猫は意外にコミュニケーション能力が高い?!
先ごろ、ペットケアカンパニー「ピュリナ」の研究チームが実施した研究により、「猫はその場の空気を読んで行動する」ことが明らかになりました。
犬はかねてからその秀でたコミュニケーション能力が称賛されてきたのに対し、猫のコミュニケーション能力は限られていると考えられてきました。
ところが今回の研究で、「猫は飼い主の注意が自身に向いているかどうかによって、臨機応変に行動を調整している」ということが分かったのです。
これまで、人と猫とのコミュニケーションといった猫の社会的行動に関する研究はほとんどありませんでしたが、今回の研究で初めて「飼い主が猫に注意を向けているか否か」で、猫の行動にどのように影響するかを検証しました。
その場の状況に応じて行動が微妙に変化
実験では、猫に注意を向けている飼い主または注意を向けていない飼い主がいる場で、猫に対し解決できるタスク(容易にフタを開けられる容器に入ったおやつ)と解決できないタスク(フタがしっかり閉まった容器に入ったおやつ)を与え、猫の社会的コミュニケーション能力を検証しました。
容易にフタを開けられる容器に入ったおやつを与えた場合、猫は飼い主に助けを求めることなく容易におやつを得ることができます。
一方、フタがしっかり閉まった容器に入ったおやつを与えた場合、猫はおやつが欲しいことを飼い主に伝えるために行動で示そうとしました。
たとえば、注意を引くためにおやつと飼い主を交互に見たりするような行動が見られます。
さらに、これらの猫は飼い主のその時の状況に応じて、注意を引くための行動を微妙に調整していることが明らかになりました。
たとえば、飼い主が猫に注意を向けているときは助けを求めるためにすぐに飼い主に視線を向けたり、より頻繁におやつの容器に近づいたりします。
逆に、飼い主が猫に注意を向けていない場合、飼い主に対する猫のアプローチは微妙に異なるそうです。
飼い猫と良好な関係を築くためのカギ
今回の研究結果は、猫が犬と比べてコミュニケーション能力や興味を持つものが限定されているという仮説を覆すものであり、私たちが思っているよりもコミュニケーション能力が高いことを示しています。
研究チームのリーダーであるフランソワ・マーティン博士は「あらゆる関係性において重要なのはコミュニケーションであることから、飼い主が猫に対してより多く注意を向けることで、猫もそれだけ密にコミュニケーションを取ろうとし、より強固な関係性を築くことができる」と考えています。
たしかに、犬と比べると猫は何を考えているのか今ひとつ分かりづらいですが、私たちがもっと注意を向ければそれだけ心を開いてくれるのかもしれませんね。