安易な気持ちで猫を飼ってはいけない~『終生飼養』挫折を招く3つのタイミング〜

安易な気持ちで猫を飼ってはいけない~『終生飼養』挫折を招く3つのタイミング〜

猫と一緒に暮らすのであれば、必ず最期まできちんと面倒をみるという覚悟が必要です。しかし、時が経つことで、最初に心に誓った時とは状況が変わってしまうこともあるでしょう。飼う前、飼育中、困難になりそうな時の各段階でそれぞれ考えるべきポイントがあります。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

安易な気持ちで猫と一緒に暮らしてはいけない

甘える猫

あるペット保険会社の2018年のアンケートでは、愛猫を飼うようになったきっかけの1位は、ダントツで「引き取り」でした。2018年における動物愛護センターでの殺処分数も、犬の7,687匹に対して猫は30,757匹と4倍もいました。

人間の勝手な理由で飼育放棄される猫達がたくさんいるのです。これから猫と一緒に暮らしたいと考えている方には、安易に始めるのではなく、必ず終生飼養をするという覚悟を持って頂きたいと思います。

とは言え、時間が経てば状況も変化していきます。最初の思惑とは状況が変わって終生飼養が困難になり、将来を考えることもあるでしょう。

そこで、猫と一緒に暮らす前、飼育中、困難になりそうな時の3つのタイミングで、それぞれ考えるべきことについてお話ししたいと思います。

1. 飼い始める前に考えること

遊んでいる子猫

猫の習性について勉強し、適切な住環境を提供できるか

猫の習性の勉強が必要です。猫の習性に従い、かつ人間の社会でうまく暮らせるようにするために、あなたとご家族は、猫目線で考えるための努力を積み重ねられますか。

愛猫と一緒に暮らすために必要な経済力があるか

適切な栄養管理、清潔な生活環境、病気や怪我をした場合の治療や予防にはお金が必要です。ペット保険への加入も含め、愛猫のために必要な資金の確保に不安はありませんか。

猫にリーダーは必要ない

怯える猫

猫は元々単独で生活する動物なので、群れやリーダーといった概念を理解していません。しつけのつもりでも、猫には通じません。恐怖感を与えずに必要なルールを教える努力ができますか。

愛猫の一生に寄り添い終生飼養する覚悟がありますか

猫はあなたの数倍の早さで歳をとります。歳をとれば、看病や介護も必要になります。どのような状況であれ、愛猫の面倒を最期まできちんとみる覚悟がありますか。

2. 飼育中に考えること

キャットタワーにいる猫

常に意識すべきこと

以下については、常に意識して行動、準備を行いましょう。

  • アニマルウェルフェアの指標である「5つの自由」の確保
  • 適切な健康管理(室内飼い、予防接種、定期健康診断等)
  • 万が一の時の準備(迷子札やマイクロチップの装着、避難場所の確認、同行避難する準備等)

適正飼養頭数を意識すること

ご自身の管理能力を超えた頭数にならないように制御しましょう。かわいそうだからと次々と猫を引き取らないこと。また、避妊・去勢手術も必要です。

「頑張れば大丈夫」という思いが頭をよぎったら、それは「もう限界」のサインです。

3. 猫との暮らしが困難になりそうな時に考えること

車椅子の老婆と猫

入学、就職、転勤、結婚、出産等、人生の節目は愛猫との生活の節目でもあります。その時々の状況に合わせ、先手で対策を検討して終生飼養を全うしましょう。

  • 手放す前提で検討しない
  • あなたやご家族だけでは難しい場合に利用できる施設やサービスを見つけておく(往診サービスのある動物病院、ペットシッター、猫のホームや介護施設等)
  • もしもの場合に愛猫を託せる人をみつけておく(飼育放棄ではなく里親を探す努力をしましょう)

まとめ

女性とハイタッチする猫

初めからしっかり覚悟できなければ猫と一緒に暮らせないというのは、厳しすぎるかもしれません。しかし、自信が持てないのであれば、一緒に暮さないという勇気ある決断も必要かもしれません。

一生猫と触れ合えないという訳ではなく、自分が自信を持てる範囲のボランティアに参加して、猫と触れ合う暮らしを考えてみても良いかもしれません。

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