猫がフライドポテトを食べてはいけない理由
ジャンクフードの定番ともいわれるフライドポテト。好んで食べる人も多い一方、塩分や脂質が非常に多いため、食べ過ぎは良くないといわれています。
私たち人間にとっては何てことない量のフライドポテトであっても、体の小さい猫には大きな負担。ここでは、猫がフライドポテトを食べることで起こりうる問題について解説します。
塩分の摂りすぎで腎臓や心臓に負担がかかる
フライドポテトの塩分は猫にとって過剰なため、数本食べるだけで塩分過多を起こします。本来、塩分は体の水分バランスを一定に保ったり、血液循環をスムーズに行ったりするために必要不可欠な成分です。
しかし正常範囲を超えて摂取した場合、血液中の食塩濃度や浸透圧が通常よりも高くなってしまい、血液の循環量が増加。大量の血液を循環させようとするあまり、血管や心臓、腎臓に必要以上の圧がかかり、腎臓病や心臓病のリスクが高まります。
脂質の摂りすぎで肥満になる恐れがある
フライドポテトには大量の脂質が含まれているため、日常的に与えた場合は肥満を引き起こす可能性があります。5大栄養素のひとつである脂質は、炭水化物やタンパク質に比べて約2倍以上のカロリーがあり、少量でも多くのエネルギーが得られます。
一方、使われなかった分はほとんどが中性脂肪となって体内に蓄積されるため、過剰摂取は肥満の原因になります。室内飼いの成猫の多くが運動不足ぎみであることを考えても、猫にフライドポテトは与えるべきではないといえるでしょう。
老化促進物質によってガンのリスクが高まる恐れがある
フライドポテトには、AGE(終末糖化産物)という「老化促進にかかわる物質」が多く含まれており、猫に与えることで体の細胞機能が衰える可能性があります。
AGEは高温で調理するほど増加する特徴があり、フライドポテトをはじめ、ホットケーキやステーキなど焼き目がついた食品に多く含まれます。
また、AGEの一種である「アクリルアミド」には発がん性の疑いがあり、老化を早めるだけでなく、ガンの発症リスクを高める可能性も。
実際アメリカ政府や食品医薬品局(FDA)では、アクリルアミドの摂取量を控えるよう呼び掛けており、あえて猫に与える必要性はないといえます。
猫がフライドポテトを食べてしまったら?
少量のフライドポテトであれば、猫が食べて体調を崩すケースはほとんどありません。
じゃがいもを油で揚げただけのシンプルなフライドポテトには、猫にとって危険なものは入っていないため、心配しなくても大丈夫です。猫によっては便がゆるくなることもありますが、一時的な消化不良が原因なので、しばらくすれば良くなるでしょう。
ただし、腎臓や心臓が弱っている猫が大量のフライドポテトを食べてしまった場合は注意が必要です。下痢や嘔吐などの症状はもちろん、いつもより元気がない様子のときは、すぐに動物病院を受診しましょう。
動物病院を受診する際は、「いつ」「どのぐらい」食べたのかを簡潔に説明することで、的確な治療を受けられます。
猫はじゃがいもを食べても大丈夫?
フライドポテトは猫に与えないほうが良いことが分かりました。ではフライドポテトの原料である「じゃがいも」は、猫が食べても良いものなのでしょうか?ここでは、じゃがいもに含まれる栄養素と猫への影響、与える際の注意点を解説します。
じゃがいもは猫の健康を促進する食材!食べても大丈夫
まず、じゃがいもは猫に与えても良い食材です。猫は完全肉食動物のため、基本的に野菜は摂取しなくても良い体をしていますが、じゃがいもに含まれる食物繊維を摂ることで「便秘の解消」が期待できます。
また、じゃがいも1個のビタミンCはみかんと同じくらいといわれており、免疫力アップや皮膚の健康維持をサポートしてくれます。
ビタミンCは長時間水にさらしたり煮込んだりすると水分中に溶け出してしまいますが、じゃがいものビタミンCはでんぷんによって守られているため、ほかの野菜より漏出が少ないのが特徴です。
皮や芽を取り除いて火を通してから与える
猫にじゃがいもを与えるときは芽や皮を取り除き、必ず加熱しましょう。じゃがいもの皮や生のじゃがいもは消化に良くないため、猫が食べると消化不良を起こす可能性があります。
また、緑色の皮部分や芽には中毒症状を引き起こす「チャコニン」や「ソラニン」などの天然毒素が含まれており、猫が食べた場合は命にかかわります。これらの毒素は加熱しても減らないため、必ず丁寧に取り除くようにしてください。
また、猫が火傷しないよう、加熱後は少し冷ましてから与えましょう。油で揚げてしまうと脂質・カロリー過多になるため、お湯で柔らかくゆでるか、電子レンジなどで加熱すると良いですね。
アレルギー症状が出ないことを確認して与える
多くはありませんが、じゃがいもに食物アレルギーがある猫もいます。猫にじゃがいもを始めて与えるときは、ごく少量からスタートするようにしましょう。
もし食後に体をかゆがったり、口周りの赤みや嘔吐・下痢などの症状がみられたりした場合は、アレルギーの可能性があります。猫のじゃがいもアレルギーが重症化するケースはほとんどありませんが、しばらくは様子をみて、不安な場合は獣医師の指示を仰ぎましょう。
おやつやトッピングとして少量を与える
じゃがいもはあくまでおやつやトッピングとして、少量のみ与えましょう。肉食動物である猫の腸は野菜や果物の消化が得意ではありません。そのため、あまりたくさん与えると胃腸に負担がかかり、嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。
じゃがいもは健康に良いからといって与えすぎてしまうと、かえって猫が体調を崩す原因になるため注意してください。あくまでじゃがいもはおやつやトッピングとして、猫が欲しがった場合のみ少量与えること。嫌がる場合は無理をせず、猫にストレスを与えないようにしましょう。
持病がある猫には与えないようにする
愛猫が糖尿病、心臓病、腎臓病などの持病を患っている場合、じゃがいもを与えるのは避けたほうが良いでしょう。じゃがいもは栄養価の高い食材である一方、血糖値の急上昇を引き起こしたり、肥満の原因になったりすることもあります。
また、尿路結石症などの療法食を食べていたり、アレルギー体質の猫に与えたりする場合も注意が必要です。場合によっては治療に影響を及ぼす可能性もあるため、じゃがいもを与えたいと思ったときは念のため獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ
カリッと揚がったフライドポテトはとても美味しい料理ですが、猫にとっては塩分・脂質のかたまり。健康な猫が少量食べるくらいで体調を崩すことはほとんどありませんが、一度に大量に食べてしまったり日常的に与えたりするのはNG。体調不良を引き起こすだけではなく、肥満や腎臓病、ガンなどのリスクが高まるため、与えてはいけません。
一方、フライドポテトの原料であるじゃがいもは、便秘改善や免疫力アップ、皮膚の健康維持など、猫の健康促進に良い影響を与えてくれます。じゃがいものビタミンCは加熱時の漏出量が少ないため、気兼ねなく調理することができるでしょう。
ただし、猫は完全肉食動物のため、与える際はあくまでおやつやトッピング程度にすること。あげすぎは消化不良を引き起こし、嘔吐や下痢の原因になります。持病や体質面で与えてもよいか迷ったときは、念のため獣医師に確認してくださいね。