猫に味噌汁を与えてはいけない理由
味噌汁は塩分が高い
結論から言うと、猫に味噌汁を与えてはいけません。猫にとって味噌汁に含まれる塩分が高すぎるためです。猫は体の構造上、人間のように全身から汗を出して体内の塩分を調整することができません。そのため味噌汁のように塩分の高いものを摂ると、心臓や腎臓に負担がかかり病気を引き起こしやすくなります。
しかし猫にとって塩分自体が全く必要ないというわけではありません。塩分を与える場合には、ごく少量で良いということを覚えておきましょう。
味噌汁に入っているネギ類
味噌汁に使用されることも多い長ネギや玉ねぎなどのネギ科の植物全般には、猫にとって毒となる「アリルプロピルジスフィド」という成分が含まれています。
猫がネギ類を食べると、この成分により赤血球が破壊され「溶血性貧血」を引き起こします。溶血性貧血になると、体の組織や細胞に十分な量の酸素を運べなくなるため、体に様々な異常があらわれます。
猫は、ネギや玉ねぎを少量でも摂取すると中毒症状を起こし、最悪の場合には命にかかわることもあるため絶対に与えてはいけません。
たとえ長ネギや玉ねぎなどの具を避けたとしても、味噌汁自体にネギや玉ねぎのエキスが染み出ているので、猫には与えないようにしましょう。
猫に味噌汁ご飯(ねこまんま)を与えていた経緯
猫に与えていた味噌汁ご飯「ねこまんま」とは
「まんま」とは「飯」の幼児語で、猫に与える残飯を思い起こすような、簡単で便利な混ぜご飯のことを「ねこまんま」と言います。具体的には、ご飯に鰹節をかけて混ぜ込んだものや味噌汁をかけたものがそれにあたるようです。「ねこめし(猫飯)」または「にゃんこめし」とも呼ばれています。
キャットフードがまだ普及していなかった1970年代以前は、犬や猫は人の残飯を与えている時期がありました。猫が食べやすい状態にして与える猫の餌を「ねこまんま」と呼び、それが徐々に一般的に使われるようになったのではないかと考えられます。
ねこまんまは猫に与えないほうがいい
味噌汁や鰹節をご飯にかけた「ねこまんま」は猫に与えてはいけません。
白米自体に害になる成分は含まれていませんが、味噌汁や人間用の鰹節には塩分が多く含まれていますし、猫が食べると危険なネギ類が使われている可能性もあります。すべての猫が病気や中毒になるというわけではありませんが、猫の健康に配慮するならば与えないほうがよいでしょう。
現在は栄養バランスの取れたキャットフードが手に入る時代です。わざわざ、ねこまんまを食べさせる必要はありません。
猫が味噌汁を舐めた時の対処法
塩分をとりすぎた場合
猫が味噌汁を舐めたとしても、少量であれば問題ありません。しかし多量にとってしまった場合は、新鮮な水を飲ませてあげることが有効な対処法となります。体の中で急激に上がってしまった塩分濃度を薄めるために、できるだけ水を飲ませるようにしましょう。
中毒を起こしている場合
味噌汁にネギのかけらや玉ねぎが入っていた場合、すぐに病院へ連れて行き獣医師の診察を受けるか、電話で緊急なことを伝え指示を仰ぐことが重要です。また、中毒を起こした原因によって治療法や薬が異なるので、「何を舐めたのか」「どのくらい舐めたのか」など説明できるようにしておきましょう。
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 血尿(赤色~褐色)
- 元気がなくなる
- 足元がふらつく
- 呼吸や脈が弱くなる
- ショック症状で意識がなくなる
ネギ入りの味噌汁を舐めてしまった時に発症する可能性がある中毒症状には、上記が挙げられます。症状はすぐにはあらわれず、12時間後から数日かかるため、ネギ類が原因だと気が付きにくいかもしれません。後から症状が出てくることも多いですが、猫が味噌汁を舐めたと気づいた時点でできるだけ早めに病院へ連れていくことが大切です。
どれぐらいの量を舐めたら危険?
猫には個体差があるため、どのくらいの量の味噌汁を舐めると危険なのかはっきりとしていません。猫の塩分による致死量は、猫の体重1kgあたり4g以下と言われています。
また、玉ねぎの場合は一般的に体重1kgあたり15g程度(大さじ1杯ほど)で中毒を起こし、致死量にもなりうると考えられています。
特に、幼猫や高齢猫は注意が必要で、健康な猫でもその時の体調や体質によって重度の貧血状態に陥ってしまうことがあるので注意が必要です。
まとめ
猫に味噌汁を与えた場合、使う食材によっては猫が少量舐めただけで中毒症状を引き起こすことがあります。猫がネギ類が入った味噌汁を舐めてしまったら、最悪の場合には命にかかわる危険性がありますので、すぐに病院に連れて行き適切な対処をすることが大切です。またネギ類が入っていないにしても、人間用の味付けでは塩分過剰になってしまうため、多量に与えることがないように注意しましょう。
昔は当たり前に与えていた味噌汁かけご飯(ねこまんま)も、現在では人間と同じ食べ物を与えることは避けたほうが良いとされています。猫の体質によって影響に差はありますが、猫の健康のためにも一般的に与えないほうが良いとされる食材について正しい知識を身につけられるとよいですね。