猫が異物を誤飲したときの症状と対策、おもちゃや紐に注意!

猫が異物を誤飲したときの症状と対策、おもちゃや紐に注意!

猫の異物誤飲はよくあります。異物誤飲とは、猫が食べ物以外のものを食べてしまうことです。猫が誤飲する異物の多くが紐やネズミのオモチャ、猫じゃらしに付いている羽などです。特に好奇心旺盛で何でも興味をもつ子猫や年齢が若い猫は誤飲事故を起こしやすいため注意が必要です。しかしほとんどが飼い主さんが誤飲している事に気づいておらず、症状が現れてから来院してくるケースが非常に多く、猫の命に関わってきます。また自己判断により返って危険を伴うこともあるため、もし猫が誤飲してしまったらどうしたらいいのでしょうか?猫が誤飲しやすいものや症状などを含めてお話ししたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が異物を誤飲した

仰向けになって毛糸で遊ぶ猫

猫との日常生活で多い事故がお気に入りのオモチャや紐などを食べてしまう異物誤飲です。月に数回は異物を誤飲したケースで来院してくるくらい、どの猫にも起こりうる可能性があります。

私が飼っている愛猫もオモチャの紐部分やビニール破片、輪ゴムなどを誤飲した経験があります。実際に異物を誤飲した経験や猫が誤って誤飲しそうな現場に遭遇しヒヤヒヤした飼い主さんがいらっしゃると思います。

以前と比べて猫の室内飼いが主流となったことで、普段の生活の中に猫にとっては危険なものや誤飲しやすいものが数多くあります。

誤飲した異物によっては便と一緒に自然に排泄されて出てくることもありますが、誤飲したものや量によっては開腹手術をおこない異物を摘出する必要があります。

そのような場合や誤飲した異物によっては最悪の場合、猫の命を落とすことも少なくありません。どんなものが危険で誤飲しやすいのか知っておきましょう。

猫が異物を誤飲したときの症状

フローリングに嘔吐した猫
  • 食欲不振
  • 元気がない、食欲がない
  • 嘔吐
  • 窒息
  • 便秘
  • 大量のヨダレ
  • 貧血
  • 呼吸困難
  • ケイレン

猫が異物誤飲をしてしまった場合、食欲不振やぐったりして元気がない、嘔吐が主な症状です。

特に嘔吐の症状は誤飲した異物が腸管に詰まってしまうと何回も吐くようになり、10回以上も嘔吐することもあります。

飲み込んだ異物が小さなものであれば便と一緒に出てくるので、元気ある時や食欲あるなど特に目立つ症状はありません。

しかし異物の種類や大きさなどによりますが、猫の舌はザラザラと突起状になっているため紐や糸状のものは非常に飲み込みやすく、喉元に引っかかり詰まってしまうと息ができなくなり窒息してしまう危険性があります。ひも状のものは舌の付け根部分に絡まってしまうと舌が切れてしまったり、腸管内でひっかかり腸がギャザーを寄せたみたいに縮れてしまうこともあり非常に危険です。

また異物が鋭利なものだと胃や腸を傷つけたり、刺さって穴があいてしまう恐れがあります。

異物が腸管に詰まってしまい腸閉塞を起こし、排便ができず便秘や大量の嘔吐の症状が現れるようになり閉塞を起こしている部位が壊死していくため命に関わってきます。

他にも異物の中には猫にとって中毒症状を起こし、命を落とす危険なものがあります。下痢や嘔吐、大量のヨダレ、溶血性貧血、呼吸困難、ケイレンなど神経症状を起こすこともあり、最悪の場合は死亡します。

猫が異物を誤飲したときの対処法 異物別リスト

ネズミのオモチャ

(ねずみの)おもちゃ・紐

猫の誤飲事故で多い異物がネズミのオモチャのしっぽ(紐状)やタコ糸、リボンなどの紐類です。実際に誤飲事故で来院してきた猫の中には紐・糸類を食べているケースも多くありました。

猫の舌はザラザラと突起状(糸状突起)があり、奥に向かっている構造のため紐や糸類に絡まりやすく、そのまま吐き出すことができず飲み込んでしまうケースが多いです。

またオモチャに関しては本能により食べ物だと認識して飲み込んでしまうことも要因としてあげられます。

長さが長いと腸管に詰まる恐れがありますが、比較的短い場合は便と一緒に出てくるので猫の状態をみつつ、便に誤飲した異物が入ってないか注意する必要があります。

猫の口や肛門から紐や糸類の端が絡まり見えたとしても、無理に引っ張ってしまうと消化管が傷つく恐れがあるため、そのままの状態ですぐ動物病院に連れて行くことです。

猫が人間用の薬を誤って誤飲するケースもあります。包装シートや薬包に対して猫は興味があり、噛みちぎってしまうことで中の薬が出てしまいそのまま食べてしまうことが多いです。

誤飲した薬の種類によっては、大量に食べていなければ猫の体に害を及ばないことがありますが、摂取量の多量や薬の種類によっては中毒を起こすものがあります。

そのため飲み込んでしまった薬や摂取量によって猫に現れてくる症状が異なり、場合によっては誤飲した薬を吐き出す催吐処置や解毒剤の投与などをおこなう必要があるため、薬品名や摂取量、誤飲した推定時間帯などを確認し必ず動物病院に連絡をしその旨を伝えてください。

ジョイントマット

掃除が楽で汚れているパーツだけ取り替えることができ便利なジョイントマットですが、猫にとっては誤飲しやすい危険なものでもあるのです。

多くがジョイントマットで爪とぎをし、ボロボロになったマットの端部分を誤って誤飲するケースです。また端の凹凸部分をかじってそのまま食べてしまうこともよくあります。

飲み込んだ量によっては吐き出したり、便と一緒に出てきますが量が多い場合は消化管に詰まってしまう恐れがあります。誤飲して直後であれば催吐処置をおこなったり内視鏡で取り出すことも可能性としてあげられます。

しかし症状が現れるまで時間がかかり、腸に詰まって腸閉塞を起こしてしまうと開腹手術をしなければいけません。

本当に猫がジョイントマットを食べたのかハッキリ分からず、猫の状態が変わりなく元気・食欲などがあれば数日間経過観察することもありますが、激しい嘔吐の場合は早急に受診してください。

電池

ボタン電池は小さいため何でも興味をもつ若い猫に多く、オモチャだと思い遊んでいるうちに誤って誤飲してしまうことがあります。

もし猫が電池を誤飲した場合は緊急性を伴いますので、必ず動物病院を受診してください。

電池の中でもアルカリ電池は中毒をおこすと非常に危険で、猫の体内に入ると成分であるアルカリ性の液体が流出します。

このアルカリ成分は体の組織を破壊する融解壊死という作用をもっており、ほんの僅かな短い時間に猫の胃や腸を損傷されて穴があいたり、潰瘍化する恐れがあるからです。

画鋲

転がりやすく小さいため、好奇心旺盛な猫に多くみられ画鋲もオモチャだと思い遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。

画鋲など鋭利な異物を誤飲した場合、食道や胃、腸を傷つけたり刺さって穴があくことがあります。そのため画鋲のような尖った異物の場合は消化管の粘膜を損傷する恐れがあるので絶対に吐かせてはいけません。

もし画鋲を誤飲した場合はレントゲン検査にて確認することができ、画鋲の針がほかの臓器に損傷する可能性があるため開腹手術や場合によっては内視鏡にて摘出しなければいけないため、気づいた時点で動物病院に連れて行ってください。

ビニール・ティッシュ

ティッシュやビニールも紐類に続いて猫が誤飲しやすいものです。

ビニールはカサカサと猫の興味をそそる音がしたり、鋭い歯をもっているため舐めたり噛んだりすることで簡単に噛みちぎれ、その破片を食べてしまうケースが多いです。

特に食べ物の匂いがついているビニールは誤飲しやすいため注意です。

また軽くて簡単に破れやすいティッシュも誤飲しやすいです。好奇心で食べてしまうこともあれば、包装しているビニール素材や箱に興味をもち遊んだり噛んだりすることで一緒に食べてしまうこともあります。

そのため箱ティッシュよりかはポケットティッシュの方が誤飲しやすい傾向があります。

少量のティッシュやビニールであれば便と一緒に出てきますが、量が多い場合は腸に詰まる恐れがあるため便秘や嘔吐などの症状がないか注意する必要があります。

猫が異物を誤飲した時の応急処置の方法

電話をかけている人の手

猫が誤って異物を誤飲してしまい、喉元に詰まらせて息ができなく苦しがっている場合は応急処置として、猫の頭を下に向かせるように抱え、背中部分を軽く叩いて吐き出させます。

しかし異物によっては吐かせてしまうと返って危険なものがあります。また食塩水を飲ませて吐かせる方法もありますが量を少しでも間違えることも逆に危険を伴います。

もちろん様子を見過ぎて手遅れになることも場合によってはありますので、自己判断でおこなわず必ず動物病院に連絡・受診してください。

その時に誤飲した異物の残り部分を持っていくと、どれくらい食べたのかおおよその量を知ることができます。

猫が異物を誤飲したときの治療

病院で手術されている猫

異物の催吐処置をおこなう

異物を誤飲してしまった時やその可能性がある場合はレントゲン検査や超音波検査をおこないます。

しかし誤飲した異物によっては画鋲や電池などはうつりますが、猫に誤飲しやすい紐類やビニールなどはハッキリ見えないため診断が難しいです。

誤飲の疑いがあり、かつ吐き出しても問題ない異物の場合は催吐処置をおこない、誤飲した異物を吐き出します。

また嘔吐や下痢の症状がひどく中毒症状を起こしている場合や、症状がまだ現れていないが中毒を起こす異物を食べた、あるいは食べた疑いの場合も催吐処置をおこないます。

内視鏡で異物を取り出す

催吐処置をおこなったが吐き出せることができない場合は内視鏡を使って異物を取り出すこともあります。開腹手術と比較すると圧倒的に猫の体にメスを入れないため負担が少なく済みます。

しかし画鋲のような鋭利な異物は消化管を傷つけてしまったり、紐類も腸管で絡まっている可能性があり引っ張ると返って危険を伴うので、誤飲した異物によっては内視鏡でおこなうことができない場合があります。

また誤飲してから時間が経ち、異物が奥まで流れていた場合もできないため、内視鏡で取り出す異物が限られます。

吐けない場合は開腹手術で異物を摘出する

猫が異物を食べたことを知らず何日も続いて吐いたり、便秘になり便が出てこないなど明らかに目立つ症状が出ている場合や、バリウム検査で通過障害を起こしている場合は、誤飲してからだいぶ時間が経過しており、異物が腸に詰まり腸閉塞を起こしているため直ちに開腹手術をおこなう必要があります。

開腹手術の費用

そのため猫の体に大きなダメージをあたえしまい、入院させる必要もあります。またその分費用もかかり、ある統計によれば5日間の入院費を含めて15万円程かかります。

まとめ

猫じゃらしで遊ぶ猫と女の子

普段の生活の中に私たちにとって何気ないものでも猫にとっては誤飲事故に起きやすい危険なものがたくさんあります。猫の異物誤飲で多いものが紐や糸状で猫の舌はザラザラと突起状になっているため、絡まりやすく飲み込みやすいです。

またねずみなどの小さなオモチャも誤って食べることが多く、狩猟本能により食べ物だと認識してしまったり、あまり噛まずに飲み込む習性が食べる原因として考えられます。

猫が異物を食べた場合、食欲不振や元気喪失、嘔吐などの症状がみられます。異物が小さかったり量が少なければ便と一緒に出てくることもありますが、場合によっては腸管に詰まり腸閉塞を起こす恐れがあります。

腸閉塞を起こすと何回も吐く症状がおき、閉塞している部分が壊死してしまうため開腹手術にて摘出することとなります。また異物の中には猫にとって中毒症状を起こし、命を落とす危険なものがあります。

下痢や嘔吐、呼吸困難、ケイレンなど神経症状がみられ命に関わってきます。異物の中には吐かせることで返って危険なものがあります。

様子を見過ぎて手遅れになることも場合によってはありますので、自己判断でおこなわず必ず動物病院に連絡・受診してください。

誤飲した異物によりますが、早くに受診することで催吐処置や内視鏡で取り除くことができ比較的、猫の体の負担が少なく済みます。

しかし異物誤飲をした猫の多くが再犯しやすいため、再び誤飲事故を起きないように猫の目の届く範囲には誤飲しそうな危険なものを置かないようにすることです。

ほかにもオモチャを出しっぱなしにせず使わない時は片付けたり、食べ物の匂いが付いている串やラップ、紐類、ビニールなども誤飲しやすいため、すぐに処理するなど常に注意しましょう。

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