猫に梅干しを与えても大丈夫?誤飲した時の症状と対処法

猫に梅干しを与えても大丈夫?誤飲した時の症状と対処法

日本の伝統的な食べ物である梅干しは猫に与えてもいいのでしょうか。梅干しは健康に良さそうなイメージがありますが、猫は酸っぱいニオイを嫌うと言われています。猫に梅干しを与えて危険はないのかなど調べてみました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫は梅干しを食べていいのか

梅干し

猫に与えてはいけない大きな理由は下記です。

  • 塩分過多

猫には食べてはいけないものがいくつかあります。梅干しは「与えて良いとは言えない」食品です。梅干しは疲労回復や殺菌作用をはじめとした健康効果が注目されていますが、保存のために塩を加えていますので、塩分過多になります。

猫と梅干しの塩分

猫と水のボウル

梅干しは塩を多く使うことで長期間の保存を可能にしています。猫にとって梅干しは塩分が高く腎臓に負担となるため与えることは控えた方がいいのです。

梅干しに含まれる塩分の量

  • 梅干し1個:4g以上
  • 減塩梅干し1個:2g程度

では、梅干しに含まれる塩分の量はどれくらいあるのでしょうか。伝統的な作り方の梅干しでは塩分が20%以上になり、食塩の量にすると梅干し1個に4g以上含まれます。塩分が7%と減塩されている梅干しでも2g程度の食塩が含まれることになるのです。

猫が1日で摂取する塩分

  • 1日約3gが上限

猫が摂取する塩分を食塩で表すと1日約3gが上限といわれています。猫は人と違い汗をかく量が少なく、塩分を消費する量も少ないです。必要以上に塩分を摂取することで、体から塩分を排出しなくてはならないため腎臓への負担が大きくなるのです。

梅干しの調味梅

  • 保存料
  • 甘味料
  • 着色料

また、市販されている梅干しには「調味梅」と呼ばれるものがあり、保存料や甘味料、着色料などが使用されています。塩分にプラスして添加物も含まれているため猫にとって良いとは言えないでしょう。

猫と梅干しの種の誤飲

診察を受ける猫

猫の誤飲はひも状の物が多いのですが、梅干しや果物の種も誤飲してしまうことがあります。

梅干しの種を誤飲したときの症状

猫が梅干しの種を飲み込んでしまうと、種は消化されないため嘔吐や下痢、食欲不振などで気付く場合があります。しかし、症状があらわれないことが多いのです。種の大きさによっては吐き出されたり、うんちと一緒に排出されたりすることもあります。

しかし、胃や腸を傷付けてしまう可能性や、喉に詰まって呼吸困難を引き起こしたり、腸に詰まって腸閉塞になったりする危険もあるのです。腸閉塞になると嘔吐や食欲不振、お腹を触ることをとても嫌がる、丸くなってじっとするという症状がみられます。

梅干しの種の誤飲に気付いたら

猫が梅干しの種を飲み込んだことに気付いたり、疑いがある場合はすぐに動物病院へ連絡をします。病院では触診、エックス線、超音波、消化管造影等を行い体内の異物や消化管の状態を確認します。

その時には、「梅干しの種の大きさや、誤飲してからどのくらい時間が経っているか」など、できるだけ情報を提供しましょう。

病院での処置

病院での処置は、吐かせる、内視鏡手術、開腹手術が多いです。吐かせるために催吐剤を経口や注射で投与しますが、猫の場合我慢してしまう子が多いです。

内視鏡はお腹を切らずに対処できるメリットがありますが、梅干しの種が胃を通過してしまっている場合は開腹手術となります。開腹手術は入院や薬を含め10~15万円前後の費用がかかることが多いです。

梅干しの種を誤飲してしまう要因

誤飲は6歳未満ぐらいの年齢に多く、その時期は好奇心旺盛で色々なことに興味を持ちます。そのため、梅干しやその種に興味を持ち遊んでいるうちに飲み込んでしまうことが考えられるのです。

誤飲で苦しい思いをしても、梅干しの種は「遊んで楽しかった物」という記憶しか残らず、それが原因で苦しい思いをしたとは認識が難しく、再び誤飲してしまう可能性が高いです。

また、ダイエットで空腹になっている猫は食べ物ではないものを口に入れてしまうことがあります。ダイエット方法は獣医師に相談をして、食事の回数など与え方を猫に合わせることが必要です。また、食べ物への執着が強い性格の猫も注意が必要です。

梅干しが好きな猫もいる

ざると梅干し

猫は酸っぱいニオイが嫌いと言われていますが、中には梅干しが好きな猫もいます。種と塩分に気を付けてほんの少量、舐める程度であれば問題はないでしょう。

猫はニオイで食べられるかを判断します。市販品の梅干しはカツオエキスや昆布エキスが含まれているものもあるので、そのニオイが魅力的なのかもしれません。また、猫は甘味以外の「うま味、苦味、塩味、酸味」を感じることができるので、味が好みだったということも考えられますね。

食べること以外で梅干しが好きな猫もいました。2017年の春にSNSに投稿され話題になった猫をご存知の方もいるのではないでしょうか。梅干しを作るために梅を干していたところ、その上に猫が寝そべってしまったのです。

この方以外にも「干していた梅に猫の毛がついていた」という投稿がありました。梅が魅力的なのか、干すために使われたザルが魅力的だったのか、不思議ですね。

梅干し以外の物を与えてもいいのか?

青い梅
  • 生の梅は猫にとって毒

梅干しが好きな猫もいますが、絶対に生の梅は与えてはいけません。熟していない梅やその種の中にはアミグダリンという毒素が含まれています。熟した梅や漬けてある梅では毒素の心配はほとんどありません。

猫に良くないイメージが多い梅ですが犬猫用に加工した製品もあります。加熱濃縮した梅エキスを使用した健康補助食品があるのです。酸味などを抑えて猫が食べやすいように工夫されています。動物病院でも取り扱っているところがあるようです。

まとめ

プラムと猫
  • 猫に梅干しを食べさせてはいけない!
  • 梅干しの塩分が猫には多すぎるから
  • 梅干しの中には添加物が入っている物もある
  • 梅干しの種などを誤飲する可能性がある
  • 生の梅は毒があるので食べさせてはいけない!

猫にとって梅干しは、塩分が高すぎることや種の誤飲の恐れがあるため、与えることは控えた方が良いと言えます。種を取り除き舐める程度であればそれほど心配はないでしょう。誤飲してしまうと手術となり、猫の体力や飼い主の経済的な負担にもなります。好奇心旺盛な性格の猫の場合、生ごみ等から種を見つけてしまうことも考えられるので十分注意が必要ですね。

投稿者

40代 女性 かな

梅干しは、猫ちゃんには塩分が多すぎますね。
夏場には汗をかくので、梅干しが必要なのは私たち人間だけなのですね。梅は体にいいですので、梅シロップを一滴猫ちゃんの飲み水に入れて飲ませています。頻度は月に一度くらいです。胃の働きが活発になり、調子がよくなります。梅シロップを作るときは極力、塩を減らします。祖母がいつも作ってくれています。人間用と猫ちゃん用とを作ってくれます。猫ちゃんも好きで楽しみにしています。

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