猫の嘔吐(おうと)とは?|吐く原因や頻度、吐出との違いから注意点まで【獣医師が解説】

猫の嘔吐(おうと)とは?|吐く原因や頻度、吐出との違いから注意点まで【獣医師が解説】

猫は吐きやすい生き物で、たまに吐いてしまう程度であれば問題ないことがほとんどです。しかし、どのような場合に注意が必要で、どんな病気が考えられるのでしょうか?猫の嘔吐症状について、獣医師が解説します。

猫が吐いた!どんなことに注意すべきか

吐く猫

猫はなぜ吐くの?どれくらいの頻度までが正常なの?

猫は、健康でも吐くことが少なくない生き物です。特に、毛玉や毛玉混じりの食事などを吐くことが多いです。

猫の舌には細かいトゲがあるため、毛づくろいの際に舌のトゲに毛が絡み、少量ずつですがその毛をそのまま飲み込んでしまいます。

胃に毛が溜まってしまうと違和感や不快感から嘔吐してしまうのです。

また、フードを食べた数十秒〜数分後に未消化フードを猫が嘔吐することがあります。

これは食事が合っていないか、急に違うフードに変更した、あるいはフードを勢いよく一度にたくさん食べてしまった際などにみられることが多いです。

吐く頻度については個体差があり、短毛種なのか長毛種なのか、抜け毛のシーズンかなどによっても変わってきます。

基本的には月に数回吐く程度であれば問題ないことがほとんどです。日頃から愛猫がどれくらいの頻度で吐くことがあるかを確認しておきましょう。

ある時点から頻度が増えてきた場合は、病気が隠れている可能性を考えなければいけないかもしれません。

また、猫が吐いた時には、どのようなものを吐いたのか、色やにおい、毛が含まれているか、赤くないか/血が付いていないかなども要チェックです。

動物病院で獣医師に状況を正しく伝えるためにも、吐物の写真を撮っておくことが有効です。

本当に嘔吐か?

首をかしげる猫

猫が吐いた吐物を見た時、「嘔吐した!」と安易に考えていないでしょうか?実は、吐くという行動を意味する症状には嘔吐だけでなく、吐出という症状も含まれます。何が違うかと言いますと、以下の通りです。

  • 嘔吐:胃に入った食べものや液体を吐き出すこと
  • 吐出:胃に入る前、つまり食道に溜まった未消化物を吐き出すこと

吐く症状が吐出なのか?嘔吐なのか?によって考えられる病気が大きく違います。

そのため、なるべく早く診断と治療に繋げるためにも、吐いている時の猫の様子の動画を携帯などで撮影し、動物病院を受診される際に獣医師に見せることはとても大切です。

獣医師は、吐く際に腹圧の有無や、吐いたものを食べるか等をチェックして吐出と嘔吐を見分けます。

また、必要に応じて吐き気どめなどが効くかどうかなどを試すこともあります。

異物には要注意!

ひも

子猫や若い猫で突然の嘔吐を認めた時は、何か変なものを食べてしまっていないか、家の中のものでなくなったもの・かじられた痕跡があるものがないかを探してください。

特に、ひも状のものを猫が食べてしまった場合は非常に危険な状態です。一刻も早く動物病院にかかることが必要です。

病院では、獣医師は猫の口の中をまず観察します。

ある報告では、約60%の確率で猫のひも状異物が舌根部に引っかかっていたそうです。さらに、必要に応じてレントゲン検査や超音波検査検査で異常がないかを検査していきます。

一度の検査で判断できないこともありますので、数時間後や翌日に再検査を行うこともあります。

何より、基本的なことではありますが、猫が食べてしまいかねないようなものを家の中に置かないことがとても大切です。

まとめ

飼い主と猫

猫を飼い始めた方にとって、可愛い愛猫が吐いてしまったらとても驚いてしまうと思います。本記事がそのような場合に少しでもお役に立てるものでしたら幸いです。

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