親猫が子猫を食べるというのは本当?
親猫が子猫を食べるというのは、本当に起こることです。母親猫であるメス猫が子猫を食べることもありますし、父親猫が子猫を食べることもあります。もちろん、子猫をいつも食べるわけではありませんので、親猫が子猫を食べることは正常な行動ではなく、親猫の異常な行動のうちのひとつと言えるでしょう。
親猫が子猫を食べる行動は人に飼われていない野良猫にたまに見られるものですが、飼い猫であっても親猫が子猫を食べることも、ごくまれに見られます。
親猫が子猫を食べる理由
親猫が子猫を食べるといっても、オス猫とメス猫では、その理由が少し違います。
メスの親猫が子猫を食べる理由
親猫のメスが子猫を食べる理由として考えられるのは、次のようなことが考えられます。
1.安全のために子猫を食べる
生まれたばかりの子猫が死んだとき、そのまま放置をしていると死体の腐敗から臭いが出てしまいます。それが他の子猫の病気の原因となったり、外敵に気づかれる原因となったりします。そのような危険な状態をなくすため、母親猫は死んだ子猫を食べることがあります。
2.栄養状態が悪いために子猫を食べる
母親猫が、餌が取れず命の危険があるとき、親猫自信が生き残るために子猫を食べることがあります。
子猫を育てるには、子猫にお乳を飲ませて世話をしなければいけませんが、メスの親猫自身も母乳を出すため栄養が必要です。しかし、母親猫が弱かったり、自分の餌が十分に取れなかったりするときは、本能から親猫は自分の命を優先させるため、子猫を食べることがあるのです。
飼われていて、しっかり餌をもらっている母親猫であれば、栄養状態が悪いことで子猫を食べることはないと考えられます。
3.外敵に襲われたために食べる
子猫を育てているところに外敵が来るなどして、親猫が子猫を守りきれないと感じたり、自分の身の危険を感じたりすると、親猫は子猫を食べることがあります。
4.子猫の数を減らすために食べる
2回目以上の出産をした親猫に多く見られるとされるもので、生まれた子猫が多すぎると、弱ったものや小さすぎるものを食べることで、子猫を減らすことがあると言われています。また、育児をしようとしないメスの親猫もいて、育児放棄の末に子猫が死んでしまうと、その子猫を親猫が餌として食べることもあります。
5.子猫から違う匂いがする
母親猫の精神状態として、何らかのストレスを感じていたり、出産によるホルモン異常によって親猫の攻撃性が増したりすることが原因になることもあります。
一定期間子猫を母親猫と離して過ごさせたり、人間が触って違う匂いをつけたりすると、母親猫が自分の子供だと認識しなくなり、育児放棄をすることもあると言われています。
しかし、子育て中の母親猫が、他の猫が産んだ子猫や、猫以外の動物の子供を我が子と同じように育てるという事実もたくさんあります。このことから、母親猫が子猫を自分の子供だと認識して、世話をするかどうかには、匂いや見た目だけでないものがあるのでしょう。
親猫が子猫を食べる行動、これは野良猫に限った話ではなく、飼い猫の場合でも例外ではありません。飼い主が何度も親猫と子猫の様子を見に来て、子猫や親猫に触ることで母猫を刺激してしまうと、親猫は子猫を取られると感じて、食べることがあります。
オス猫が子猫を食べる理由
6.子猫を獲物として食べる
流産した子猫、生まれてすぐ死んでしまった子猫などは、親猫によって食べられてしまうことがあります。また、病気や怪我、または先天的なもので弱った子猫も、子猫ということではなく獲物と同じようにして、父親猫は食べるということになります。
オス猫は基本的には子育てをしないため、子猫と関わるときには、母親猫と一緒に過ごしているときということになります。そのため小さい生き物は、子猫であっても、父親猫には獲物だと認識してしまう場合もあると考えられます。
もちろん全てのオス猫が子猫を獲物として見て、食べるわけではありません。父親猫にもちゃんと面倒を見たり、仲良くしたりといった行動も普通に見られます。オス猫が子猫を食べる理由としては、お腹が空いていた、気が立っていた、などといったものが考えられます。
7.メス猫の発情をおこさせるため
子育てをしている親猫は、発情しないので、他のオス猫が交尾しようとしてきても、威嚇して受け入れようとしません。しかし、子猫が何らかの理由でいなくなり母親猫が子育てをしなくなると、再びメス猫は発情することがあります。
オス猫は本能から、メス猫と交尾をするために、母親猫の子供を殺して食べることがあります。メスの猫が産んだ子猫が自分の子猫ではないときに、自分の子孫を残すために子猫を殺して食べるという説もあります。
他の動物でも子供を親が食べてしまうこともある
猫だけでなく、他の動物でも、子供を食べる共食いというものがあります。犬も、猫とよく似た状況や理由で、産まれたばかりの子犬を食べることがあります。
ペットとしてよく飼われるハムスターも、生まれた子供が弱っていたり、死産であったり、また人間が触ることで違う匂いがついたりすると、食べることがあります。
また、オスのホッキョクグマは、子グマを襲って食べることで知られています。ふだんホッキョクグマはアザラシなどを食べるのですが、アザラシが捕まえにくくなる夏以降の時期には、餌となるものが極端に少ないために、子熊も捕食対象になってしまうということです。
母熊は子熊を守ろうとしますが、力が強いオス熊を止めることはなかなかできず、自分も襲われる可能性があるために、子熊を守りきれないということです。
猫科であるライオンも、共食いで子供を食べることがある動物です。ライオンはボスであるオスライオンと、数頭のオス、さらに数頭から10頭ほどのメスや子ライオンと群れを作って生きています。新しいオスライオンがボスになると、自分の子孫を残すためと、子育て中のメスライオンの発情を促すために、他のオスライオンの子供を食い殺してしまうこともあります。
まとめ
親猫が、子猫を食べるということは、残念ながら決して珍しいことではありません。多くの野生動物も、何らかの理由から、自分の子供を食べるということがあります。食べる理由としては、親猫が子猫を獲物として見てしまうため、親猫は子猫を外敵に取られないようにするために食べるといったものから、オス猫がメス猫と交尾をするために食べるという理由のこともあります。
もし、メスの飼い猫がいて子猫を産んだら、飼い主さんとして親猫が子猫を食べることがないようにするためにできることは、安全な場所でそっとしておくこと、母親猫に十分な栄養を摂らせること、母親猫の様子を常に気にかけておくことです。