猫の鼻水が出る時に与える薬
抗菌薬
- 服用する場合の症状:鼻水、くしゃみ、結膜炎、発熱、発咳
- 服用して効果が期待できる病気:猫風邪
抗菌薬といっても様々な種類があり、一般的に処方されることが多いものを今回は紹介します。
まず猫に、鼻水やくしゃみなどの症状があれば抗菌薬を開始します。ただし、効果が十分でなければ抗菌薬を変更することもありますので、どのお薬が一番効くのか、ということではなく、感染の原因菌に効果のある抗菌薬を選んで使用します。
内服(全身療法)
- アモキシシリン水和物(商品名、パセトシン錠、アモキクリア錠など)
- エンロフロキサシン(商品名、バイトリル錠など)
- ドキシサイクリン塩酸塩水和物(商品名、ビブラマイシン錠など)
点鼻薬(局所療法)
点鼻薬は内服薬よりも種類が様々です。動物用ではないものを使用する場合もあります。飲み薬と組み合わせることや、症状や体格に合わせて使用する目薬を判断しますので、動物病院で処方されたものを使用するようにしましょう。
抗ウイルス薬
- 服用する場合の症状:鼻水、くしゃみ、結膜炎、口腔内のただれ
- 服用して効果が期待できる病気:猫風邪
猫風邪と言われる上部気道感染症の原因は、ウイルスが関与していることがほとんどです。主に猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルスの感染やこのようなウイルスの発症リスクが高いと言われています。抗ウイルス薬は組み合わせて使用する場合もあります。抗菌薬よりも高価です。
インターフェロン(商品名、インターキャット)
抗ウイルス薬で、猫に症状がひどい場合は注射で接種します。インターフェロンを生理食塩水や抗菌薬の目薬に混ぜて、猫に目薬や点鼻薬として使用します。
Lリジン塩酸塩(商品名、メニにゃんEye)
抗ウイルス薬の経口薬で顆粒タイプのお薬です。
猫の鼻水が出る時に与える薬の与え方
点鼻薬の使い方
点鼻薬は猫の顔を少し上に傾けて一滴鼻に垂らすだけで十分です。猫の鼻は小さいので、両方の鼻の穴に一滴ずつ垂らさなくても、鼻の中心に向かってさしてあげれば、十分薬液は浸透します。
ただし、鼻水がついたままの状態で、点鼻薬をさすと薬液が鼻の中にうまく入っていかないので、必ず点鼻する前に湿らせたコットンなどで鼻水をふき取ってからさすようにしましょう。
飲み薬の飲ませ方
一番簡単で楽な投薬方法は食事に混ぜて与えることです。最近では、ちゅーるのような粘り気のあるフードにお薬を混ぜて投薬する方法が一般的です。
錠剤のままで食べない場合は粉にしてみる、粉にしても食事に混ぜて食べない場合は、更に粉を水に溶かしてフードに混ぜてみるといいでしょう。できるだけ猫の口に直接お薬を入れない方法でトライしてみましょう。それでも難しい場合は直接投薬しなければなりません。
錠剤
片手で猫の頭を保定し、もう片方の指先で口を開きます。できれば利き手の方が投薬しやすいので、口を開くときは利き手を使用しましょう。
そのまま錠剤を口の中にできるだけ舌の奥の方に乗せるように入れます。薬を入れたら口を閉じさせて、喉をさするようにしてください。飲ませた後は、ごはんかお水を少し与えるようにしてください。
このとき、お薬を指でいれるのに抵抗がある方は、投薬器の使用をお勧めします。
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液剤
粉薬も液剤にしてしまうことをお勧めします。錠剤の時と同様に片手で猫の頭を保定し、顔を少し上にあげます。お薬を含んだスポイトや注射器の先端を犬歯の後ろに差し込んで、液剤をゆっくり流し入れます。
猫の鼻水が出る時に与える薬の注意点
薬の注意点
猫は感染が原因で鼻水が出ていることが多いですが、最初に説明した通り、感染を引き起こす原因が猫風邪以外にもあることから、猫風邪だから抗生剤を飲ませておこうという勝手な判断はよくありません。必ず獣医師の診察を受けてからお薬の指示を受けて、点眼薬やお薬は飲ませるようにしましょう。
猫の鼻水の原因
まず鼻水には透明な水に近いもの(漿液性)と、濁って粘り気の強いもの(膿性)、そして血液が混じる場合もあります。そして猫の片側からのみ鼻水が出ているのか、もしくは両側から出ているのかで原因が違う場合もあります。鼻水が出ているから猫風邪と自己判断してはいけません。
猫風邪
いわゆる猫風邪は正式な病名ではなく、細菌やウイルス、クラミジアが上部気道と呼ばれる鼻腔、結膜、気管、気管支に感染し、鼻水やくしゃみ、目やになどの症状を引き起こしていることを猫風邪とおおまかに呼んでいます。
初期の症状として、漿液性の鼻水、感染が進行すると膿性の鼻水が両側に認められます。猫の鼻水の原因として一番多く認められます。
歯周病
歯周病菌が原因で猫の鼻水が認められることがあります。歯周病を起こしている場所によっては、片側のみ猫の鼻水が認められる場合もあります。感染がひどいと膿性の鼻水が認められます。治療は原因となる歯を抜くこと、鼻水がひどい場合は抗菌薬を用います。
真菌
主にアスペルギルスと言われる真菌の感染により、猫の鼻腔内に肉芽を形成します。片側性または両側性で粘り気の強い鼻水、症状が進行すると鼻血や、顔面の腫れが認められます。
一般的には犬での感染が多いですが、猫でも発生が認められています。抗菌薬やウイルス薬では改善がありません。
異物や腫瘍
片側のみの鼻水の場合、猫の鼻の中に異物が混入している場合か、腫瘍が形成されている可能性があります。鼻水の症状が改善しない、鼻血が混じる、鼻が腫れるなどの症状が猫に認められる場合、必ず動物病院で検査を受けることをお勧めします。
まとめ
猫の鼻水は猫風邪と呼ばれる上部気道感染症が原因であることが多く、最初に処方されるお薬も抗菌剤や抗ウイルス薬が一般的です。
しかし、鼻水の原因は猫風邪だけではなく、悪性腫瘍のような進行性の病気が隠れていることもあるので、鼻水の症状が続くときは必ず動物病院で検査を受けましょう。