猫の睡眠時間は1日何時間?
猫はよく寝るというイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。猫という名前の語源が「寝子」である言う説も出るほどに、長く深く寝ているイメージがあります。
実際に猫はたくさん寝る動物で、平均すると16〜17時間も睡眠時間に充てています。なんと1日の3分の2も眠っているのです。
年齢によって睡眠時間は変わる
猫が眠る時間は年齢によって変わり、成長のためにたくさんエネルギーを消費する哺乳期や子猫、体力の衰えによりエネルギーの温存をしておきたい老猫は長く眠ります。時間の目安としては、
- 哺乳期(5ヶ月未満):20時間
- 子猫:18時間
- 成猫:14時間
- 老猫:20時間
と、人間と比べてかなり長めです。猫の睡眠時間は年齢だけでなく、飼育環境や性格によっても変わってきます。
犬と猫の睡眠時間はほぼ同じ
意外に思うかもしれませんが、犬と猫は睡眠時間だけ見るとそこまで大きな差はありません。「猫の方が長く寝る」というイメージは、人間・犬・猫それぞれの活動時間が異なるためについたもの。
人間や犬は主に日中活動して夜間は眠りますが、猫は睡眠の大半を昼間に取って明け方や夕方に活発に活動します。私たちが昼間起きている間に目にする猫が、寝ている姿であることが多いため記憶に残りやすいのでしょう。
野良猫の睡眠は浅くて短い
野良猫は家猫と違い、どんな時でも外敵に襲われてしまうリスクがつきまといます。いつでも神経をピンと張り詰めアンテナを張り巡らせているので、寝ている時でも熟睡できないのです。
余程安全な場所でない限り、何かあった時にすぐに逃げられるように、うたた寝レベルの浅い睡眠を短時間取っています。過酷な環境下で生き延びるために、睡眠も適応しているのでしょう。
猫がたくさん寝る理由
猫がたくさん寝る理由には、主に活動するためのエネルギー回復や温存の目的があります。
家猫を見ているとあまり感じられませんが、猫は元々ネズミや鳥などを狩って食べる肉食の狩猟動物。狩りには非常にたくさんのエネルギーを使うため、日中によく眠って体力を蓄えて次の狩りに備えているのです。
エネルギーの消費を抑えている
狩りをする時以外にも、食べた肉に含まれるタンパク質を消化するのに多くのエネルギーを消費します。胃腸にも負担がかかるので、狩りや食事、トイレに行く時以外はできるだけエネルギーを温存するために良く眠るのです。
また、冬になると、睡眠時間が長くなったり眠る回数が増えたりもしますが、行動や運動を減らして消費するカロリーを抑え、無駄に体力を使わないようにしています。
加齢により活動量が減るため
11歳を過ぎ高齢期になると、筋肉や体力が衰えて活発に動く事がなくなり、1日の活動量が減ります。遊びへの興味も薄れてしまうので、食べる時とトイレに行く以外はぼーっとしていたり寝ていたりする時間が長いです。
また、加齢に伴って耳が遠くなり、周りの物音に鈍感になるので、一旦寝ると比較的長い時間寝続けます。場合によっては体調不良や病気が潜んでいるケースもあるため、起きている時の食欲や行動に変化が無いかきちんとチェックしてください。
成長ホルモンの分泌を促進するため
子猫が大きくなるためには、成長ホルモンの分泌が重要です。成長ホルモンは寝ている時に分泌され、質の良い睡眠をしっかり取ることで骨や筋肉など、体や脳の発達を助けてくれます。
子猫は成長に伴うエネルギー消費量もとても多いので、眠り始めたら自然に起きるまで寝かせておいてあげましょう。
猫は熟睡していない?眠りが浅い理由
猫も人間と同様に、寝ている間に「レム睡眠」と呼ばれる浅い眠りと「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い眠りを交互に繰り返しています。
猫は非常に警戒心が強く、少し熟睡した後にレム睡眠に移るために眠りが浅くなりがちです。その分長時間眠るのを苦手としています。
人間は夜に7〜8時間まとめて眠るのに対し、猫の睡眠は短い時間の睡眠を繰り返すのが特徴です。また、猫は1日の睡眠時間中の4〜5時間程度を、エネルギー温存や外敵に気付きやすくするため休息をしています。
熟睡している時は脱力した様子で名前を呼んでも起きませんが、眠りが浅い時は、ヒゲや手足がピクピクと震えたり寝言を発したりします。
休息時やレム睡眠時は多少の物音がしただけで起きてしまう状態になっているので、猫の睡眠を妨げないよう、できる限り配慮をしましょう。
猫が快適に眠れるように飼い主ができる工夫
猫がなかなか眠ってくれない…とお悩みの飼い主さんもいらっしゃるかと思います。猫が快適に眠れない理由としては、
- 光や音、寝床が合わないなどの理由で落ち着かない
- ストレスが溜まっている
- ぐっすり眠れる環境ではない
などが挙げられます。もし現在悩みがあっても、飼い主の工夫や行動1つで猫が快適に眠れるようになるので、ぜひチェックしてみてください。
猫の体にあったベッドを用意する
猫は狩猟本能や安心感から、狭くて暗い所に好んで入ります。猫が眠るベッドは体の大きさぴったりか少し小さめなくらいが快適な睡眠をもたらします。大きすぎず小さすぎず、丸まった時に程よくフィットするサイズ感のベッドを用意しましょう。
夏であれば麻や綿または接触冷感の素材、冬はフリースや毛布など暖かい素材を選び、猫が落ち着ける所に置いてください。1ヶ所ではなく数ヶ所に置くのも、快適な眠りのためには有効です。
たくさん遊んでストレスをためない
運動不足で体力を持て余していたり、来客や構いすぎ(触りすぎ)、大きな音などが原因でストレスや不安を感じていたりすると、猫は眠れなくなってしまいます。特に室内飼いをしている猫に当てはまりやすいです。
夜にしっかり寝てもらいたい場合は、日に5〜10分程度の運動を3〜5回ほど行うようにしましょう。たっぷり遊ぶとストレスの解消に役立ち、眠れない事での夜鳴きも解消します。
猫が安心できる環境を整える
人間が眠る時に部屋を暗く静かにして、快適に感じる室温に整えますよね。それと同じく、猫も過ごしにくい部屋では安心して寝られません。猫が眠る部屋は、室温が20〜28度℃に保たれ、できるだけ生活音が響きにくい静かな所が好ましいです。
とは言えどうしても音は出てしまうので、猫が寝ている時だけでも足音などを静かにするよう考慮してください。また、眠っている猫がかわいいからと言って執拗に撫でたり構ったりせず、眠り続けられるようそっとしておいてあげましょう。
まとめ
猫が1日に取る睡眠時間は平均16〜17時間です。成長のためにカロリーを多く消費する子猫や、加齢による衰えから活発な行動をしなくなる老猫は睡眠時間が長くなります。
猫は元々狩りをして生きる動物で、狩りには多くのエネルギーが必要になるため、体力を温存するためにたくさん眠るのです。
猫は睡眠中に深いノンレム睡眠と浅いレム睡眠を交互に繰り返しますが、警戒心が強いため全体的に浅い眠りになりがちです。そして、家猫よりも野良猫の方が外敵に襲われる可能性が高いので、あまり熟睡はできていません。
家猫の方が危険が少ないため睡眠は取りやすいのですが、運動不足で夜に活発になってしまったり、寝床や室温などの環境が整っていない、来客や生活音などのストレス・不安から眠れなかったりするケースがあります。
ベッドをフィットする大きさにして季節に合った素材にする、日中に5〜10分程度の遊びを3〜5回行う、室温を20〜28℃に保つ、寝ている猫を構わないなど、飼い主が少し工夫するだけで猫が快適に眠れます。
質の良い睡眠はストレスの緩和や健康をサポートする事にも役立ちますので、ぜひ意識してみてください。