はじめに
猫ちぐらとは
新潟県に古くから伝わる民芸品で、要するに猫が好んで入る寝床なのです。想像しただけでもほっこりしますね。
その昔農村では、家事や畑仕事の際に藁で編んだ籠の中に赤ん坊を寝かせて側においておくのに重宝したそうで、その猫バージョンみたいなものでしょうか。
進化したベビーキャリーやチェアが主流の現代。藁で編んだ寝床は衰退するかと思いきや、そのあまりの居心地の良さゆえに、いまも猫が伝統を継承してくれているのです。「猫つぐら」「猫ちぐら」などと呼ばれていて、猫界では評判のアイテム…なのかどうかはさだかではありませんが。
伝統的なものだけに実物はとてもすてきなもの。みなさんもぜひ、画像を検索して本物を見てみることをおすすめします。
作ろうと思った動機
冒頭でも記した通り、「欲しい!」と思ったのでした。そして本物を注文して待つことができないくらい欲しかったのです。
待てない、金ない、なら作ってしまえ!伝統とか材料にこだわらず、クラフトバンドでいいではないか。こんなに安いのに猫大喜びときたらコスパは無限大でしょう。
少々ゆがんでもそれが味になりますし、素材がクラフト(紙)なので切り貼り自由自在。間違えても修復可能。あ~、気が楽。とにかく安価で1日か2日で編めてしまう感じだったので、やってみるほかないのでは、と思った次第なのでありました。
クラフトなんてすぐにボロボロになりそうと思ったあなた。下の画像をご覧ください。うちのコが毎日酷使して4か月経過したものですが、どこもどうもなってなくて、完成時とほぼ変わらない状態です。(毛がちょっと挟まっているかも知れぬが)
作った当時は持ち手などなかったのですが、暇だったので最近になってつけてみました。猫が入っているときは無理ですが、掃除の時など移動させるときに意外と便利。こんな風に完成してからもあなた仕様にカスタマイズ&メンテナンスできるところがいいですね。
ネット上でも検索すれば作り方はたくさん出てきますので、ご自分にあった方法で作ってみてくださいね!では、また!
……となってはこの記事の意味がなくなるので、今回、私なりの作りやすい方法を覚え書きとして記しておきます。数ある「How to 猫ちぐら」のうちのひとつとして参考にしていただければ幸いです。
クラフトバンドを知ろう
材料を選ぶにあたって
クラフトバンドは「エコクラフト」「紙バンド」「クラフトテープ」などなど、メーカーによって様々な名称で売られていて、色も値段も様々。もともとは梱包資材だったので安価だしホームセンターにもあります。
クラフトバンドの構造と強度について
私が購入したのは15mm12芯という幅のもの。どういうことかというと……
こんな風に固い芯が12本連なっていて、しょせん紙なんだろ?などと決して侮れない、すばらしい強度を誇るテープなのです。
私の持っているハンドメイド本には、クラフトバンドを使用したわんちゃんキャリーケースの作り方が載っていました。これはつまり、たいそう丈夫ということですな。
紙だけに水には弱いと思われがちですが、少々水がかかったくらいではどうもなりません。さすがにバッグなどには、仕上げに防水スプレーやアクリルスプレーなどを吹き付けることがあるようですが、雨に打たれることもない猫ちぐらには、そこまでしなくても大丈夫。
ちなみに、私はクラフトバンドのバッグも仕上げ材を使用せずそのまま使ってますが、少々の雨でもむしろ乾いたときに引き締まっていい感じ。
バッグも作ったんかーい、と突っ込んでくださってるあなた。よくぞ聞いてくださいました。そうなのです。猫ちぐらを作ってクラフトバンドの楽しさに目覚めたのでした。いざ行かん、クラフトバンドワールドへ。
クラフトバンドの扱い方
通常はこれを縦に裂いて好きな幅にして用います。裂かないでそのまま使用する場合もあります。これを12本幅と呼んでます。
今回使用するのは12本幅、2本幅、6本幅の3種類です。
裂くときにはPPテープというもの(荷造りに使われるあれ)が必要なのですが、ありがたいことに購入したもののなかに数センチほど入っています。
ですが、付属のものだけではすぐにボロボロになって足りなくなります。クラフトバンド猫ちぐらを作る予定のある人は、今のうちから荷物に使われているPPテープを捨てないでとっておきましょう!
おっと、もちろんPPテープはホームセンターで購入することも可能なのですが、エコバンドを語っていると、脳内がエコに傾きとことん節約したくなってくるから不思議です。エコバンド効果恐るべし!ここまで読んでくださっているあなたも、すでにエコに洗脳されはじめていると思われます。
作り方
前置きが長すぎましたが、とっとと作っていきましょう。
材料をそろえる
- クラフトバンド50m巻き…900円
- 荷造り用PPバンド(5cmほど)
- 手芸用のり…100均
- はさみ
- 洗濯はさみやクリップなどの留め具(家にあるもので)
出来上がりのサイズ
底の直径30cm、高さ30cm、
出入口縦13cn、上辺14cm、下辺15cm
うちのコは5kgの大きさですが余裕で入っています。あなたの猫ちゃんに応じてサイズを変えれば良いのですが、迷った時はとりあえず上記のサイズで作り始めましょう!作りながら高さや幅は変えられます。
テープを切る
12本幅
90cm×8本
差し紐 : 30cm×48本
※差し紐とは、編んでいる途中から継ぎ足していくクラフトバンドのことをいいます。
2本幅
1-2mのものを10本くらい作っておいてください。足りなくなったら適宜作って足していきます(テキトー笑)底の部分と天井部分を編むのに使いますが、長くなりすぎると扱いにくいです。
6本幅
これも2mくらいのものを数本。貼り付けて延長しながら使います。本体部分に使います。
テープの裂き方
クラフトバンドは初めに1-2mmほどハサミを入れて、PPテープで一気に裂いていきます。
これは快感。
底部分と天井部分を作る
以下、パソコンのスキルが絶望的なものを晒してまいりますが、お見苦しい点はあなたの感性で補っていただければ幸いかと存じます。
うーん。芸術が爆発してますね。全部差し紐を貼り付けた実際の画像はこちらです。
絵ではなく実写だとほっとしますね。あなたもでしょうか。
- 2本幅は直径30cmくらいになるまで続けます。
- 天井部分と底部分、同時進行で進めていきます。
- 引っ張り気味に編むと丸くなります。丸くなった方を天井にしましょう。
うまく丸まらなくてもそれはそれで完成します!四角くても、丸くても、歪んでいても猫は喜んで入ってくれます。
合体させて本体とする
あなたの気のすむところまで編んだら、いよいよ合体です。
底の部分はしっかり折り曲げて立ち上げるもよし。丸みのついたままでもよし。猫も猫ちぐらも自由なところが魅力だと言えるでしょう。クリップで仮止めして、バランスをみながらのり付けしましょう。
本体部分を編む
ここからは6本幅で交互にくぐらせていきます。6本幅なので早いです。くぐらせる時は長いままではなく、クリップなどでまとめるとやりやすいです。
出入口を決める
あなたがこの辺だと思うところを出入口としましょう。
私は下から5-6cmのあたりから、出入口として15cmほど開くように引き返して編みました。本体の12本幅縦紐が4本ほど残ります。ここをカットして猫ちぐらの玄関にしましょう。ギリギリでカットせず、3cmくらい残して裏に折り曲げます。
カット後の縦紐は内側に通してのり付けしておきます。この時、ガタガタになっていても大丈夫。どうせ補強テープを貼って見えなくなってしまうので、何の問題もなかったことに。
出入口の補強
猫が出入りする部分なので、12本幅テープそのままを使って周りに貼り付けます。裏側に貼るやり方もあるようです。ここはお好みで。私は6本幅テープでこのような飾り紐を作って貼りました。
この折り方なのですが、どうしても思い出せません。あーでもない、こーでもないと、いじくっているうちにこんな風に出来ました。ほんとなんです。再現できなくてごめんなさい。でも12本幅テープで十分なのです。
完成
前回作った手作りの猫ケージにおいたところです。
猫ケージDIYの記事はこちら↓
【DIY】市販の猫ケージがどれもこれも気に入らないので作ってみた!
猫ちぐらとうちの猫
我が家の猫は元野良猫です。とても警戒心が強いことを想定して、引き取る時に真っ先に考えたのは、怖いときにすぐに隠れることができる場所を用意してあげたいと思っていました。うちに来た初日から、スルスルと入ってくれました。その日は一日中出てきませんでしたけど(笑)
それからしばらくは夜寝るときはもちろん、何かあるたびに入っていました。現在ではすっかりうちの中に慣れてしまって、どこでも寝転がっていますが、時々思い出したように猫ちぐらの中をのぞいたり、しっぽだけ出してゆらゆらさせているところを見ると、とてもほんわかした気持ちになれます。
結論として、作って本当に良かったと思っています。猫ちぐらは、猫とあなたの猫ライフを充実させる手助けとなること請け合いです。