猫のおしっこの状態で見る健康チェック

猫のおしっこの状態で見る健康チェック

猫のトイレを掃除する時は、猫のおしっこの状態もチェックしてみましょう。猫のおしっこの色などをチェックすることで、猫の健康状態を知ることができます。また、猫がおしっこに行く回数や、おしっこをする時の様子も時々確認しましょう。猫のおしっこのどんな所に注意したら良いのか、猫のおしっこでわかる病気と合わせてご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のおしっこは健康のバロメーター

カラフルなトイレットペーパーに囲まれている猫と子猫

猫トイレの掃除はなかなか大変なものですが、トイレを掃除していると、猫の健康状態をチェックすることができます。猫のおしっこは、健康のバロメーターなのです。それには、ふだんのおしっこの状態を知っておくことも大切です。猫のおしっこの色や匂いが、どんな様子か観察しておくことをおすすめします。

健康な猫のおしっこ

猫の健康なおしっこの色は、透明な薄い黄色です。色の変化や血尿が出ていないか確認しましょう。
1回のおしっこの量や、トイレに行く回数も観察してください。おしっこだけでなく、水を飲む回数や量も増えたり減ったりしていないかチェックしましょう。

猫がおしっこに関する病気になりやすいのは?

猫は5~6歳を過ぎると腎機能が低下してきます。オスは尿道が細くて長いので尿石症に、また尿道が短いメスは膀胱炎になりやすいです。

猫はもともと砂漠で暮らしていたので、水分をあまり摂らなくても良いように、腎臓は濃縮したおしっこを作ります。その分、腎臓の負担が大きくなってしまいます。猫に泌尿器系の病気が多いのは、こんな理由からなのです。泌尿器系の病気から守るために、飼い主さんが、こまめに猫ちゃんのおしっこをチェックしてあげてくださいね。

猫のおしっこでみる健康診断2項目

人間のトイレの上に座っている猫

1.おしっこの色

  • おしっこが赤い
  • 透明なおしっこ
  • 白濁しているおしっこ

健康な猫のおしっこの色は、透明で薄い黄色です。それが色がついていたり、逆に色が薄かったりしても、腎臓にトラブルを抱えていることが考えられます。おしっこの色が赤い場合は、血が混ざっているからです。

白濁しているのは、細菌や細胞が混ざっていることが考えられますし、透明なおしっこでは、腎臓の機能が衰えている可能性があります。体の水分が必要以上に体外に出てしまっている状態です。おしっこの色が薄いときは、匂いもあまりしません。

2.排尿の状態

  • トイレに行く回数が減った
  • トイレに行く回数が増えた
  • おしっこをするとき痛そうにしている
  • トイレに行ってもおしっこが出ない

猫が、トイレに行く回数が減ったり増えたりしたときは要注意です。健康な成猫が1日におしっこをする回数は2~3回です。猫が1日5回以上トイレに行く場合は、明らかに多いので注意しましょう。

トイレに行くものの、おしっこが出ていない可能性もあります。1日に1回もおしっこが出なければ、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。猫が何回トイレに行っているか、トイレに行ったらちゃんとおしっこが出ているかどうかも見てくださいね。ただし、子猫では1回の排尿で出せる量が少ないので、トイレの回数は大人の猫より多いです。

猫のおしっこに関する病気

猫の顏型のトイレから顔をのぞかせる子猫

膀胱炎

残尿感があり、何度もトイレに行きますが、おしっこが出ません。トイレに入ってから、おしっこが出るまでに時間がかかる場合も、膀胱炎の可能性があります。痛がって鳴いたり、血尿や白濁した尿が出たりすることもあります。膀胱炎は、細菌に感染して起こる他、ストレスなどでもなります。

尿路結石

ミネラルの過剰摂取や、代謝異常により、おしっこから排出される尿石成分が増えます。長時間膀胱内で溜まったミネラルは、結晶化し、結石になります。トイレに行く回数が増えたり、トイレでおしっこが出るまでに時間がかかったりします。血尿が出ることもあります。

尿道閉塞症

膀胱内でできた結晶(結石よりも小さい砂状のもの)が尿道の中に出きてしまうもので、完全に閉塞していない場合はぽたぽたと尿が出ますが、完全閉塞になると全くおしっこが出なくなり急性腎不全を起こすことがあります。最悪の場合亡くなることもあります。おしっこをするときに痛がって鳴いたり、嘔吐することもあります。早く発見し治療に当たらないと予後が悪いです。

急性腎不全

尿道閉塞が起きた場合、尿が出せなくなってしまい急性腎不全になることがあります。悪化のスピードは早く、治療を開始するタイミングが遅くなると命にかかわり尿が全く出なくなると2~3日で亡くなることもあります。早期発見早期治療が非常に重要です。

動物病院でおしっこを検査してもらう方法

猫砂とスコップ
  • カテーテルでの採尿
  • 猫のトイレから採尿する

動物病院でも尿検査はできますが、病院では猫が緊張しておしっこを採るのが難しく、カテーテルや膀胱穿刺で刺して採尿することがあります。それではかわいそうという場合は、自宅で猫のおしっこを採って持って行く方法もありますよ。

猫の採尿の方法

猫の採尿は、システムトイレがあれば簡単です。システムトイレのトレイにペットシーツを敷かずにおけば、そこにおしっこがたまりますので、それをスポイトで吸い上げて採取します。

システムトイレがない場合は、おたまで猫がおしっこをしている所を直接採ったり、棒の先端にスポンジがついている尿をキャッチするものもあります。猫のおしっこを採る道具は清潔な物を使い、採尿後は早めに動物病院へ持って行きましょう。

おしっこを持って行くときは、採取したスポイトに尿を入れ、できるだけ速く動物病院に持っていってください。時間がたってしまうと正確に検査できない場合もあります。尿検査を行うことで、腎臓だけでなく、肝臓や胆のうの病気、糖尿病や心不全までわかります。年に1回は、尿検査を含めた健康診断をしてもらいましょう。

まとめ

猫用トイレの横にいる猫

腎臓のトラブルを抱えやすい猫にとって、おしっこの健康チェックはとても大切です。普段の猫のおしっこの状態をよく知っておくようにしましょう。そうすれば、色や匂いに違いがあるときに、すぐに気づくことができます。

病気の早期発見にもつながるのです。猫のおしっこの色や匂いだけでなく、猫が何回おしっこをし行くか、トイレではちゃんとおしっこが出ているか、痛がっていないかなども合わせてチェックしてください。

猫は、おしっこをするときに違和感があっても自分で伝えることができません。飼い主さんが、猫のおしっこの変化に気づいてあげる必要があります。猫ちゃんが元気に暮らせるように、トイレの掃除の際にはおしっこの健康チェックもお忘れなく。

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