犬はネコ目だから猫の仲間なの?
犬も猫も祖先をたどれば同じですから大きな範囲では「仲間」とも言えます。
しかしネコ目だからと言って進化の過程で「ネコからイヌになった」という事では全くありません。猫も犬も進化の過程での関係性はありません。ネコ目だから猫の方が犬より偉いということではくれぐれもありません!
犬の学名
それでは問題になっています犬と猫の生物分類をお伝え致します。
犬の生物分類は「ネコ目(肉食目)イヌ亜目イヌ下目イヌ科イヌ亜科イヌ属タイリクオオカミ種イエイヌ亜種」となっています。犬の学名は「カニス・ファミリアリス」です。
猫の生物分類は「ネコ目(肉食目)ネコ亜目ネコ科ネコ属ヤマネコ種イエネコ亜種」となっています。猫の学名は「フェリス・カトゥス」です。ネコ目が共通ですが以下はそれぞれに変化があります。
犬がネコ目に分類される理由
ネコ目の定義
主に肉を食べて生活をする動物が「ネコ目」と分類されます。犬だけが猫に分類されているのとは違い多くの肉食動物はネコ目に分類されます。犬が何でネコ目なの?と深刻に思わないでくださいね!
ネコ目がネコになった理由
海外での生物分類ではラテン語の「Carnivora」という「肉を食べるもの」という分類になり日本語で直訳をすると「食肉目」になりました。
しかし日本では1988年の文部省発布「学術用語集動物学編」の中で「目」以下に使われる名称を分かりやすくしようという目的で改訂がなされました。
ネコ目などの「目」以下で代表になる動物はそれぞれの動物達を代表する動物名に変えるために「食肉目」は一番分かりやすい猫である「ネコ」になったそうです。
そして漢字を使わないでカタカナを表記にすることになり「ネコ目」という名称になりました。あくまでも親しみやすいという事で猫が選ばれました。
犬は雑食傾向の食事スタイルですが猫は完全に肉食の動物です。肉食で親しみやすい点からもイヌ目ではなくネコ目が選ばれたのでしょう。
元をたどれば犬もネコも祖先は同じ
そもそも犬も猫も大昔を考えると祖先が一緒になります。地球が誕生したのは約46億年前です。地球全体か火の玉のようになっており火の玉の状況が約10億年ほど続きました。
火の玉の活動が衰え冷え始めた約35億年前に原始生命が生まれます。時代が進み原始哺乳類が約2億年前にあらわれます。大陸の移動などがありオーストラリア大陸や南極大陸が出来上がったようです。
犬と猫の共通の祖先ミアキス
月日が経ち肉食の哺乳類は約6500万年前(暁新世)に出現し、その仲間が進化して猫と犬の祖先であるミアキスというネコ科動物が生まれました。
ミアキスは体長が20〜30センチの胴長で木登りの得意な森林に住む動物でした。実はミアキスは犬だけではなくタヌキやクマの祖先でもあります。その後は猫も犬も独自の歴史をたどっていきます。
犬以外のネコ目の動物と寿命
ネコ目イヌ科
ネコ目イヌ科の動物はコミミイヌ属、イヌ属、カニクイイヌ属、タテガミオオカミ属、ドール属、フォークランドオオカミ属、スジオイヌ属、リカオン属、タヌキ属、オオミミギツネ属、ヤブイヌ属、ハイイロギツネ属、キツネ属などに分類されます。身近な動物であるキツネやタヌキもイヌ科というのは不思議ですが姿はよく似ていますね。
- キツネ:2~5年の寿命
- タヌキ:6〜8年の寿命
- コヨーテ:約10年の寿命
- オオカミ:5〜6年の寿命
- ヤブイヌ:飼育下で約14年の寿命
ネコ目ネコ科
ネコ目ネコ科の動物はネコ属、マヌルネコ属、ベンガルヤマネコ属、ピューマ属、オオヤマネコ属、オセロット属、カラカル属、マーブルキャット属、そしてチーター属などに分類されます。ネコ科の動物達にはイヌ科より共通点がより多くあるように感じられます。
- マヌルネコ:11〜12年の寿命
- チーター:約11.7年の寿命
- ピューマ:約15年の寿命
- ボブキャット:10〜12年の寿命
- オセロット:約20年の寿命
- カラカル:約12年の寿命
まとめ
犬がネコ目に分類される理由、猫との関係とはについてお伝えいたしました。執筆者が一番気になったのは生物の学名「犬=カニス・ファミリアリス」「猫=フェリス・カトゥス」とラテン語が使われている事です。
分類学の父と呼ばれるスウェーデンの学者である「カール・フォン・リンネ」がラテン語を生物の学名に使うように指示したようなのです。ラテン語は色々な言語の元となっていますが現在は口語としては使われていないようです。
かなり余談になりますが1707年〜1778年に生きたリンネは息子と区別するために「大リンネ」と言われます。
1685年〜1750年という似た時代に生きていた音楽の父であるヨハン・セバスティアン・バッハも活躍していた息子達と区別するために「大バッハ」と言われています。
生物も不思議、ラテン語も不思議、犬がネコ目なのも不思議とこの度は不思議が重なった内容となりました。まだまだ地球と、そこにすむ生き物たちは不思議がいっぱいありますね。