猫の無料不妊手術を行う「TNR地域集中プロジェクト」継続を求める声が多い中、資金不足が問題に

無料で猫の不妊手術を行う「TNR地域集中プロジェクト」

公益財団法人「どうぶつ基金」は、猫の殺処分ゼロを目指す取り組みの一環として、全国各地の協力病院で野良猫や多頭飼育の猫に無料で不妊手術を行っており、2021年1月の時点ですでに15万匹以上の猫がこの取り組みにより避妊手術を施されました。

また、特に不妊手術の需要が高く人手が不足している地域では、「TNR地域集中プロジェクト」として直営の「どうぶつ基金病院」を新設して猫の無料避妊手術を行います。

2021年度は、大阪(八尾市)、福岡(筑後市)、宮崎(宮崎市)にこうした直営病院を展開し、月に2~5日間オープンしていました。

一方、現在2022年度のTNR地域集中プロジェクトの実施地域を公募しており、11月末が応募締切、来年1月に選考結果が発表される予定です。

しかし、宮崎県や福岡県では来年度の無料病院の継続を求める声が多く、宮崎県の宮崎市長、 日南市長、 日向市長からの要望書や宮崎県民の署名が8269筆。

さらに、福岡県の6市町長や山口県の下関市長からの要望書もどうぶつ基金に提出されています。

無料不妊手術を求める多くの声と深刻な資金不足

要望書と署名を手渡すためどうぶつ基金病院を訪問した「宮崎ねこの会」の山本代表は、 「宮崎には不妊手術が必要な野良猫が依然として多く、 無料病院を継続して殺処分ゼロを目指したい」と言います。

一方、どうぶつ基金の佐上理事長は、「継続に向けて前向きに検討・審査する」とコメント。

無料の不妊手術を求める声は全国から多く届いていますが、実際には資金不足のため対応しきれていないのが現状です。

「どうぶつ基金」と「大阪ねこの会」が協働して猫のTNR(捕獲して避妊・去勢手術をし、元の場所に戻すこと)を集中的に進めた結果、大阪市では行政に引き取られる猫が8年で90%も減少したというデータがあります。こうした取り組みを徹底して実施・継続するには、まだまだ多くの人々からの寄付や支援が必要です。

公式サイト:公益財団法人どうぶつ基金