【お松大権現の猫神さま】1万体の招き猫と神社に伝わる「化け猫伝説」とは

【お松大権現の猫神さま】1万体の招き猫と神社に伝わる「化け猫伝説」とは

お松大権現という神社をご存知ですか?猫好きさんの間で猫神社が話題になることがあると思いますが、お松大権現は徳島県にあります。化け猫騒動が由来になっている神社で、境内には招き猫がたくさんあるんです。お松大権現の由来と境内をご紹介します。

猫神社として有名な「お松大権現」

神社の猫

「お松大権現(おまつだいごんげん)」は、徳島県阿南市にある神社で、「猫神さま」と親しまれています。勝負事、願い事の神さまで、正月は約2万人が訪れ、受験シーズンには合格祈願の参拝者でにぎわう神社です。

境内には約1万体の招き猫が奉納され、高さ2mの招き猫が参拝者を迎えてくれます。この他にも、お松大権現の境内は「猫」だらけで、猫好きな方にはたまらない神社として人気があり、海外の猫好きさんも訪れているそうです。とても親しまれているお松大権現ですが、実は神社が開所した由来は「化け猫」だっだのです。

お松大権現に伝わる「化け猫伝説」

歩いている猫

日本には化け猫にまつわる伝説がいくつかありますが、お松大権現に伝わる伝説は有馬、鍋島とともに「日本三大怪猫伝」と言われています。ある女性と飼い猫にまつわる化け猫騒動がお松大権現の由緒となっているのです。

現在の徳島県阿南市加茂町で不作が続いたため、庄屋の惣兵衛は村を救うために、自分の土地を担保に富豪の野上三左衛門からお金を借りました。借りたお金の返済期限が迫っていたとき、通りすがりの三左衛門に惣兵衛はお金を返したのです。このとき三左衛門はただ通りがかっただけなので、借金返済の証となる証文を渡していませんでした。そして、しばらくして惣兵衛は病で死んでしまったのです。

惣兵衛の死後、彼の妻であるお松は何度も三左衛門に証文を請求したのですが、三左衛門は証文を渡さず、「金は受け取っていない」と言い出したのです。さらに、担保にしていた惣兵衛の土地を奪い、お松が詐欺をしているかのように奉行所に訴えたのです。

お松は奉行所に申し出ましたが、お松に好意があった奉行に応えなかったことや、奉行が三左衛門から賄賂を受け取っていたことなどから、不当な裁きを下されてしまったのです。

お松は不当な裁きを受けたことに対し、奉行に直訴しました。当時、奉行への直訴は死罪となっていたため、お松は死ぬ覚悟で訴えたのでしょう。そしてお松はこの一連の事件の恨みを可愛がっていた三毛猫に伝え、数日後に処刑されてしまいました。このとき、三毛猫も一緒に処刑されてしまったのです。

お松と三毛猫が処刑された後、三左衛門と奉行の家に化け猫があらわれおかしなことが起きるようになりました。家族の変死、発狂、病死などの事件が続き、化け猫の呪いによって、三左衛門と奉行の家は没落したのです。

以上が、お松大権現の化け猫騒動のお話です。その後、お松が正義を貫いた生涯をしのんでお松大権現と崇められ、招き猫が奉納されるようになりました。開所した頃はひっそりとしていましたが、明治時代に入ると大きく祀られるようになったそうです。また、徳島県徳島市にある王子神社にも、お松と三毛猫が祀られています。お松が直訴した奉行の家の別邸にあった王子神社に、祟りを鎮めるために祀ったのですが、現在では「願いをかなえる猫神さま」として地域に浸透しているようです。

ちなみに、三左衛門に奪われてしまった惣兵衛の土地は、おかしなことが起こるため誰も所有しようとせず、現在はお松大権現社と氏子が所有しています。

お松大権現の注目ポイントやアクセス

招き猫

境内は猫だらけ!

高さ2mの大きくて笑顔がかわいい招き猫が鳥居の横で出迎えてくれます。そして、この鳥居の下には、かわいい猫の足跡がかたどられています。これを見たら猫好きさんは、わくわくしてくるのではないでしょうか。

鳥居を過ぎて、左奥には「さすり猫」です。体の治したい部分をさするとご利益があります。鳥居を過ぎてまっすぐ奥に行くと、徐魔、除厄、除災、神域の守護神の猫不動や猫の大佛、狛犬ならぬ狛猫など、とにかく猫だらけなんです。本物の猫に会えることもあります。社務所でお世話している猫がいるんです。

お守り、絵馬、御朱印にも猫

猫が描かれたお守り、絵馬を受けることができます。招き猫の置物もあります。お松大権現の御朱印はかわいいと人気なんです。その理由は、ご神紋に猫がいるからです。猫が香箱座りをしている姿のご神紋で、よく見ると、前足としっぽが見えます。このかわいさが人気で、御朱印をいただきにくる方が多いそうです。

招き猫で祈願

お松大権現の祈願には招き猫が必要です。まず、社務所で招き猫を借ります。願い事が叶う、もしくは一年経過したら、借りた招き猫をもって再びお松大権現を訪れます。新しく招き猫を買い、借りた招き猫とあわせて2つの招き猫を奉納します。そして、新しく招き猫を買い、願い事が叶うか一年経過したら奉納するということを繰り返すのです。奉納された招き猫が約1万体というのに納得ですね。このようなご祈願方法がありますが、ご祈祷した招き猫を受けて帰る方が多いようです。

お松大権現へのアクセス

お松大権現
徳島県阿南市加茂町不ケ63

電車でのアクセスは、JR阿南駅から加茂谷行き阿南バスでお松権現前下車します。車でのアクセスは、徳島インターチェンジから約50分です。駐車場は20台、無料です。

祈祷の受付は9:00~17:00です。

まとめ

神社で座っている猫

猫だらけの神社「お松大権現」は、化け猫にまつわるお話が由来となっています。不当な裁きに正義を貫いたお松と、化け猫として飼い主の無念を晴らした三毛猫を崇めて開所した神社です。悪に勝ったことから、勝負事に利益があると、受験シーズンはとてもにぎわいます。境内にはいたるところに猫にまつわるものがあり、奉納された招き猫は約1万体もあるんです。御朱印も猫になっていて人気です。徳島県に旅行の際はお松大権現を訪れてみてはいかがでしょう。

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