猫がふみふみしないのはなぜ?
猫が足をふみふみしている仕草はかわいいですよね。この行動は、「ニーディング」や「ミルクレッド」と呼ばれ、子猫期の行動の名残と言われています。猫好きな方なら一度は見たことがある行動ですよね。
猫はみんなふみふみすると思っていたのに、うちの子はしないなぁと残念に思っている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、ふみふみ行動を「する猫」と「しない猫」がいるのです。
してもしなくても、それ自体に何の問題はありません。では、ふみふみする猫はどういう場合にその行動をして、しない猫はどうしてしないのでしょうか。
ここからは、それぞれ考えられる背景や理由をご紹介します。
猫のふみふみ行動が示す意味
猫のふみふみ行動は、子猫のお乳を飲むときのしぐさの名残であると言われています。子猫が母猫のおっぱいの周りを押して、母乳が出るように促すための行動でした。
一般的に、成猫になるとふみふみ行動はしなくなると言われていますが、飼い猫の多くは成猫になってもこの行動が見られます。
成猫のふみふみ行動には、さまざまな意味があると考えられます。では、ふみふみ行動が示す意味や、そこに秘められた猫の気持ちはどのようなものがあるのでしょうか。
甘えたい気持ちを伝えている
飼い主さんや、毛布など軟らかいものにふみふみする場合は、甘えたい気持ちを伝えています。子猫の頃に、母猫に甘えていたように、飼い主さんに甘えたいと思っているので、存分にかわいがってあげましょう。
野良猫や保護猫を迎えたすぐは、懐くまでこの行動はなかなか見られない場合がありますが、気長に待ってあげましょう。
おなかがすいたことを伝えている
子猫の頃と同様に、お腹が空いてごはんが欲しくてふみふみします。ごはんの時間が近づいてきた時や、ごはんの準備を始めたときなどにふみふみする場合は、「ごはん早くちょうだい」と言っているのかもしれません。
安心して眠るための儀式をしている
お気に入りの毛布などにふみふみすることで、寝床を整えるとともに、リラックスしています。寝る前に必ずふみふみ行動をしている場合には、就寝前のルーティーンとして行っているようです。
やる気があることをアピールしている
固い床の上などで遊んでいる最中にふみふみする場合は、やる気があることをアピールし、獲物を狩る準備ができていることを伝えています。一緒に遊んであげましょう。
お気に入りだと主張している
ふみふみしている対象が自分のお気に入りであると主張しています。
猫の足には臭腺と呼ばれる匂いを分泌する器官があります。ふみふみすることで自分の匂いをつけて、マーキングしているのです。対象は毛布などの物の場合もありますし、飼い主さんや同居猫・犬の場合もあります。
交尾の練習をしている
生後4ヶ月頃の雄猫のふみふみ行動は交尾の練習です。通常、前足でふみふみ行動をしますが、この場合は後ろ足で行います。
まだ交尾の適齢期ではないことが多く、この行動をしている間の交尾は失敗しやすいと言われています。繁殖を考えていない場合には、今後起こりうる発情のストレスやスプレー行動などの観点から去勢手術を考えても良い時期です。
ストレスを発散している
イライラしてストレスを発散しようとしています。この場合は、ふみふみ行動と同時に毛布などを噛んだり吸ったりする「ウールサッキング」と呼ばれる行動が見られます。
ウールサッキングは、誤って毛糸などを飲み込んでしまう危険があるため、注意が必要です。
猫がふみふみしない理由
うちの子はふみふみしないからリラックスできていないの?と少し不安になってしまった人もいるかもしれません。
確かにふみふみ行動をしないということは、リラックスできていないことを示している可能性も考えられますが、ふみふみ行動をしなくてもストレスを感じる状況や様子がなければ、心配する必要はあまりありません。
では、ふみふみ行動をなぜしないのか、考えられる理由について紹介します。
子猫の成長過程で親離れができている
ふみふみ行動は、子猫が甘えたい気持ちやお腹が空いたことを母猫に伝えるための手段の名残です。
子猫に乳歯が生えてくると、母猫は母乳を飲まれることを嫌がり、威嚇などをして乳離れを促すことで、子猫は徐々に親離れをしてふみふみ行動も見られなくなります。
しかし、生後3ヶ月未満で母猫から引き離された場合、この過程がないためしっかりと親離れができていないため、ふみふみ行動をしやすいと言われています。
ペットショップで販売されている子猫の多くが、3ヶ月未満で母猫から引き離されていることが多いのが現実です。このことが、成猫になってもふみふみ行動を行うことに関係していると考えられています。
愛猫がふみふみ行動をしないのは、親離れがしっかりできた証で幸せなことなのです。
猫がふみふみしたくなるものがない
お眼鏡にかなうアイテムがないと、猫はふみふみ行動ができません。
肌ざわりの良い毛布やクッションなど、愛猫が気に入りそうな物をプレゼントするとふみふみし始める可能性があるかもしれません。
ただし、お気に入りのものが無くてもストレスを感じている様子がなければ、無理に与える必要はありません。
また、お気に入りのものをふみふみするかどうかは、猫の性格にもよります。愛猫がふみふみ行動をしないからといって心配する必要はありません。
飼い主さんにまだ慣れていない
家族に迎えたばかりの時期は、環境にも飼い主さんにもまだ慣れていないため、ふみふみ行動をしません。
また、猫が慣れるまでの時間は、相手によっても異なるため、家族内でも猫がふみふみ行動をする人としない人がでてくることもあります。
猫は、日頃からお世話してくれる人に対してふみふみ行動をしやすいと言われているので、よくお世話するお母さんにはふみふみするけど、留守の多いお父さんにはしないということが起こります。
家族に迎えたばかりの愛猫には時間が必要です。ゆっくり信頼関係を築くことが大切です。
急な環境の変化でリラックスできていない
猫は、環境が変わると緊張してリラックスできなくなります。
家族に迎えたばかりの時はもちろんのこと、引っ越しや新しく家族が増えたなど、急な環境変化があるとリラックスできなくなり、ふみふみ行動をしません。愛猫が落ち着ける空間を確保してあげましょう。
お気に入りのアイテムがなくなってしまった
いつもふみふみしていたお気に入りのアイテムがなくなってしまった場合にも、ふみふみ行動は見られなくなります。爪が引っかかるなどしてボロボロになっていても、しふみふみ行動を止めさせたくない場合は、捨てないほうが良いでしょう。
体調不良でふみふみする元気がない
体調が悪いとふみふみ行動ができません。急にふみふみ行動をしなくなった場合は、どこか具合が悪いのかもしれません。いつもと様子が違うと感じたら、動物病院を受診しましょう。
まとめ
猫がふみふみする、ふみふみしないどちらの場合にも必ず理由が存在します。
愛猫のかわいいふみふみ行動は、誰しも見たいものですが、ふみふみしないからと言ってがっかりしないでくださいね。行動が見られないことは、しっかりとした過程を経て親離れができているという証でもあります。
また、ふみふみしなくても他の方法で気持ちを伝えていますので、愛猫のことをよく観察してすてきな信頼関係を築いてくださいね。