犬種としての性質を理解し、他の動物との同居に向いているか考えましょう。その上で、同居動物と相性の良い性格の個体を選び、うまく同居できるような対策をとりましょう。

最も大事なことは、「同居=仲良くさせることではない」ということです。相性が良くて同じ空間でみんながストレスなく暮らせればベストでしょうが、そうならなかった場合には、飼い主さんの管理でみんながストレスなく同じ屋根の下で暮らせるようにしてあげて下さい。

2. 食事は必ず「猫用」「犬用」に分ける

犬猫の食事

人間の目には同じように見える食事ですが、キャットフードとドッグフードは全くもって別物です。一緒に生活する場合は、たとえ仲が良くてもフードは必ず分けなければなりません。

キャットフードとドッグフードの一番の違いは、たんぱく質と脂質、炭水化物の三大栄養素の含有量の違いです。肉食よりの雑食動物である犬と完全肉食動物である猫では、必要な栄養成分の割合が違うのです。他にも、必須アミノ酸の種類や一部のビタミンの必要量が犬と猫で全く違います。

味見程度であればお互いのフードを食べてしまっても問題ありませんが、日常的に合わないものを食べ続けることは健康面で問題が生じます。また、異なる動物用のフード以外にも、異なる成長段階のフードを日常的に食べ続けることにも問題があります。

3. 必要に応じて食べる場所を分ける

食事を奪われる猫

猫はとてもデリケートです。特に食事中は特に安心させてあげたい時間なので、犬と一緒では落ち着かないことがあります。

そして、猫は一度に完食せずに残しておくことも習性上の癖になります。猫が残した残飯を、犬が食べることによってキャットフードの魅力にハマるきっかけになってしまいます。

猫は、犬の手が届かない高い場所で食べさせたり犬が入らない場所で食べさせたりすることがおすすめです。横取り防止や、リラックス効果があります。さらに食事の回数や時間帯も、猫には猫に合うタイミングで食べられるように配慮してあげてください。

4. 猫がリラックスできる環境を作る

眠る猫

相性が良くてもテリトリーは必要です。特に猫は縄張りを重んじる動物なので、安心してくつろげる場所は必須です。部屋を分けることも有効ですが、室内にキャットタワーを設置するだけでも十分安全基地として機能します。

犬側も、高所で猫が大人しくしてくれていることで安心して休むことができます。派手な喧嘩をすることは稀ですが、どちらかといえば猫のほうが気が強く、犬が怯えてしまうことがあります。ストレスは万病の元なので、お互いに落ち着ける場所を確保してあげましょう。

5. おもちゃの誤飲に気をつける(犬のお話)

おもちゃに囲まれる猫

猫と犬は遊び方にも大きな違いがあります。猫は主に、追う・じゃれる・蹴るなどの動作が中心です。

犬も追うことは共通しているものの、噛む・引っ張るという動作が非常に強く、おもちゃもそれなりに頑丈に作られています。

猫のおもちゃは獲物に見立てるために、細かいパーツが含まれているものがあります。犬が猫のおもちゃに興味を示した場合、破損や誤飲の危険性が高まります。猫であれば誤飲しない大きさでも、犬は簡単に誤飲してしまう大きさのおもちゃも多いでしょう。保管や遊ぶ際の見守りは重要です。

まとめ

犬と猫

いくつか気をつけなければならないポイントはありますが、条件さえ整えば猫と犬は意外と上手に共存できるものです。種を越えて上手に同居するためには、何よりもそれぞれの動物としてのあり方、個体の性格をよく理解した上での飼い主さんの適切な管理が重要です。

猫と犬、それぞれの習性をよく理解して尊重してあげてください。

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