国内最大の保護猫シェルターとは
マレーシアのプルリス州にある「Bustana Kucing」は、知名度こそ低いものの約1500頭の猫を収容可能なマレーシア最大の保護猫施設です。
同施設には常勤スタッフ14名とボランティアスタッフ35名が勤務しており、病気の猫の扱いについて獣医師による訓練も受けています。
こうしたスタッフが病気の野良猫を見つけると、迅速に施設の病棟へ連れて行き回復するまで手厚く看護します。
また、子猫のいる母猫などは隔離された静かな区域で看護を受けるそうです。
施設立ち上げの経緯
この施設は行政と個人が協働して立ち上げました。その始まりは、実業家のMohd Taufik Md Zain氏と、その妻Noor Azlina Abu Bakar氏による保護猫活動でした。
一時は自宅で100頭を超える猫を保護していたMohd氏ですが、彼の活動はやがてプルリス州経済開発公社(SEDC)のNorsiake Kassim本部長の目に留まります。
そして2015年、彼の協力により州が所有する「プルリス蛇・爬虫類ファーム」の一区画に、保護猫施設用のスペースが割り当てられたのです。
さらにプルリスSEDCの支援以外に地元議員Amin Ahmad氏の協力も得て、ケージなどの必要な備品の資金提供を受けることができました。
またその後、地元カンガー市議会の職員が保護した猫は、Bustana Kucingが引き受けるという協定も結ばれたそうです。
保護猫施設の運営には継続的な支援が不可欠
Bustana Kucingはマレーシア、インドネシア、シンガポール、さらにヨーロッパの愛猫家からの寄付のみで運営されています。
同施設では、毎月スタッフの賃金と薬剤費などで26800リンギット(約72万円)が掛かり、さらに猫たちの食費に1日当たり600リンギット(約16000円)が掛かるとのこと。
Mohd氏は、無責任な飼い主たちから猫を保護して猫に居場所と食べ物、愛情を与えるため、一般の人々からの継続的な支援を呼び掛けています。
施設名Bustana Kucingは「猫公園」の意味
Mohd Taufik氏によると、施設名Bustana Kucingの「Bustana」はアラビア語で「公園」を意味するそうです。
さらに、「Kucing」はマレーシア語で「猫」を意味し、マレーシアのサラワク州の州都名「クチン」としてもよく知られています。
ちなみに、クチンはBustana Kucingからはかなり離れているものの猫の街として有名で、街中には猫の彫像が多く猫の博物館などもあります。
マレーシアも愛猫家が多いお国柄なのかもしれませんね。