猫がマダニから感染する病気や症状と対処法

猫がマダニから感染する病気や症状と対処法

猫がマダニに寄生されると、病気に感染することがあります。猫がマダニから感染する病気にはどんなものがあるのか、またどのような症状が出るのか、猫がマダニに噛まれた時の対処法や予防法などもあわせてお伝えします!

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監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

猫がマダニに刺された時の症状

耳を掻く子猫

猫がマダニに寄生されると、以下のような症状が出ます。

  • 痛みや痒み
  • 貧血
  • 神経障害

猫がマダニに刺されると痛みやかゆみを生じる

猫がマダニに刺されると、破られた皮膚の細胞と、マダニから分泌される唾液成分によって免疫反応が起こり、痛みやかゆみを感じます。刺された部位が赤くなって腫れたりして、皮膚炎を起こすこともあります。

猫がマダニに刺されると貧血になる事もある

たくさんのマダニに寄生されて血を吸われたり、寄生されたのが子猫であったりする場合、貧血になる場合もあります。

マダニの種類によっては猫の神経障害を引き起こす

また、マダニの種類によっては、唾液中に毒性物質を作り出すものもいます。マダニに吸血されて、毒性物質が体内に入ってしまうと、麻痺や歩行障害などの神経障害を引き起こすこともあります。

マダニから病原体を媒介する可能性がある

さらに、寄生したマダニは猫の血液を吸いますが、その時に虫やウイルスや細菌などといった様々な病原体を媒介することがあります。このために他の疾患にかかることも多く、猫の命にかかわる病気になることもあります。

猫がマダニに刺されると発症する病気

診察される猫

マダニによる猫のヘモバルトネラ症(猫伝染性貧血)

マダニから猫にヘモバルトネラ・フェリスという病原体が赤血球の表面に付着することで、赤血球が破壊されて、猫が貧血になる病気です。マダニがこの病原体を持っていることで感染すると考えられます。

マダニから発症する病気ヘモバルトネラ症(猫伝染性貧血)の症状は、貧血、発熱、黄疸、元気がなくなる、脾臓が腫れるためにお腹が膨れて見えるなどです。治療法は、検査の後、抗生物質を投与します。また貧血がひどい場合には輸血などを使用します。
ヘモバルトネラ症は治療によっていったん回復させることはできても、病原体を体外から排除することはできないので再発する危険性はあります。

マダニによる猫の日本紅斑熱

マダニから猫にリケッチアという小型の細菌に感染して起こる病気です。猫が無症状の場合もありますが、発熱、発疹のほか、血液細胞の異常などの症状があります。

マダニによる猫の日本紅斑熱は人間にも感染し、頭痛や発熱、手足に発疹が現れる、全身の倦怠感などの症状が出ます。マダニによる猫の日本紅斑熱の治療は、適切で効果のある抗菌薬を投与することになります。

マダニによるライム病

マダニによるライム病は、ボレリア菌という細菌によって引き起こされる人獣共通の感染症で、マダニが吸血することで媒介されます。症状は、発熱や食欲不振、元気がない、などがあります。

マダニによるライム病が人に感染した時には、マダニに咬まれた部分を中心とする赤い発疹や、発熱、関節痛などがあります。マダニによるライム病は皮膚炎や関節炎が起こることもあります。治療法は、症状に合わせて抗生物質を投与します。

猫にマダニを発見した時の対処法

猫についたマダニ

猫についたマダニの取り方

猫にマダニが寄生しているのを見つけたら、取り方には気をつける必要があります。マダニがよく寄生する部位は、目の周り、まぶたの縁など、毛のない部分です。次に多いのは耳の裏や耳周りです。

マダニを見つけた時には、安易な取り方をしないで、出来れば獣医さんにそのまま連れて行きましょう。マダニの口はギザギザしていて、それを皮膚内に突っ込んで、糊のようなものを出してくっつきながら、吸血しています。

むやみにピンセットでマダニを取ってはいけない

無理やりマダニをピンセットなどで取ろうとすると、マダニの胴体部分がちぎれ、頭(口)部分のみが皮膚に残ってしまう可能性があります。

残った頭部分は、皮膚を切開して取り除く場合もあります。また、胴体部分を押すと、猫の体内にマダニの持つ病原体が入り込んでしまう可能性があるため、無理やり取ってはいけません。

虫除けスプレーを使ってマダニを取る

どうしてもマダニを取り除く必要がある場合や、すぐに獣医さんに連れていけないなどの理由がある場合には、虫除けスプレーを使う方法があります。コットンなどに虫除けスプレーやアルコールを含ませて、寄生しているマダニを覆い、マダニの方から離れて行かせます。

ワセリンを使ってマダニを取る

ワセリンをマダニの口部分に塗り、窒息させる、という取り方もあります。ただ、噛み付いたままで死んでしまう場合もあるので、必ず外れるとは限りません。

取れたマダニの廃棄方法

離れたマダニは決して潰さず、密閉した袋に入れて捨てましょう。ダニ除けの薬があればそれをかけた上で、密閉した袋にいれるとより安全です。洗剤や水につけた程度では、動きが止まるだけで、マダニはなかなか死なないとされています。

また、マダニが寄生した後は、強い痛みや痒みがあり、腫れてくることもあります。他の感染症にかかる可能性もありますから、マダニが体から離れても安心は出来ません。マダニが取れた場合も、出来るだけ早く獣医さんに連れて行きましょう。

猫がマダニに噛まれないための予防法

ダニノミ駆除剤をつけている猫

マダニの予防薬

マダニの寄生や健康被害から猫を守るには、予防することがいちばんです。マダニの咬着を防いでくれる、マダニ駆除薬の定期的な投与が効果的とされています。液体の薬剤を、猫の首後ろ部分に垂らすことで一定の期間、マダニ駆除出来ます。

マダニ予防のために使用する薬剤については、猫の大きさや年齢によっても変わってきます。獣医さんで相談して、効能や安全性が国から認められている、動物用医薬品を使用してもらい、飼い猫に合った駆除方法を選びましょう。

猫のマダニから人にうつる病気SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

猫と治療薬
  • マダニによる日本紅斑熱
  • マダニによるヘモバルトネラ症
  • マダニによるライム病
  • マダニによるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)

上記の、猫がマダニに噛まれて感染する日本紅斑熱、ヘモバルトネラ症、ライム病ともに、猫から人へもうつる病気です。さらに、人にうつった場合に致死率が高い症例として、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)についてご紹介します。

マダニによるSFTS (重症熱性血小板減少症候群)

SFTSは2011年に中国の研究者によって発表された、新しいウイルスによるダニ媒介性感染症のことです。SFTSに感染した猫の症状としては、元気がない、食欲不振、発熱などがあります。

マダニによるSFTSが人に感染した時の症状

人が感染すると、潜伏期が6日~2週間程度で、発熱、食欲低下、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が出ます。そのほか、頭痛や筋肉痛、さらには意識障害、けいれんや昏睡といった神経症状が出ることもあります。

ひどくなれば、リンパ節腫脹、咳などの呼吸器症状が出て、下血などの色々な症状を引き起こし、重症化すれば死亡することもあります。

2016年マダニ感染症で死亡したニュース

2016年には日本で、野良猫に噛まれた50代女性が、マダニ感染症で死亡するということが起こりました。マダニから猫を介して人に感染したということが今までになかったこと、さらに死亡例であったために、大きなニュースになりました。

この時の野良猫がマダニによるウイルスを保有していたかは、はっきり確認されていないようです。亡くなられた方はマダニによる傷がないため、猫に噛まれたことでウイルスが侵入したと推定されました。

現時点では、マダニによるSFTSに特効的な治療法はなく、ワクチンも開発されていないので、治療は水分補給や解熱剤の投与といった対症療法が中心になります。

まとめ

薬をつけてもらう猫

猫がマダニから感染する病気は、あまり症状が現れないものから、重症化してしまうものなど様々です。寄生しているマダニを見つけたら、慌てて取らずに、獣医さんに連れていくことをおすすめします。

猫がマダニから感染する病気の多くは、人にも感染します。

人の症状も、発熱や嘔吐、下痢といったものが多いのですが、猫が感染した場合よりも重症化する恐れもあります。

人の場合はマダニを軽く考えず、まず早めに皮膚科に行って診てもらってください。

猫を外に出さない、マダニ駆除薬の定期的の投与をする、といった予防をしっかりとしていきましょう。

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