どの猫ちゃんでも芸はできる?
猫飼いで「お手」やその他の芸を教えた経験がある方々の話を調べてみますと、かなりの成功率です。筆者の経験でも教えた猫たちは必ずお手をするようになりました。
お手以外にも「おすわり」「待て」、そして人間と同じお手洗いを使って用を足す、などという高度な技をこなす猫ちゃんもいます。
しかし少数ではありますが「うちの猫は無理でした」というお声もありますので、「絶対に」覚えるとはいえません。猫は個体差と自我が強いので、仲良くしたければ無理強いは禁物ですね。
芸を教える最適な開始時期
リクルート社の「ペットの医学」によりますと、猫の性格形成は生後3週から7週目までの体験で決まり、これを「社会化期」とネーミングされています。人間の人格形成や特技・知識の取得でも、幼児体験が肝心といいますものね。
結論をお伝えしますと、「生後二ヶ月頃まで」の子どもの頃が最も芸を教えやすい時期です。
しかし生後二ヶ月以上の猫でも、まったく可能性が無いわけではありません。筆者宅での話ですが生後半年をすぎてわが家へ来た猫にお手を教えたところ、5〜6回程度のトレーニングですんなり覚えたという経験があります。この猫は生後まもなく人間に命を助けられた経験があり、人間にかなりの信頼を寄せており、ひと懐っこく従順な性格です。
生後二ヶ月以上で芸を覚えるタイプの猫格も、社会化期に形成されているといえるのではないでしょうか。
犬のしつけとの違い
ごほうびを与えてやりがいを感じさせるという点ではほとんど同じです。実は警察犬のしつけも基本は同じなのですよ。
大阪の警察犬訓練所のトレーニング風景をニュース番組の特集で放映されていたことがあるのですが、想像よりずっと和やかなムードでした。トレーナーの方は優しい笑顔で接し、ミッションをクリアした訓練犬には子煩悩すぎる親のように褒めちぎり甘やかしていました。
犬と猫は性質や考え方が異なると言われますが、褒められたり何かを与えられたりすると「嬉しい」「もっと褒められたい」と考えるのは同じですね。それは人間でも犬でも猫でも、生命あるものに共通する感情ではないでしょうか。
「3つのポイント」を押さえて愛猫にお手を覚えさせよう!
それでは具体的な「お手」の教え方の主なポイント3点をご紹介していきます。
ポイント①「お手をすると楽しい」と思わせること
猫は自分に正直な性質がありますので、「いやだ!」と思ったことは逃げたり威嚇したりして拒否します。ごほうびや愛情表現を示して、まずは「これをすることは楽しいことだ」という認識を持たせることが肝心です。
ポイント②習慣化させる
人間でも同じですが、間隔が空くとコツを忘れてしまったり面倒になったりします。トレーニング中もマスターした後も、こまめに芸を行わせて生活習慣に組みこんでしまいましょう。
ポイント③ごほうび
お手をマスターさせた多くの方々は犬のしつけと同じく「エサ(ごちそう)」を与えているようですが、筆者の経験上では「喉の下を撫でる」という方法で教えました。どちらでも猫ちゃんが喜ぶ方法でかまいません。
どちらかといえば、エサ以外の方法のほうをおすすめします。その方が空腹時以外でもタイミングを選ばず何度でもお手をしてくれるからという理由です。喉の下撫でに関わらず、その猫ちゃんが最も好きなスキンシップをしてあげると良いですね。
動画サイトなどでは猫のお手しつけ方動画なども多数公開されていますので、なかなか覚えてもらえないときはそういったものも参考にされると良いでしょう。
まとめ
猫の芸はしつけというより「スキンシップの一環」ではないでしょうか。決して芸ができたから価値がある、できないから落ちこぼれというわけではありません。芸ができても飼い主の自己満足と、猫ちゃんの趣味が一致しただけのことです。
芸ができる猫もそうではない猫も大切なあなたの「子ども」なのですから、同様にかわいがってあげてくださいね。