猫の黒目の役割とは
猫は夜行性のため、人間の7分の1の光でも十分ものが見えているそうです。 そのため、さっきまでまん丸だった黒目が、急に縦に細く変化することがあります。猫はこの黒目の大きさで光の量を調整しているのです。猫の瞳は自動扉を開閉するように光を絞ります。一番大きく瞳が開いているときは平均14ミリ、一番細く絞られたときには平均1ミリ、その差は13ミリも変化するのです。
気をつけてあげたいこと
猫はもともと暗いところでもよくものが見える動物です。黒目が大きく開き、少しの光でも十分ものがみえるような構造になっているため、かわいいからといってフラッシュをたいて写真撮影をしたりすると、猫の目を傷つけてしまいます。光への感度が良い猫の目にはフラッシュが想像以上にまぶしく、頭のよい猫ちゃんはカメラを向けると目を合わせないくらいです。写真を撮るときにはフラッシュは避け、猫の目を傷つけたりしないように気をつけてあげましょう。
また、生後しばらく視覚は未発達な子猫ですが、光に対する反応は生後間もない子猫でもあります(視覚は2か月ほどかけて発達)
これは、まだ瞳が機能していないため光を取り入れる準備がされていないからです。そのため子猫に光を向けるとまぶしそうな反応を見せます。
しかし、このときまぶしさから解放してあげようと光を遮断することは避けたいものです。目が開いて瞳がきちんと機能するようになると、動くものを目で追うようになりますが、このときの目の動きが視力を発達させるためです。
視覚が発達する時期に、あえて光の刺激を断ってしまうと視力の発達が遅れることがあり、視力が弱くなります。子猫の視力を守るため、育てる環境には十分注意しましょう。
猫の黒目の不思議
猫の目は人間の7分の1の光量で十分ものが見えるくらいなので、視力はさぞかし良いと思われがち。しかし実はかなりの近視で、視力は人間の10分の1、はっきり見えているのは2メートルほどなのです。その先はぼんやりしか見えていないようです。
動体視力は4倍なのに、静止画像は苦手
猫の目は静止している画像にピントを合わせるのがとても苦手です。静止状態だと解像度が低いぼやけた状態のように見えていることがあります。しかし、動いているものにピントを合わせる動体視力は非常に優れています。動体視力は人間と比べて4倍もあるといわれています。おもちゃで遊んでいるときに、おもちゃの動きを急に止めると、一瞬じーっとしているのは、動いているときはよく見えていたおもちゃが止まった瞬間に見えづらくなり、目を凝らしてピント調整をしているからなのです。
猫の黒目と感情の関係性
瞳を動かす神経
瞳の筋肉を支配する神経は、開くときと細くなるときでは異なります。黒目が細くなるときはリラックス神経といわれる副交感神経がはたらき、黒目が大きくなるときは、緊張・興奮状態のときに優位になる交感神経がはたらきます。瞳はこの神経の支配をうけているため、意識的に動かすことはできません。そのため、猫の目からそのときの感情を読み取ることができるのです。
まん丸に開いた大きな瞳
猫は、暗いところにいるときや怒り、恐怖、興奮があると黒目が大きくなります。暗いところで丸くなるのは、わずかな光を最大限に利用し、動くものにはっきりピントを合わせるための機能です。
また、感情による変化は、アドレナリンが放出されているためで、明るいところでも瞳が開いて黒目がまん丸になります。また、何か面白いものをみつけて、興味を示したときにも瞳が開き黒目は大きな丸になります。
縦に細い瞳
猫は、明るいところにいるときやリラックスしているときには、瞳が縦に細くなります。冷静に対応しようなどと知能犯的なことを考えているときにも、細く鋭くなって様子を静かに伺っているときがあります。確かによく観察すると、居心地よさそうにしているときは、黒目が縦に細くなっていたりしますね。
まとめ
少しの光でものが見え並外れた動体視力をもつのに、静止しているものを見るのが苦手な猫の目。ちょっと不思議な感じがしますが、だからこそ、一瞬じーっとものを考えるような、あの可愛(かわい)いしぐさがあるのですね。猫の黒目にかくされた魅力はまだまだありそうです。どんなときにこんな目をしているな、というのをよく観察することで、猫の気持ちが、よりわかるようになるでしょう。