猫の背骨の秘密!背骨の役割や数、病気やマッサージまで徹底解剖

猫の背骨の秘密!背骨の役割や数、病気やマッサージまで徹底解剖

背骨は体を動かしたり、支えてくれる大事な役割をもっています。猫の体を丸めたり、高い所にジャンプできる柔軟な体は、その背骨に大きく関係しています。今回はその猫の背骨の秘密について詳しく解説していきたいと思います。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫の骨の数は244本もある

並んで座る二匹の猫の後ろ姿

猫の骨の数は平均では約244本もあるといわれており、私たち人間の骨の数約206本よりも多い骨格をもっている動物です。
詳細には、背骨は頸椎が7本、胸椎が13本、腰椎が7本、仙椎が3本から構成されています。

ちなみに尾椎は4〜24本で種類や個体によって本数が異なります。このことからみると猫の骨の多さは背骨(尾椎)の数によるものですが、大体において人間と同じ構成をしていることが分かります。

また猫の骨について詳しく書かれている記事がありますので、ぜひ見ていただければと思います。

猫の背骨が曲がっている理由

座って窓の外を見つめる茶白猫の後ろ姿

私たちがよく耳にする「猫背」という言葉は、その名の通り猫の背骨が曲がっていることから由来しています。
猫をはじめとする肉食動物は、狩りのために瞬発力があり、早く走れ、急旋回もできることが求められます。そのため体は、柔軟性に優れた体になっているのです。

猫は最も柔軟性に優れた背骨を持っている動物と言われ、背骨と背骨の間にありクッションの役割をもつ椎間板の柔軟性が高いそうです。

そのことから猫の背骨は骨と骨との柔軟性が高いため、「伸びる猫」と呼ばれているように体を伸ばすことができるのです。

また、4足歩行の動物には、胸骨(みぞおちにある骨)と肩甲骨をつなぐ鎖骨が発達していません。猫も鎖骨が発達していないおかげで、狭い場所を通り抜けられる肩の柔軟性を持っています。

猫の背骨に違和感を感じたときに考えたい病気

病院で獣医師の診察をうけている猫

痛みを伴う「変形性脊椎症」

猫の背骨を構成する椎骨は頸椎から胸椎、腰椎、仙椎、尾椎へと連なって体を支えています。しかしその背骨自体が変形し曲がることで脊髄を圧迫して痛みや機能障害が起こることを「変形性脊椎症」といいます。

背骨の変形している部位によって現れる症状が異なりますが神経系である脊髄を圧迫してしまうため力が入らなかったり、痛みがあったり、歩き方が変わったり、ジャンプしたがらず高い所にのぼらなくなったりします。軽度であれば「若い頃のようには動かないな。年をとったのかな。」と思う程度の症状にとどまることも多いのですが、重度になると排泄に支障が出たり、歩けなくなったり、立ち上がることが困難になったりしてしまいます。

強い痛みを伴いう場合には、触れると嫌がったり怒ったりすることもあります。排泄に支障が出ると、命に関わる場合もあります。稀に若い猫でも見られますが、特に高齢猫に発症しやすい傾向があります。

猫でもなることがある「椎間板ヘルニア」

椎間板ヘルニアと聞くとダックスフンドやコーギーなど胴長短足の犬に発症するイメージがあると思いますが、猫でも発症率は低いですが椎間板ヘルニアになることがあります。

骨と骨の間でクッションの役割をもつ椎間板が飛び出てしまうことで隣接している脊髄を圧迫し、痛みや歩行障害などを発症します。

椎間板が飛び出る部位によって症状は変わりますが、腰で起こることが最も多く、尾側の神経情報が遮断されてしまうため力が入らず、後肢を引きずって歩く、足の裏を床につけずに歩くなどの症状が見られるようになります。ヘルニアが起こっている部位とともに神経が障害されている程度によっても症状は異なり、排泄が困難になる場合もあり、生活に様々な支障をきたします。

猫の椎間板ヘルニアの原因はよく分かっていませんが、肥満は確実に椎間板ヘルニアになる危険性を高める因子であり、背骨に大きな負担をかけてしまうことで椎間板ヘルニアを起こしやすくします。他にも交通事故や落下事故などにより背骨に大きく衝撃を受けてしまった場合に起こる可能性もあります。猫の椎間板ヘルニアの多くは高齢猫で見られますが、犬で言われている若齢~中年齢のダックスやコーギーで多く見られるタイプと、どんな犬種でも老齢の犬に多く見られるタイプの両方のタイプの椎間板ヘルニアが猫でも見られています

また人気が高いマンチカンのように胴長短足の猫は背骨に負担がかかりやすいと考えられますが、今のところ他の猫よりもヘルニアを起こしやすいというデータはありません。2016年に発表されたイギリスのデータによると、雑種の猫よりも純血種の猫で椎間板ヘルニアが多く見られた、特にブリティッシュショートヘアとペルシャで多く見られたそうです。

≪参考≫

背骨に触れるようになるのは「痩せすぎ」が原因

猫の体型や体重が適切かどうか判断する指標として「BCS(Body Condition Score)があり、肋骨や腹部、腰のくびれなどを触ったり見た目から5段階に評価します(10段階評価のBCSもあります)。

1番適切なのはBCS3で肋骨は触れることができるが、見た目でははっきりとは分からない。腰のくびれがわずかに見られ、横から見ると脇腹にヒダがあります。

しかし容易に背骨や肋骨、肩甲骨、骨盤に触れることができたり、腰のくびれが細く顕著に見られるなどの場合はBCS2か1で痩せている可能性があります。

子猫であれば栄養不足で成長不良の原因にもなってしまいますし、高齢猫の場合は腎不全や甲状腺機能亢進症など何らかの病気にかかっている可能性が考えられます。

背骨を触ると嫌がるのは「骨折」している可能性も

猫の骨折のほとんどが交通事故などですが、完全室内飼いでも落下した際の着地の失敗や、窓やベランダから落下して骨折することもあります。

打ち所が悪ければ背骨に大きな衝撃を受けて骨折することがあり、触って痛がったり明らかに背骨が変に曲がっている場合は折れている可能性があります。

骨折する部位によって症状が異なりますが、背骨の場合は隣接している脊髄が損傷を受けている可能性が高いため、麻痺が起こる場合があります。

また背骨だけではなく他の骨も折れている場合もあったり、骨だけではなく内臓に損傷を受けて内部出血を起こしたり、その臓器が機能を果たせなくなったりする危険性がもあるため、交通事故や落下事故の場合には早めに動物病院へ受診してください。

しこりや膨らみがある場合は「骨肉腫」の疑い

骨肉腫は猫の骨の腫瘍の中で最も多く見られる腫瘍ですが、骨の腫瘍自体が猫では少なく、稀だといわれています。多くが高齢猫に発症しやすい傾向がありますが、中には1歳未満の猫での報告も発症することがあります。

どの骨に骨肉腫ができるかによって症状は様々ですが、手足の骨にできた場合には足を引きずったり庇うような歩き方をしたり、腫瘍によってもろくなった骨が骨折したりします。腫瘍の膨らみによってその部位が変形することもあり、顔の骨にできた骨肉腫ではくしゃみ、鼻水などが見られることもあります。背骨にできた骨肉腫によって歩行や排泄が障害されることもあります。また痛みも伴います。進行していくにつれて元気喪失や食欲低下、体重減少などもおこります。

さらに骨肉腫を含め猫の場合、腫瘍の多くが悪性なためです。猫の骨肉腫は転移が少ない腫瘍ですが、悪性腫瘍は元々の臓器から肺や肝臓、腎臓などの他の臓器に転移する場合もあります。

猫ちゃん大興奮!背骨マッサージにチャレンジ!

飼い主の膝の上でマッサージされて気持ちよさそうな猫

ペットマッサージのプロが教える!猫がとろける極上マッサージ

まず始めに挨拶として、猫の頭部から前肢、背中、尻尾、後肢へと優しく撫でてリラックスさせてあげます。

リンパの流れをよくするために、左肩甲骨前縁をゆっくりと撫でてマッサージします。次に、口元から耳に向かってさすり、リンパをほぐしながら胸の方向に流すようにします。

耳の後ろにあるツボ周辺をほぐしてあげたり、肩甲骨を円を描くように優しくマッサージします。そして肩から足先に向かって円を描くように撫でてあげます。

背中にあるツボを意識しながら優しく揉みほぐします。
股にある鼠径リンパの流れをよくするために鼠径部をマッサージし、揉みほぐしたら腰から足先に向かって円を描くようにさすります。最後に、肉球にあるツボを優しく押したり、お腹や顔にもいくつかツボがあるためマッサージします。

マッサージが終わったあとも始める前と同様に頭部から前肢、背中、尻尾、後肢へと撫でて、終わった合図として挨拶をします。

まとめ

青空の下で体を伸ばしている猫

猫の骨の数は私たち人間よりも平均的に40本ほど多く、その数の多さは主にしっぽの骨によるものです。そして猫では、椎間板の柔軟性が非常に高いため、そして鎖骨が発達していないために体を柔軟に動かすことができるのです。

その抜群な柔軟性により瞬時に動いたり、素早く走ることができたり、助走なしで軽々にジャンプすることができます。

背骨は頸椎から胸椎、腰椎、仙椎、尾椎へと連なって体を支えているため、背骨に何らかのトラブルが生じた場合は力が入らず立ち上がることができなくなったり、歩行困難や排泄困難など日常生活に様々な支障が起こってしまいます。

背骨に負担かけないように適切な体重をキープしたり、高齢猫では足元が滑らないようにマットを敷くなど心がけてあげることが大切です。また、特に高齢猫では痛みによって活動性が落ちていることがないか、行動をよく観察してあげましょう。

また、体に異常がない時には日々マッサージしてあげることは筋肉のこりの緩和やQOLの向上に繋がりますし、触れ合うことでコミュニケーションとしての効果もありますので、ぜひチャレンジしてみてください。

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