猫の目の仕組み
瞳孔の大きさが変化
瞳孔とは、猫の目のまん中にある黒い部分のことで、明るいところでは細くなり、暗いところでは丸く大きくなるのは知っている人も多いと思います。この瞳孔で猫の目の中に入る光の量を調節しているのです。瞳孔が大きくなるほど入ってくる光の量が多いので、暗いところでも見えやすくなります。
実は、瞳孔の大きさが変わるのは明るさに反応したときだけではありません。興奮したり恐怖を感じたりしているときや、何かに興味を示しているときも外の明るさに関係なく、瞳孔が開いて丸くなります。逆に、攻撃態勢にあるときは瞳孔が細くなります。
暗闇で目が光る
暗闇で猫の目が光るのを見て、ドキッとしたことがある人もいるかもしれませんね。その秘密は網膜の後ろにあるタペタムという膜です。これが反射板の役割を果たし、網膜を通過した光を反射するから光るのです。そしてタペタムが光を反射して網膜に戻すおかげで、猫の目の中に入った光が増幅するので、猫は暗闇でもわずかな光さえあればよく見えるのです。見るのに必要な光の量は人間の1/7ほどだそうです。
猫の目から読みとれる気持ち
猫が苦手な人は猫の目が怖いという人が多いようですが、猫好きにとっては美しくて魅力的な目ですよね。猫は、人や犬に比べると、表情筋がかなり少ないから表情に乏しいというのを聞いたことがありますが、猫と暮らしていると、実に表情豊かなことに気づくはずです。ここでは目の表情でわかる猫の気持ちを見ていきましょう。
目を細める
満足しているときや、リラックスしているときは、目を細めてほほえんだような表情になります。猫の喉をなでたりしてこの表情をしてもらえると、こちらまで幸せな気分になりますよね。
眠たいときにもまぶたがゆるんで、少し潤んだ目をしています。眠りに落ちそうなときは瞬膜が出てきて、白目をむいているように見えることがあります。
瞬膜はまぶたと眼球の間にある白い膜で猫の目を保護する役割があり、目を閉じるときに目頭側から眼球を覆うように出てきます。眠たいときなどに少し見えている程度なら問題はありませんが、出たままになっている場合は、病気やけがの可能性もあるので動物病院で診てもらいましょう。
目を見開く
警戒しているときは目を見開き、耳をやや後ろに寝かせています。外で知らない猫に会って、警戒しているなと思ったら、猫の目をじっと見ないようにしましょう。見つめられると猫は、けんかを売られたと感じるようです。少し目をそらしたり、薄目で見たりするようにしましょう。
人に慣れた猫の場合は、じっと見ても大丈夫なことが多いです。それは、見つめ合うことで、コミュニケーションがとれると学習しているからだと思われます。
まん丸でキラキラの目
目をまん丸に開いてキラキラさせているのは、お腹がすいたときや遊んでほしいときなど、何かに期待してワクワクいるときです。なんともいえず愛らしい表情なので、つい期待に応えてあげたくなります。
ゆっくりまばたき
人と目を合わせて、ゆっくりまばたきをすることがありますが、これはその人を信頼している証拠です。最高の愛情表現なので、同じようにゆっくりまばたきを返してあげましょう。飼い主からゆっくりまばたきをしてみて、猫が返してくれるかどうかで、信頼度を確かめるのもいいかもしれませんね。
猫の目の視力
ぼんやり見える程度
暗いところでもよく見えている猫ですが、視力はあまりよくなく、人間の1/10程度しかありません。人間の視力でいうと、0.3くらいといわれています。ぼんやりとしか見えていないのですね。猫がときどき首をかしげながら何かを見ていることがありますが、これはよく見えないから目の角度を変えてピントを合わせようとしているのです。
動体視力がすごい
猫の目は視力は良くなくても動体視力は発達していて、すばやく動くものにはとても敏感に反応します。これは小さな獲物を逃さないためです。ねこじゃらしなどをすばやく動かしても、敏捷に追ってくるのはすごいですよね。
ところが動体視力が良すぎるせいで、動きがゆっくりすぎるものを目で追うのは苦手なようです。自分より強い猫に遭遇したときに、ごくごくゆっくりな動きでその場を離れようとする猫を見たことがありますが、相手に気づかれないようにしているのですね。筆者の猫も、病院に連れていかれそうな気配を感じたら、ゆーっくり逃げていきます。
猫の目が認識出来る色合い
色覚は、網膜の中にある錐体細胞というものが関係しています。人間にはこの錐体細胞が3種類あって、光の三原色である赤、青、緑が識別でき、その組み合わせであらゆる色を見ることができます。ところが猫の目には錐体細胞が2種類しかなく、赤の識別が苦手なようです。赤は灰色に近い色に見えているともいわれますが、明確にはわかっていません。わたしたちが見ている世界と、猫が見ている世界は違っているのですね。
猫は夜行性で、夜間に狩りをすることが多いので、色を見分ける能力はあまり重要ではなく、それよりも獲物の動きに確実に反応できる動体視力が発達したのでしょう。
まとめ
猫の目の美しさや表情の豊かさは、いくら見ても見飽きることがありません。人と違うからこそ、惹かれるのかもしれませんね。猫の目のことをよく理解して、今以上に猫と仲良くなれるといいですね。