猫に爪とぎ行動が必要な理由

そもそもなぜ猫には爪とぎが必要なのでしょうか?爪とぎは猫の本能的な行動であり、やめさせることはできません。
猫が生きる上でも重要なことなので、飼い主さんは爪とぎをやめさせるのではなく爪とぎができる環境づくりをしてあげましょう。
まずは猫がどんな時に爪とぎをしているのか、爪とぎの意味についてご紹介します。
爪のお手入れのため
猫は爪とぎをして古い上層の爪をはがし、新しい鋭い下層の爪を保っています。もともと猫は狩りをして暮らしていたので、獲物をとるために常に爪を鋭く保つ必要があったためです。
また、危険から身を守るために、木に登るときにも鋭い爪が欠かせません。特に外猫は猫以外の動物とも出会うことがあるので、爪とぎをすることは生命維持に必要な行動なのです。
マーキングのため
爪とぎは縄張りをアピールする効果があります。ガリガリと傷をつけて肉球にある「臭腺」から自分のニオイを分泌して擦りつけることで、その場所を所有物と主張しています。
猫にとってマーキングをすることは「ここは安心できる場所」という意味があるので、自宅の柱やソファーなどで爪とぎをするのです。
気持ちを落ち着かせるため
猫は悪いことをして叱られたときや狩りをして失敗したとき、ストレス発散のために爪とぎをします。そして背伸びやストレッチ、起床時や遊ぶ前の気分転換として爪とぎをすることも。
気持ちを切りかえたり落ち着かせたりするときにも、爪とぎはとても大切な役割を果たします。
猫に特定の場所で爪とぎをさせるしつけ方

猫は生後1か月を過ぎたあたりから爪とぎのしつけをすることができます。この頃から爪の出し入れができるようになるので、爪が引っかかりはじめます。
このタイミングで猫に爪とぎを覚えてもらい、飼い主が好みの素材や形状を把握できれば家具や壁紙への爪とぎを防ぐこともできます。
現在猫の爪とぎ場所でお悩みの方にもできる対処方法や爪とぎの素材、種類もご紹介します。
爪とぎグッズを用意する
猫の爪とぎの素材は、ダンボール、麻素材、木材、カーペット素材などさまざま。同じダンボール素材でもタテ型、ヨコ型、湾曲しているものなど、形状の種類も豊富です。
猫にも好みの素材や形状があるため、買ってきた爪とぎを全く使わない場合もあります。
猫の様子を見ながらさまざまなものにチャレンジしてみましょう。
また、爪とぎのサイズには目猫が体を伸ばしても爪とぎができるサイズを目安に選んでください。
爪とぎの設置場所は柱や壁、好んで爪とぎをしている場所、猫の寝床、移動途中にあるドア付近に複数置くのがベスト。
猫は飼い主さんに注目してもらうために爪とぎをすることがあるので、テレビの回りやソファーの向かいなど人の視線が集まる場所もおすすめです。
爪とぎをさせる方法
爪とぎの準備ができたら猫を爪とぎの場所まで連れていきます。しかし、すぐに爪とぎをはじめる子もいれば、全く興味を示さない子もいます。
爪とぎをないときは、優しく猫の手をもって肉球を擦りつけてください。猫自身のニオイをつけて「所有物」と認識してもらいましょう。
ポイントは「無理をさせないこと」と「ほめること」です。嫌がったら時間をあけて落ち着いたころに再度挑戦しましょう。
上手に擦りつけさせてくれたときは、たっぷりほめてあげてください。そうすることで、爪とぎが猫にとって楽しく気持ちのいいことだと認識してもらえます。
爪とぎの習慣がない子猫に教えるときは、飼い主さんが爪とぎの上で手をカリカリさせてお手本を見せ、「爪とぎとはこういうことだよ。」と教えてください。
爪とぎができたときにはたっぷりほめてあげてくださいね。
爪とぎをしてほしい場所に切りかえる対処法
爪とぎをしてほしくない場所で爪とぎをしていたら、叱りつけないようにしましょう。「ここで爪とぎをすればかまってもらえる」と認識してしまう恐れがあります。
爪とぎ場所を切り替えるなら、猫を爪とぎをしてほしい場所に連れていくことです。そして優しく肉球を擦りつけてあげます。
一度上手にできてもまた爪とぎをしてほしくない場所ですることもありますが、根気よくくり返して行い成功したらほめることがとても大切です。
なかなか上手にできない場合、成猫に限りまたたびを使う方法があります。爪とぎにまたたびの粉をつけて興味を引くのです。しかしまたたびをなめて終わってしまう可能性もあるので、最終手段として使いましょう。
叱らないことと、ほめることがとても大切です。飼い主さんはとても根気が必要ですが、くり返すことで猫も必ず覚えてくれるので焦らないようにしましょう。
猫の爪とぎを防ぐためにできる対策

猫の爪とぎを成功させるには、爪とぎをされたくない場所に対策することも大切です。そうすることで猫を爪とぎをする場所へ誘導しやすくなり、猫自身も混乱せずに爪とぎ場所へ向かうようになります。
対策方法とグッズもあわせてご紹介します。
爪とぎを使って防止
爪とぎにはさまざまな形状のものがあるので、柱やソファーに立てかけて保護したり、本体を壁や柱に貼ったりして爪とぎを防止できます。
猫の爪とぎができないように壁に貼る半透明のシートもあるのでおすすめです。ツルツルした場所には爪が引っかからないので、あらかじめ貼ることで猫は爪とぎできません。
爪とぎ防止スプレー
猫に爪とぎされる場所に直接スプレーをかけて、猫が近寄れないようにして爪とぎを防止する方法もあります。
スプレーには猫の苦手な柑橘の香りなどの成分が入っています。嫌な臭いのする場所だと覚えてもらうためにくり返し吹きかけて利用すると効果的です。
棚を置いて猫が入れないにする
家具が動かせるなら猫が入れないようにふさいで、同じ場所で爪とぎをさせないようにします。通せんぼをして爪とぎができない状態を作るのです。
そして準備しておいた爪とぎにしつけをして、新しい爪とぎ場所を覚えてもらいましょう。
爪切りをこまめにする
爪とぎのしつけがうまく進まず、爪とぎをされたくない場所の傷を少しでもおさえたいときは爪切りをこまめにしましょう。普段から自宅で爪切りの習慣のある猫なら、爪を切る回数を増やすだけで対策になります。
外猫だと木登りができなくなるので、危険にさらされる可能性と猫にストレスがかかることもあります。猫にリスクがあることをふまえて、爪を切るか考えてみてください。
【原因別】爪とぎのしつけがうまくいかない時の対処法

爪とぎグッズそのものが気に入らない場合
素材が好みではない
猫は爪とぎの素材に強いこだわりを持つことがあります。一般的にはダンボールや麻が好まれますが、中にはカーペット生地や木材を好む猫もいます。
今使っている爪とぎに見向きもしない場合は、全く異なる素材のものを試してみましょう。複数の素材を試せるサンプルや、安価なものをいくつか用意して、愛猫がどの素材に興味を示すか観察することが解決の糸口になります。
形状やサイズが合っていない
猫が体を思い切り伸ばして爪とぎができるよう、十分な大きさと高さがあるか確認してください。特に大型の猫の場合、市販の爪とぎでは小さすぎることがあります。
また、猫の好みによって、床置きの水平タイプ、壁に立てかける垂直タイプ、あるいは斜めやトンネル型など、好む形状は様々です。
現在の爪とぎ行動を観察し、どのような角度や体勢で爪とぎをしているかチェックして、それに合った形状のものを選んであげましょう。
安定感がなくグラグラする
猫は爪とぎに力を込めるため、グラグラと不安定なものは好みません。安心して全体重を預けられないと、その爪とぎを使わなくなってしまいます。
特に縦置きタイプの場合は、猫が寄りかかっても倒れないように、底面が広く重さがあるものや、壁に固定できるタイプを選びましょう。
床置きタイプの場合も、滑り止めシートを下に敷くなどの工夫で安定感が増し、使ってくれるようになることがあります。
爪とぎの設置場所が不適切な場合
縄張りや生活動線上にない
猫は自分の縄張りを主張するために、目立つ場所で爪とぎをします。いつも爪とぎされて困っている場所があれば、そこが猫にとっての一等地です。その場所を保護シートなどでカバーし、すぐそばに新しい爪とぎを設置するのが最も効果的です。また、寝床の近くや、よく通る廊下など、猫の生活動線上に置くことも重要です。
落ち着かない場所にある
人通りが多すぎたり、大きな物音がしたりする場所に爪とぎを置くと、猫は警戒して使ってくれません。リラックスして爪とぎができるように、少し静かで落ち着ける環境に設置してあげましょう。
ただし、全く人気のない孤立した場所では、マーキングの意味が薄れてしまうため、適度に飼い主の気配が感じられる場所が理想です。
ストレスや体調に問題がある場合
環境の変化や運動不足によるストレス
引っ越しや家族構成の変化、模様替えなど、環境の変化は猫にとって大きなストレスとなり、問題行動としての爪とぎを引き起こすことがあります。また、遊びや運動の時間が足りていないと、有り余るエネルギーを発散させるために過度に爪とぎをすることもあります。
思い当たる節がある場合は、まず猫が安心できる環境を整え、おもちゃで遊ぶ時間を増やすなど、ストレスの原因を取り除くことから始めましょう。
病気やケガが隠れている可能性
これまで問題なく爪とぎをしていたのに、急にしなくなった、あるいは特定の場所でしかしなくなったという場合は、関節炎などで体に痛みを感じている可能性があります。特にシニア猫の場合、高い場所に登ったり、踏ん張ったりする姿勢が辛くなっているのかもしれません。
爪とぎの行動に不自然な変化が見られたら、一度動物病院で獣医師に相談することをおすすめします。
猫の爪とぎのしつけで役立つグッズ

爪とぎは素材、サイズ、形状とそれぞれの猫に合うものが見つかるように工夫を凝らしたものが販売されています。
対策グッズもスプレーやシートなど種類が豊富です。その中でもオススメの商品を集めてご紹介します。ぜひ爪とぎのしつけに活用してください。
猫壱バリバリボード 一枚板だから丈夫&安定感
柱や壁の目隠しにもなるダンボール素材の爪とぎです。バリバリ爪とぎをしながら、上にむかって体を伸ばせるのでストレッチ効果も期待できます。
- タテ型(L字型)
- すべり止め付き
- 粘着テープ不使用、植物由来の糊を使っているので安心
- タテの長さ70cmあるので大きめの猫も使用できる
サンコー 猫 爪とぎ 壁に貼ってネコのストレス解消
壁に貼るタイプの爪とぎです。
- 壁に貼ってはがせる 糊あとがつかない
- 猫の好みの位置に貼れる
- ダンボール、麻素材どちらも取り扱いあり
- ダンボールも麻も天然素材の日本製で安心
爪とぎを設置するときに壁に傷をつけずにすむので、賃貸でも利用ができるのがうれしいですね。取り扱いがダンボールと麻があるのでお好きな素材を選ぶことができます。
はがせるタイプ 猫の爪とぎ防止シート
壁に半透明の保護シートです。猫に爪とぎをされる前に使う対策用品です。
- 貼ってはがせる弱粘着タイプ
- 貼った部分が目立ちにくい半透明のシート
- シートの上をふき取りできるので清潔さも保てる
賃貸や新居で壁に傷をつけたくないときにおすすめです。猫の爪が引っかかりにくくなります。
ヒッカキノン100
近寄ってほしくない場所にスプレーをする忌避剤です。
- 猫の苦手なニオイ、柑橘、木酢(煙のニオイ)、ワサビを使ったスプレー
- 傷をつけたくない家具などに直接スプレー可能
- 透明液なのでシミが残らない
「ここは苦手なニオイがする場所だ」と覚えてもらい猫が近づかないようにする対策グッズです。猫が本能で苦手なニオイ3種を使っているので効果が期待できます。
ペティオ つめみがきホルダー 猫用
ケージに爪とぎを固定することができるホルダーです。
- 厚さ20~40mmの爪みがき、ケージのタテ線幅35mmまで対応
- サイズが合えばダンボール素材、麻素材でも使用可能
- タテ、ヨコ、位置も猫の好みに合わせることが可能
ケージ内に爪とぎを固定したいときおすすめです。ケージの中で爪とぎを教えたいときやケージ内でのストレス解消にも役に立ちます。
キャットタワー 爪とぎ付き Mサイズ
ポール部分が麻ひもで巻かれたタイプのキャットタワーです。
- キャットタワーならどこでも爪とぎ可能
- カーペット素材、麻素材とあるので猫の好みも知ることができる
木製やダンボール製など、さまざまな素材のキャットタワーが販売されています。多くのものが爪とぎと兼用になっているので、素材やサイズなどお好みのものが見つかるでしょう。
猫の箱庭 Rugtasu タイルラグ
猫のために糸から考えて作られたタイルラグです。猫に爪とぎをされたくない場所に貼ればキズ対策になります。
- 1枚から購入可能
- 無料サンプルで事前に素材の確認可能
- 洗濯機で洗える
- 表面のカットパイルは爪が引っかかりにくい仕様
カーペット素材で爪とぎが心配な人にも安心です。
まとめ

猫は本能的に爪とぎが欠かせない動物です。猫と人がお互い快適に暮らすためにも爪とぎグッズの準備や、爪とぎを防止する対策がとても大切になります。そして爪とぎのしつけは猫を叱らずに根気よく続けることも大切です。
爪とぎの素材や形、サイズ、設置場所を変えるなど、少しの変化で爪とぎをしてくれる可能性もあるので、できるところから試すことをおすすめします。
少しずつ工夫をこらすことで愛猫との快適な暮らしに近づくことができます。爪とぎのしつけは猫と向き合う時間でもあるので、その大切な時間をぜひ楽しんでくださいね。