猫の歯肉炎とは?原因や症状、治療法について解説

猫の歯肉炎は、口の中の炎症が慢性的に続くことで、痛みや違和感を引き起こす病気です。食欲や飲水量の低下につながることがあり、放置すると健康に悪影響を及ぼします。本記事では、歯肉炎の原因や症状、治療法について詳しく解説します。
猫の歯肉炎とは?主な原因と症状

猫の歯肉炎は、口腔内で慢性的に炎症が起こる病気で、私たちが想像するような典型的な歯肉炎は突然発症するものではありません。進行した歯肉炎により痛みや違和感が生じ、食欲や飲水量の低下につながることがよくあります。
原因:なぜ歯肉炎が起こるのか?
歯肉炎の直接的な原因はまだ明確に特定されていませんが、口腔内の細菌に対する異常な免疫反応が大きな要因と考えられています。口の中の細菌に対して、本来ならば適度に働くはずの猫の免疫システムが過剰に反応し、炎症を引き起こしてしまうのです。
また、歯石の蓄積やウイルス感染も関与している可能性はあります。そのため、特に免疫が低下している猫では、より重症化しやすい可能性があります。
症状:食欲低下やグルーミングの変化
猫の歯肉炎の主な症状は以下の通りです。
- 食欲の低下:食べたい気持ちはあるのに、口の痛みで食べられない。特にドライフードを嫌がるようになることが多い
- 飲水量の低下:水を飲む際に痛みを感じ、飲むのを避けることがある
- よだれが増える:口の中の炎症が進むと、よだれの量が増え、口の周りが汚れることがある
- グルーミング時の異常:猫は普段から体をなめて清潔に保つ習性がありますが、歯肉炎があると、唾液が多く付着し、特によくなめる前足が汚れることが多い
また、高齢の猫では、見た目が歯肉炎に似ている口腔内の腫瘍(がん)の可能性もあるため、慎重かつ早期の診断が必要となります。
歯肉炎の診断と注意すべきポイント

猫の歯肉炎は、口の中を詳しく診ることで診断されます。しかし、痛みがあるため、猫が口を開けたがらず、詳しい検査には鎮静や全身麻酔が必要になることが多いです。
歯肉炎と腫瘍の見分け方
特に高齢の猫では、歯肉炎だと思っていたら実は口腔内のがんだったというケースがあります。
がんの場合、歯肉の腫れ方が不均一で、一部が硬くなっていたり、出血が続いたりすることが特徴です。疑わしい場合は、詳しい検査(細胞診や組織検査)を行う必要があります。
病気の進行度による違い
軽度の歯肉炎なら、歯みがきやデンタルケアで進行を少しですが抑えられることもありますが、進行度合いが中等度以上になると、抜歯を含めた積極的な治療が必要になります。
治療方法と管理のポイント

歯肉炎の治療は、炎症の原因となる口腔内の細菌をできる限り除去することが基本となります。
抜歯が有効な治療法
多くの場合、歯肉炎が進行すると、全身麻酔下での抜歯が必要になります。特に重症例では、すべての歯を抜歯することで、初めて炎症が治まることも少なくありません。これは、歯がある限り細菌が歯周ポケットにどうしても溜まりやすく、免疫の異常反応が続いてしまうためです。
薬による治療
必要に応じて、以下のような薬が使われます。
- 抗菌薬(抗生物質):細菌の増殖を抑えるために使用する
- 抗炎症剤(ステロイドや免疫抑制剤):免疫の過剰な反応を抑え、炎症や痛みを和らげる
- 痛み止め:食事をとりやすくするために処方されることがある
ただし、薬はあくまで一時的な対症療法であり、根本的な治療にはならないため、長期的には抜歯が必要となるケースが多いです。
日常ケアの重要性
歯肉炎の予防や再発防止には、日常的な口腔ケアが不可欠です。
- 歯みがき:理想的には毎日行う。猫用の歯みがきペーストやガーゼを使用するとよい。歯ブラシを使用できることが理想的ではあるが、トレーニングが必要なことが多い
- デンタルフードやおもちゃ:歯垢を落とすのに役立つ。
- 定期的な動物病院でのチェック:早期発見早期治療のために、口腔内の健康状態を定期的に確認する。
まとめ

猫の歯肉炎は慢性的に進行し、痛みや食欲低下の原因となる病気です。原因は完全には解明されていませんが、口腔内細菌に対する異常な免疫反応が関与していると考えられています。
治療の基本は、炎症を引き起こす細菌を除去することであり、重症例では抜歯が必要になることも多いです。高齢猫では口腔内のがんとの区別が重要であり、定期的な検診や適切なケアが大切です。