なぜ猫は何もない場所を見つめるのか
猫を飼っていると「何もない場所を猫がじーっと見つめている」という状況に出くわすことも多いでしょう。「猫には霊感があって、幽霊のいる場所を見つめているのではないか」といった噂も色々と出ていますが、実はそうではなく、きちんと科学的に証明できる理由があって、このような行動をとっているのです。猫が何もない場所を見つめている時には、以下の4つの理由が考えられます。
1.音のする場所を見ているから
猫は人間の何倍も聴覚が優れています。そのため、人間が聞き取れないような微かな音も、猫は聞き取ることができます。猫は視覚だけでなく、聴覚によって周りの状況を判断する習性を持っているため、微かな音がしている時は音のする方向を向いて耳をすませます。その行動が人間にとっては「何もない場所をじーっと見つめている」と映ってしまっているのです。
一方で、視力はあまり良くないです。10m先程度までしか見ることができず、しかもぼやけて見えていたり、正しい色彩を判別できないような目になっています。
2.匂いのしてくる場所を見ているから
猫が優れているのは聴覚だけはありません。嗅覚も非常に優れており、人間の嗅覚と比較すると、数万倍~数十万倍も上であるといわれています。人間は食べ物を判別する際に見た目も重要視しますが、猫は嗅覚だけで食べ物を判別することが可能です。そのため、人間には分からないような匂いが漂ってきた時は、音がする時と同様に、匂いのする方向を向いて嗅いでいるのです。
3.紫外線を見ているから
猫は視力が悪いと先述しましたが、その代わり、暗闇でも視力によって識別することができたり、紫外線を視覚的に見ることができるといわれています。以前イギリスの大学で行われた実験では「猫や犬は紫外線が見えている」ということを科学的に証明することができました。日差しのあるような場所を猫が見つめている時は、もしかしたら紫外線を見つめているのかもしれません。
4.考えごとをしているから
人間は考えごとをしている時、ボーっと空中を見つめることがあります。それと全く同じように、猫も何か考えごとをしている時に、ボーっと一点を見つめることがあるのです。見つめている先に何かがあるわけではなく、考えごとのせいで空中を見つめている可能性もあります。
猫の「フェレンゲルシュターデン現象」とは?
「フェレンゲルシュターデン現象」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。実はこの現象、全くのでたらめで実際にはそんなものは存在していないのですが、ネットにこの説が書き込まれたことによって、フェレンゲルシュターデン現象の噂が広まりました。フェレンゲルシュターデン現象について、ネットで広まった情報は以下の4点です。
フェレンゲルシュターデン現象とは
- 「猫が見つめる先の温度は二度低い」ということを立証した説
- 「フェレンゲル」さんが、愛猫「シュターデン」に協力をしてもらって立証をした
- 第二次世界大戦中に、ナチスの研究の一環で判明した
- 別の人たちが「二度低い場所=幽霊が存在している場所なのではないか」と唱え始めた
これらは誰かがでっち上げで作った真っ赤な噓なのですが、あたかも本当にあったかのような設定にしてネットに書き込まれたため、噂を信じてしまった人が多いのでしょう。「猫が見つめている先は二度低い」や「猫が見つめる先には幽霊がいる」ということに関して、科学的に証明されたことはないので、鵜吞みにしないように注意しましょう。
まとめ
猫が何もない場所を見つめるのには、きちんとした理由があるのです。人間の感覚では聞こえないものや嗅げないものを猫はキャッチすることができるので、このような行動をとります。そのため、猫が何もない場所を見つめているからといって怯える必要はありません。