猫から見た人間はどのように認識されているの?
猫好きなら一度は「猫は人間を大きな猫だと思っている」という説を見聞きしたことがあると思います。
でも、どうしてそんなふうに考えられているのでしょうか?猫から見た世界の中で人間がどのように認識されているのか、また猫から見た人間がどんな存在なのかを探ってみましょう。
猫は人間を区別せず「同じ猫」だと思っている
イギリスの動物行動学者ジョン・ブラッドショー博士は、さまざまな飼い猫たちを数年かけて観察したのち、「猫は犬と同じようには人間をとらえていない」と結論づけました。
博士によると、「猫と人間の関係において、猫が人間を自分たちと異なる存在だと捉えていることを明らかに指し示す行動は見つからなかった」そうです。そして、猫が人間に対してする行動とほかの猫に対してする行動とは区別がつかないともいうのです。
その一方で、猫は人間が自分たちよりも何倍も大きいことははっきりと理解しているようですし、においが違うこともわかっていると思われます。しかし、それに合わせて行動を変えているようには見えないといいます。
つまり、猫は人間と自分たち猫を区別していない、「同じ猫」だと思っていると考えるのが自然でしょう。
犬と猫では人間に対する見方が異なる
犬が遊ぶときの態度や行動は、遊び相手が犬なのか、それとも人間なのかで異なります。
犬同士で遊ぶときは、追いかけっこをしたり、取っ組み合ったりするのに対して、人間と遊ぶときはリーダーである人間(飼い主)の指示に従い、遊びの中でもほめられることを喜びます。
一方、猫は猫同士で遊ぶときも、人間と遊ぶときも態度がまったく変わりません。そのうえ、好意を感じているほかの猫にするように人間の手や体を舐めたり、となりに座ったり、あるいは鼻をくっつけて挨拶するといった行動を見せます。
そういった違いから、犬は人間と犬を区別して異なる動物として認識していると考えられ、猫は人間と猫を区別せずに大きな猫として認識しているのだろうと考えられているのです。
猫の視点から見た人間の役割
猫は人間をどのように見ているのでしょうか?猫好きなら興味がありますよね。
猫は犬のように明確な順位づけはしませんが、人間の行動を見てそれぞれに合った役割を割り振っているのではないかと考えられています。
たとえば、身のまわりのお世話をしたり甘えさせてくれる人を「母親」、いつもいっしょに遊んでくれる人を「兄弟」、お世話をしてあげなければならない人を「子ども」と認識しているようです。
そのあたりをもう少し詳しく見ていきましょう。
思う存分甘えられる「母猫」
猫は飼い主さんに対して母猫に甘えるような態度で接することがあります。たとえば、しっぽをピーンと立てて存在をアピールする、頭や体をこすりつける、足踏みをするような動作(いわゆる「フミフミ」)をするといった行動があげられます。これらの行動はすべて子猫のときに覚えます。
愛猫が子猫のような態度や行動を見せたり甘えてくるのは、飼い主であるあなたを信頼し、頼っても大丈夫な存在だと認識しているのでしょう。
対等で遊び仲間でもある「兄弟猫」
軽い猫パンチをしかけてきたり、不意に飛びついてきたりといったちょっかいを出してくるのは、いっしょに遊びたいときに見せる仕草だと考えられます。あなたのことを、じゃれ合って遊ぶ仲の良い兄弟猫のように思っているのでしょう。
もし、愛猫が甘噛みをしてきたら「いっしょに遊ぼうよ」と誘っているのかもしれません。そんなときは短時間でもいいので遊んであげるのがおすすめです。
お世話をしてあげるべき「子猫」
ときに猫は人間を子猫のようにあつかうことがあります。おもちゃや捕まえた虫などを持ってきたり、毛づくろいをしたりなど、子猫のお世話をするような行動を人間に対してもするのです。
猫は人間を「大きくて不器用な猫だと思っている」という説もありますから、もしかすると「自分で獲物を捕まえることさえできない鈍くさいヤツ」というふうに認識して、母親代わりにお世話してくれているのかもしれませんね。
ただ、自分をお世話してくれる人間を子猫だと認識することはないという説もあるようです。今後、研究が進んで、こういった猫の行動の意味が解明されることに期待しましょう。
身近な存在ではないが便利で役立つ「お世話係」
猫はご飯をくれたり、トイレをきれいにしたりしてくれる人間のことをお世話係だと認識しているようです。便利で都合のいい存在だと思っているのかもしれません。
トイレを使ったあとに報告に来たり(お掃除してほしい)、ご飯の時間になったと知らせたり、人間を上手に使う猫もいます。
「もしかして、見下されている?」と感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
ジョン・ブラッドショー博士によると、猫は自分より劣る存在にすり寄ることはありません。ですから、猫があなたにお世話を頼んでくるのはあなたを信頼している証拠だと考えてよいでしょう。
猫が人間に持っている愛情度がわかるしぐさ
ツンデレだといわれることの多い猫だけに、大好きな人間に対してはしっかりと愛情表現をしてくれます。愛猫が、日ごろから次のような行動を見せるのであれば、あなたを大好きな相手だと思っている証拠です。
- フミフミする
- プレゼントを持ってくる
- 目をじっと見つめる
- 頭や体をこすりつけてくる
- お腹を見せる
- しっぽの先を曲げる
- ゴロゴロと喉を鳴らす
- あとを着いてくる
逆に、これらの行動があまり見られないのであれば、猫との接し方を見直したほうがいいかもしれません。まずは、それぞれの行動にはどういった意味があるのか見ていきましょう。
フミフミする
猫が飼い主さんにフミフミをするのは、子猫気分で甘えているときや、肉球にある臭腺でにおいつけ(マーキング)をしているのだと考えられます。
猫が甘えてくるのはあなたを愛し、信頼している証拠です。また、マーキングは、あなたに自分のにおいをつけて「大事なもの」「所有物」であるという主張でもあります。
プレゼントを持ってくる
猫があなたのそばに小動物や虫、おもちゃなどを持ってくるのは親しい相手へのプレゼントだと考えられています。
あたりまえですが、嫌いな相手、敵視している相手にプレゼントを贈ることはありませんから、それは猫に愛されている証拠といえます。
もっとも、いくら愛情表現でもトカゲだのムカデだのをもらっても困りますけどね。
でも、そんなときこそ落ち着いて、冷静に対応する必要があります。猫は好意で獲物を持ってきてくれるのですから、大声を出したり、まして叱ったりしてはいけません。
目をじっと見つめる
猫にかぎらず、他者の目を凝視する行為にはネガティブな意味があるとされています。
一方、猫があなたの目をじっと見つめるのには好意的な意味がこめられていることがあります。とくに、ゆっくりとまばたきするときは深い愛情と信頼の証です。
猫がこのような行動を見せたときは、「私もあなたが大好きだよ」という気持ちを込めてまばたきを返してあげましょう。
頭や体をこすりつけてくる
好きな相手に対して、猫は頭や体をこすりつけるような行動を見せます。中にはゴツンと頭をぶつけてくる猫もいるため、「頭突き」と表現することもあります。
猫の頭や頬などにはフェロモンを分泌する臭腺があり、大好きな飼い主さんに自分のにおいをこすりつけることで「自分のもの」というアピールをしているのだと考えられています。
ほかにも、あいさつや撫でてほしいなどの要求を伝える行為の場合もあるようです。
いずれにしても、信頼している相手にしかしない愛情表現であることは間違いありません。また、体をこすりつけてくるのも同様の意味があると言われています。
お腹を見せる
動物にとってお腹はもっとも弱い部分。つまり急所です。その急所をさらけだすのは安心できる状態にあることを意味します。
もし、あなたの前で猫がお腹を見せて寝そべっているのであれば、猫はあなたを安心できる相手、信頼できる相手だと感じているのです。
遊びに誘っているときにもお腹を見せることがあるので、遊びたがっているようなそぶりが見えたときは仲良し度をアップさせるチャンスかもしれませんね。
しっぽの先を曲げる
猫はよろこびを表現する際に、しっぽの付け根をふわっとふくらませて少し震わせます。そんなときは、しっぽはまっすぐではなく、先のほうを軽く曲げていることが多いでしょう。
「あなたに会えてうれしいよ!」という感情表現のひとつだと思われます。さすがに同じ仕草を返すことはできませんから、撫でたり抱っこしたりしてこちらも同じ気持ちでいることを伝えましょう。
ゴロゴロと喉を鳴らす
猫はさまざまな理由でゴロゴロと喉を鳴らしますが、そのうちのひとつに「愛情表現」があります。
もし、あなたが近づいたときに愛猫が喉をゴロゴロと鳴らしはじめたなら、それは「大好きだよ!」と伝えているのかもしれません。
あとをついてくる
家の中を移動するのにあわせて猫があとをついてくるのは、「あなたといっしょにいたい」「あなたにかまってほしい」という気持ちのあらわれです。
猫は基本的に単独でのんびりと過ごすことが好きな動物です。そんな猫があとをついて歩くのですから、猫から好かれていると考えることができるでしょう。
猫に好かれる人間になるためのポイント
猫に好かれる人には、声が高くて落ち着いた動作をする、猫に無関心、香水などの強いにおいがしない、といった共通の特徴が見られる傾向があります。猫に好かれるにはその特徴を理解し、かつ猫が嫌がる行動をしないことが重要です。
では、具体的にどんな行動をすれば猫に好かれるのか、注目すべきいくつかのポイントをまとめました。
動作が派手な人は嫌われる
猫は大きな音や動作、素早い動きが苦手です。そのため、ドタバタと音を立てて歩く人やドアを勢い良く閉めるようなタイプの人には猫はなつきません。
生活音や動きが大きい、せっかちという自覚がある人は、落ち着いた静かな行動を心がけると良いでしょう。
高い声でゆったりとした優しい話し方をする
猫は穏やかで優しい口調や高めの声を好みます。反対に、大きな声や低い声は苦手なようです。そのため、男性よりも女性のほうが好かれやすい傾向があるといわれています。
猫に話しかける際は、高めのトーンで優しくゆっくり穏やかな口調を心がけるようにしましょう。
スキンシップは猫のペースにあわせて
猫にかぎらず、過度のスキンシップは嫌われる傾向があります。とくに猫はしつこく触られることを嫌うので触りすぎには注意しましょう。これは猫に無関心な人のほうが猫に好かれやすい理由でもあります。
猫はとても気まぐれな生き物ですから、甘えたいと思ったときに甘えさせてくれる人、撫でてくれる人を好みます。また、猫がリラックスしているときやご飯を食べているあいだ、毛作り中は誰にも触られたくないタイミングです。
そのほか、耳をうしろに倒したり、しっぽを左右にぶんぶん振っているときなどはご機嫌うるわしくないときですから、そっとしておくほうが得策でしょう。
香水や柔軟剤などきつい匂いがする人を避ける
私たち人間は、香水や化粧品、スキンケア用品、衣服の柔軟剤など、実にさまざまな香りに囲まれています。たいていは人間にとって良い香りのはずですが、人間よりはるかに鋭い嗅覚を持つ猫にとっては過剰なにおいであることも多いです。
そのため、猫はにおいがきつい人を避ける傾向があるといいます。逆にいえば、猫に好かれたいならにおいを減らすべきでしょう。
完全ににおいを消すのは無理かもしれませんが、できるだけ無香料や微香のものを使うなどして対処するのがおすすめです。
また、香料には猫の健康に悪影響をおよぼす懸念のあるものもありますから、そういった意味でも不要な香りは避けるべきでしょう。
ご飯をくれる人、お世話をしてくれる人は好かれやすい
食べるものをくれる人や身のまわりのお世話をしてくれる人は、猫から特別な存在だと認識してもらいやすくなるようです。
室内で暮らす猫にとってはご飯やオヤツは数少ない楽しみですし、トイレをきれいにしてくれたり、いっしょに遊んでくれたりする人のことを猫はしっかりと覚えます。
もし、あなたが猫に好かれたいのなら、毎日決まった時間にご飯を用意する、トイレを使ったらなるべく早く片付けるといったお世話をていねいにおこないましょう。
まとめ
猫は人間に対して猫同士で遊んだりあいさつしたりするのと同じように振る舞います。そこから、猫は猫と人間を区別していないと考えられています。
そんな猫と仲良く暮らしていくためには、飼い主であるあなたが猫の習性をきちんと理解して、猫の気持ちをくみ取り、正しく対応する必要があります。
猫は気まぐれで、「したいことをして、したくないことはしない」タイプの動物なので、あなたがどれだけ猫に合わせられるか、という点も重要です。
また、猫に好かれる人の特徴を把握し、猫に嫌われないように行動しなくてはなりません。この記事が、あなたにとって、愛猫ともっと仲良くなれるきっかけになれば幸いです。
20代 女性 咲月
また、飼い主の声を認識しているかどうかについても、以前私が入院している時、主人との電話の最中にスピーカーにしてもらい愛猫の名前を呼んでみたことがあります。その時、寝ていた愛猫が飛び起きてニャーニャーと大きな声で鳴きながら玄関まで走っていったと聞いたときは、ちゃんと私の声を分かってくれているのだと心底嬉しかったです。
どうしたら人間をうまく扱えるかという研究については、非常に面倒くさがりな愛猫も努力を怠らないようで、年々、愛猫の思うがままに操られるようになってきています(笑)
女性 yuki
私が猫の多頭飼いを始めるきっかけになったのは、先住猫の時に1匹でとても退屈そうに見えたので、新入り猫を迎えようと決めたからです。様々な譲渡会に参加し、「子猫がいいか?それとも大人しそうな若い猫?いや、性別違いの中年猫?」なんて考えているうちに、先住猫の病気が発覚し、闘病生活の始まりだったので、結局その子に兄弟猫を作ってあげたいという夢は叶いませんでした。
その後迎えた新しい猫の時は、寂しくないようにと姉妹で引き取り、無事に多頭飼いの始まりです。また新たに猫を保護し、現在はあっという間に4匹になってしまいました^^;可愛いですが掃除が大変ですね。
猫がこちらをどう認識しているかは猫にしかわかりませんが、”猫同士の遊び”だったり、”猫界のルール”を知る上では、やはり猫には猫が一番だと考えていますので、猫はわたしのことを大きな猫(笑)だとおもっていたとしても、このまま多頭飼いを続けていきたいと思っています。
もちろん、猫のストレスにならないよう、しっかり性格の合う合わないを確認しながらですけどね^^
女性 ケロキ
20代 女性 ゆず
20代 女性 あめたま
猫が人間のことを同類と思っているのであれば、猫ちゃんにとっては人間との共同生活がスタートした段階から多頭生活状態という事になると感じられました。
だとしたら、人間と異なる立場だと自覚している犬よりも多頭飼いに向いていないとする分析は妥当だと考えられます。
多頭飼いが流行っていますが、猫ちゃんに無理強いはしたくありません。
しかし、人間を対等な存在だと捉えているのにも関わらず、下に見ているのではない事は初耳でした。
その点に関しては、犬よりも猫の方が賢いのかもしれません。
猫ちゃんは犬と比較される事が多いですが、より人間と思考回路が近い動物だという印象を受けました。
今後も、猫ちゃんと良好な関係を続けたいきたいと思います。
30代 女性 のりちゃん
私は絶対に猫ちゃんが人間だと信じていると思っていましたが、ちゃんと猫だということを認識しているのだなと思いました。
猫ちゃんが子猫を育てるとき、ひたすら自分の狩りをする姿をみせたりしますね。
人間は、狩りができないのでハエだったりをとってきてくれるのでしょうね。
私たちは、猫ちゃんに何かとやってあげますが、猫ちゃんも私たちに色々と尽くしてくれているのでしょうね。
私が病気になったときには、ずっとついていてくれて、動き出すとやっと、猫ちゃんもご飯を食べたり水を飲んだりします。
いつも、私たちと猫ちゃんは、一心同体ですね。
30代 女性 匿名
初めて私の猫と実家の新しい猫が対面した時はお互い威嚇しまくりでした(^_^; お互い気を許すのに時間がかかりましたが、人間に対しては、初対面でも威嚇することなくすぐ触らせてくれます。他の来客に対してもそうです。なんか、こいつは人間だから大丈夫だ。みたいにわかっているように感じました(笑)
側に近寄った時の反応も人間と他の猫に対しては違います。
じゃれ方も人間にはしないようなじゃれ方をして猫同士遊びます。きっとなんとなく人と猫の区別は出来てるんじゃないでしょうか。ただ犬とは違って人間=自分達より上って見方をしないだけで(笑)