猫に白目は存在するのか
最初に結果を申しますと、「猫の白目は存在します」。
では、どの部分が白目なのか、それは人間と同じ黒目(人によっては青色や緑色)の外側、正面から見てもわからないところにあります。ちなみに、まぶたを優しく少しだけずらしてみると、白目が出てきます。また、猫の目には瞬膜という部分があり、よく半目になって寝ている猫でチラッと見えますが、その瞬膜と白目は全く別物であり、役割も違います。
猫の白目が見えない理由
- 天敵から身を守るため
- 目の動きや目の位置を知られないようにするため
- 黒目を大きくして暗闇でもものが見えるようにするため
猫の白目は初めに言った通り、正面からは見えません。また他の動物の白目も大体が見えません。猫を含めた動物に白目がないというより、人間では白目が見えている、と言った方が良いかもしれません。動物ではなぜ白目が見えないのか、それは、天敵から身を守るため、目の動きや目を向けている位置を知られないように目立つ白目の部分を露出させないようにしているという説や、より多くの光を吸収しやすくするために瞳孔部分が大きい必要があるからという説があるようです。
確かに、猫の目には反射板のような役割を持つ部分があります。猫は夜行性(薄明薄暮性)で、月明かりや太陽が大きく傾いている薄暗い中、行動しなければいけませんでした。その際に少ない光を最大限利用し、反射板を使ってよく見えるようになっています。視力に関係のない白目はまぶたという皮膚で覆われていて、そもそも白目が外に出ていないのが動物の標準なのかもしれません。
逆に天敵のいない人間は、夜行性でもないため、より多くの光を吸収する必要性もありません。
人間の白目が露出しているのは、コミュニケーションをとるために進化した、と言われていますが、どれも仮説に過ぎずはっきりとしたことは分かっていません。
猫の白目に病気のサイン
猫の白目には、肝臓病などによる黄疸が表れるそうです。黄疸では血液の液体成分が黄色くなり、重度になると皮膚や口の中の粘膜なども黄色く見えるようになるのですが、もともと白い白目では黄疸が初期から分かりやすいということです。まぶたを触っても嫌がらない猫は、たまに見てあげるといいですね。また、黄疸が出る前に何かしらの症状が出ることも多いですので、食欲がないときは獣医師に連れていくことをお勧めします。もちろん黄疸が出ていればすぐに病院に連れていきましょう。
猫の白目の役割
では、猫の白目にはどのような役割があるのでしょうか?
そもそも、猫や人間、動物の目には名称があり、この記事で黒目(人によっては青色や緑色)と言っている部分の真ん中を瞳孔、黒目(人によっては青色や緑色)を虹彩と呼び、白目と呼んでいる部分は強膜という膜が見えている部分です。これは猫の白目にも当てはまります。また猫の目でいうと、キレイな透明の球体部分、つまり瞳孔と虹彩を覆っている透明な膜を角膜というそうです。
白目(強膜)は、角膜が外からの光を屈折させて目の中(硝子体)に通すのに対し、不要な光が入らないように防ぎ、尚且つ眼球の形を保つ役割をしているそうです。
猫の目と人間の目の違い
猫の目には、白目以外にも、人間の目とは違う部分がたくさんあります。
- 虹彩
- 瞳孔の大きさ
- 視野
- 視力
- 色の識別
- 瞬膜
上記に挙げた違いを、サラッと説明していきます。
虹彩
虹彩の働きによって瞳孔の大きさが変わり、目の中に入る光を調節する役割があるそうです。猫の目は体のわりに大きく、さらに白目が見えない分、虹彩が目の見えている部分の多くを占めています。人間でも猫でも虹彩が個体によってそれぞれ違う色をしています。猫の虹彩は、おおまかに4パターンに分けられます。
- 緑色
- 青色
- 金色系(黄色琥珀色茶色など)
- オッドアイ(左右で虹彩の色が大きく違う)
このほかに茶色が濃い場合に赤っぽい茶色になったり、アルビノの猫の虹彩で血管が透けて赤く見えたりすることもあるそうです。
瞳孔の大きさ
人間の瞳孔も、入ってくる光の量で大きくなったり、小さくなったりしますが、猫の場合はより調整範囲が広いそうで、目一杯広がると、瞳孔の幅は14mm程になり、逆に細めると1mm以下になるそうです。人間の瞳孔は丸く大きくなるのに比べ、猫は瞳孔が縦に長くなっていて、その方が瞬時に大きさを調節しやすく、また調節の幅も大きくできるそうです。
視野・視力・色の識別
猫の視野は、全体視野で220度から290度ほどあり、人間の視野210度を大きく上回っています。獲物を見つけやすい広い視野を持ち、また距離感を正確につかむために両眼視できる視野も広いと言われています。しかし、静止しているものをはっきりとみる能力は人間よりも悪いようです。動くものを瞬時に察知する能力は高いようです。色の識別に関しても、人間が見ているのと同じカラーは見えていなく、グレーの濃淡と青、黄色で写し出された世界で物を見ているそうです。
瞬膜
よく白目と間違えられる目頭にある白い膜を瞬膜と言います。これは角膜を保護するための結膜のひだだそうで、猫が寝ているときに、半目になっていたりすると見えます。第三眼瞼とも呼ばれる瞬膜は、人間では退化して名残があるに過ぎません。
猫の白目についてのまとめ
今回は、大きくて宝石のような猫の目と白目の秘密についてご紹介しました。猫には白目がちゃんと存在しているのですが、普段白目が見えづらい理由は、白目が見えると敵に見つかりやすいから、視線を向けている方向を敵に知られてしまうから、黒目を大きくして暗闇でものがよりよく見えるようにするためという仮説がありましたね。
今まで白目と勘違いしていた部分や、猫の目の仕組み、人間と猫の目の違いが分かったと思います。実際に飼っている猫のまぶたを少しずらしてみたら、確かに白目がありました。
猫の目と人間の目の共通点もありましたが、作りや機能、使い方が違うため、視野や視力、色の識別も人間とは違うこともわかりました。これらは、もともと薄暗い中で狩りをするという生活に合わせて進化した結果なのです。
また、白目には病気のサインが出ることもありますので、健康診断と一緒に獣医師に見ていただいたり、可能な方は自分でたまにチェックしてあげるといいと思います。これから猫を飼う方、飼っている方は、ぜひご参考程度に覚えていただけると幸いです。
女性 にゃコロ
人も睨む瞳と、見つめる瞳では表情が変わりますが、きっと猫も同じです。
今回猫の目の機能や役割を改めて知り、生きることに順応して発達した事の奥深さを感じました。視野の広さの割りに視力が弱い事や、白黒の世界で生きていること、角膜と白目の関係性はとても勉強になり、白目で病気を発見できる知識も参考になりました。
白目があるからこそビー玉みたいに透き通って、キラキラしている猫の瞳ですが、猫自身も、猫同士でもその色の識別ができないのだと知ったので、私が愛猫の分しっかりと記憶に収めておこうと思います。本当に、奥深いです。
女性 ふろまーじゅ
寝ているときの半目のときに見えるのが白目だと思っていたんですが、瞬膜なので別物だったんですね。
〝目は口ほどに物を言う〟と言いますから目の動きで感情など読まれてしまいますよね。人と違い本来野生で生きてきた猫にとっては、感情を読まれてしまうのは困りますもんね。
その分目がくりっとしていたり、可愛く見えてしまうんですが。
人と猫では目の作りや役割も違うのですが、視野が広がったり白黒で見えていたりと、猫たちはどんな感じでこの世界が見えてるんだろう?と興味があります。
そういえば動物病院で、診察の際に目を見るときはまぶたをずらして様子を見てくれてたなぁと思い出しました。
普段目にしない部分ですから診察のときにチェックしてもらうと良いかもしれないですね。
瞬膜を白目だと勘違いしてる人は私含めて多そうな気がします。人と猫の目の違いが分かり参考になりました。
女性 百日紅
白目と健康についてですが、白目など見た目ですぐに黄疸と分かる場合、病気の症状が進行しているそうです。猫風邪などで結膜炎になると充血もしますね。今まではあまりチェックしてなかった白目ですが、きちんとチェックしようと思いました。
30代 女性 みちこ
うちの猫ちゃんは、子猫のときに猫同士で喧嘩をして瞬膜に傷がつき手術をしました。
目が見えなくならないかを、とても心配しましたが無事でした。それ以来、猫ちゃんが喧嘩をしないように注意していました。
猫ちゃんは確かに、白目が見えにくいです。
ワンちゃんは白目がよく見えますが不思議ですね。猫ちゃんの白目はまた違う大切な役目をしているのですね!
高齢になったうちの猫ちゃんたちは、白内障にもならずに元気に暮らしていてまだ安心できています。