【豪州】ペットに優しく家主に厳しい?住宅法改正でペット飼育以外でも借主の権利の強化へ

賃貸物件でもペットが飼いやすく

先ごろ、オーストラリアのクイーンズランド州議会で住宅法改正案が可決され、今後賃貸物件の家主は政府により正当と認められる理由がない限り、借主によるペットの飼育を断ることができなくなります。

政府によると、今回の改正によりこれまでの賃貸法がより近代化され、賃貸物件を利用している34%のクイーンズランド州民がその恩恵を得られるとのこと。

一方、クイーンズランドの不動産研究所は、今回の改正は一部の賃貸物件所有者にとって決定的な打撃となる可能性があり、「同法案が可決されたことで物件を売却する者もいるかもしれない」と指摘します。

家主にとってはやや厳しい今回の改正法案

今後家主は、政府が正当と認めないかいぎり借主によるペット飼育を拒否できなくなりますが、正当と認められる理由は以下が挙げられます。

  • 敷地に囲いがない場合やペットを飼育できるスペースがない場合
  • 健康や安全に関するリスクがある場合
  • 家屋に修復不可能な損傷を与える恐れがあるペットの場合

また、借主が賃貸物件の敷地内で犬や猫などのペットの飼育を申請し、家主が14日以内に回答しなかった場合、借主は申請が承認されたとみなすことができるそうです。

同法案の反対派であるティム・マンダー議員は、借主によるペット飼育を容易にすることに対し懸念を示しており、「家主が借主のペット飼育を断るのに理由は必要ないのではないか」と言います。

動物が家屋に損傷を与えることは誰でも承知しており、犬や猫を飼っている家は一歩入れば臭いですぐに分かるほどの動物臭が染み付くでしょう。

「家主、地主、または賃貸人はこうしたことを防ぐための権利を保持してもよいはず」という言い分です。

ペット飼育以外でも借主の権利・福祉が強化

リーアン・イノック住宅大臣が提出した同法案には、その他以下のような内容が含まれ、家庭内暴力の被害者の保護を含め、これまでの賃貸法が大幅に改正されます。

  • 家庭内暴力の被害に遭っている者は7日前に事前通知することで契約を解除できる
  • 正当な理由なく立退きを強要されない
  • 家主や借主による契約終了の理由の追加
  • 家屋の修復を怠った場合家主に対し最高6850ドル(約78万円)の罰金を科すことによる住宅基準の強化

借主にとってはやや厳しい面もある今回の住宅法改正ですが、ペット可賃貸物件の少ない日本と比べると少しうらやましい気もしますね。