黒猫が横切ることの世界各国での意味とは

黒猫が横切ることの世界各国での意味とは

黒猫が横切ると縁起が悪い。日本では広く知られたジンクスですよね。筆者が黒猫だったら、「名誉棄損だ!」と訴えたくなるような、根拠のない迷信です。しかし、世界を見渡してみても、黒猫の存在が不吉とされている国は多くあります。反対に、黒猫が横切るとラッキーという国も。そんな世界の黒猫事情をご紹介します。

【日本】黒猫が横切るのは元来問題なし

黒い招き猫のアップ

黒猫が横切ると不吉なことが起こるという迷信

筆者が小学生の頃、黒猫が前を横切ると、両手を胸の前でクロスさせて、3歩後ずらさないと、悪いことが起きると言われており、忠実に実行していた思い出があります。今考えると、子どもだからできたことと言うか、とにかく恥ずかしいという気持ちしかありませんが……。

地域によっていろいろなバージョンがあるでしょうが、こうしたジンクスは昔から日本各地で見られるものです。

もともとは「福猫」だった黒猫

日本では「横切ると不吉なことがある」と言われている黒猫ですが、もともとは福を司るラッキーな動物として、人々から親しまれていたのです。今でも、かわいらしい黒猫の招き猫などが、たくさん売られていますよね。

言わば、黒猫は幸運そのもの。そんな黒猫が自分の前を横切ることは、幸運に素通りされることと同じだという考え方が、いつの頃からか「黒猫が横切ると縁起が悪い」というジンクスに変化して定着したといいます。

もうひとつは、福(=黒猫)が、自分とは別の方角に行ってしまったので、自分の行き着く先には、幸運はないと解釈できるという説もあります。

もちろん、「黒猫は縁起が悪い」とされる欧米の思想の影響も大きいでしょう。

【イギリス】黒猫が横切るのはラッキー

黒猫を抱く女性

イギリスでは、猫はちょっとやそっとのことでは死なない、強い生命力を持った生き物と捉えられています。「猫には9つの命がある」などと言われることも。このような考え方の根底には、高い所から落ちても平気な、ずば抜けた身体能力を持つ猫への憧れなどもあるようです。良い意味にもとれるし、悪い意味にも解釈できそうな気がしますが、とにかく猫には強いパワーがあるのだと考えられていることは伝わってきます。

イギリスにおいて、黒猫が横切るのは良いことがある兆し。これは、不吉と考えられている黒猫が通り過ぎた、すなわち自分からも悪いことが離れていったという考え方からきているようです。

逆に、白猫が横切る場合は、良くないことが起きるとされています。このようなとき、イギリスの子どもたちは、唾を吐いたり十字を切ったりして、アンラッキー回避のおまじないをするのだとか。日本の子供たちと似ていますよね。

【イタリア】黒猫が横切るのは不吉、虐殺の対象にも

魔女と黒猫のシルエット

イタリアにおいて、黒猫は横切るとか横切らないという問題以前に、存在自体が不吉であると考えられています。中世のヨーロッパで行われていた魔女狩りでは、黒猫は魔女の使い魔とされ、魔女とされた人と共に焼き殺されたと伝わっています。

そんなイメージから、現在でも黒猫は不吉、魔女の使いとして忌み嫌われ、動物愛護団体AIDAAの統計では、年間5万匹から6万匹もの黒猫が殺されているということです。ハロウィンの日は特に注意とのことで、この日になると、野良の黒猫たちを匿ってあげる愛猫家までいます。

そんな黒猫のイメージアップ作戦の一環として、現在イタリアの11月17日は、黒猫の日とされています。17という数字は、イタリアでは不吉な意味合いを持つそうです。17をローマ数字で書くとXVII。これを並び替えるとVIXIとなり、ラテン語では死ぬことを表します。

そんな数字である17をあえて黒猫の日にしたとのことですが、もっと縁起の良い日にちにしてあげたほうがいいのではと思ってしまうのは、筆者だけでしょうか。

【ドイツ】黒猫が横切る悪いジンクスも屁理屈で解消!

外国人男性と笑う女性

黒猫が自分の前を左から右へ横切るのは、縁起が悪いという迷信のあるドイツ。そもそも黒猫自体、良いイメージは持たれていません。しかし、現代のドイツの人たちは、そんなジンクスも屁理屈で笑い飛ばしてしまいます。

黒猫が左から右へ横切るのを見かけたとしても、「別の方角から見れば右から左へ横切っていることになるから大丈夫」。見かけたのが夜だった場合には、「真っ暗で毛の色がわからなかったから、今のは黒猫じゃないよ」。などなど、迷信を気にしてクヨクヨしてしまう人は、見習いたくなってしまうような考え方ですよね。ちなみに、右から左へと黒猫が横切る場合は、吉兆と言われています。

【アイルランド】黒猫が横切るのは新月の夜に例えられた

満月と猫のシルエット

アイルランドでは、「月夜の晩に黒猫が前を横切ると、流行り病にかかって死ぬ」という言い伝えが残っています。これは、人の生き死にに関与すると考えられてきた月の満ち欠けと、細くなったり大きくなったりする猫の瞳が同一視されていたことから来ているようです。そこから発展して、真っ黒な毛色の猫は、月の出ていない真っ暗な夜の象徴となり、死を意味するようになったといいます。

【ニュージーランド】黒猫が横切るのはラッキー

黒猫を抱き上げる花嫁

ニュージーランドでは、黒猫は妖精の化身であると考えられており、とても縁起の良い幸せの象徴です。ヨーロッパで悪魔的な生き物として扱われることが多いのとは、対照的ですよね。結婚式の日に、目の前を黒猫が横切ると、そのカップルは幸せになれると言い伝えられています。

まとめ

白背景に黒猫

日本、そして海外では、黒猫の存在がどのように捉えられているかをご紹介しました。今でこそ誤った解釈と西洋の影響で、「黒猫が横切ると不吉」というイメージが定着してしまっていますが、もともとは福猫として黒猫を大切にしてきた日本人。日本の人たちは、昔から黒猫の魅力に気付いていたのかもしれないと思うと、ちょっと誇らしい気持ちになりますよね。

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