猫のおしっこの色をチェックする方法
猫のおしっこから健康状態を知ることができるバロメーターであり、毎日お世話している飼い主さんは猫のおしっこチェックをしてほしいですね。おしっこの色や濃さ、ニオイ、量や回数によって異変をいち早く気づくことができます。
猫のおしっこの色の確認方法
- チェックシートを使う
- 白い猫砂を使う
- システムトイレを使う
毎日トイレ掃除しているのにも関わらずおしっこの変化に気づきにくいため、おしっこの色に変化がないか日々チェックする必要があります。ほとんどが猫砂を使っているかと思いますが、明らかに赤い血尿ならば気づくことができますが色や濃さが分かりにくいではないでしょうか。
よく雑誌の付録で付いてくるおしっこのチェックシートで色や濃さを調べることもできますし、最近ではおしっこの色が分かるタイプの猫砂もあります。またシステムトイレにすることで下に吸収されたマットやシーツの色から、おしっこの状態を知ることもできます。
猫のおしっこの色でわかる健康状態
薄い黄色
おしっこの色が薄く、透明に近い黄色になっている場合は慢性腎臓病や糖尿病の疑いがあります。
猫は腎臓病になりやすく腎臓の機能が落ちていくと、おしっこを濃縮することができなくなるので薄い黄色のおしっこをするようになります。腎機能がどんどん衰えていくと、その分おしっこの色も更に薄くなりニオイを感じなくなります。
濃い黄色
通常おしっこは腎臓から血液をろ過されたもので、猫の体内にある老廃物を排出する大事な働きをもっています。健康時であれば綺麗なレモン色をした黄色のおしっこをしますが、猫が水分摂取量が少なく脱水状態の場合は少ない水分で濃縮するため、通常よりも濃い色のおしっこをするようになります。
また濃い色のおしっこでも、オレンジ色のおしっこがしている場合は胆汁という肝臓から出る消化液が上手く代謝することができず、その胆汁色素がおしっこに出ている可能性があります。
その場合は肝臓に何らかの障害が起き、胆汁の流れが悪くなることで血液中にビリルビンというヘモグロビンの一部が代謝された色素が増え、黄疸を起こし、猫の白目や皮膚が黄色くなります。
赤い・黒い
おしっこの色が真っ赤だったり、赤黒い場合はおしっこに血液が混ざっている状態です。
赤色や赤黒い場合は膀胱炎や尿路結石症などの泌尿器系疾患により、猫の膀胱や尿道が炎症をおこしている可能性があります。特に猫は下部尿路疾患になりやすい動物であり、血尿の他に頻尿や排尿痛、おしっこが出ないなどの症状がみられます。
また猫が玉ねぎ中毒をおこした場合に血尿がおき、赤いおしっこをするようになります。玉ねぎに入っている「有機チオ硫酸化合物」という物質は猫の赤血球を破壊してしまうため溶血性貧血や血尿(血色素尿)を起こしてしまいます。
キラキラしている
おしっこの中にキラキラと光って見えている場合は、尿結晶が出ている疑いがあり尿路結石症を引き起こしているかもしれません。
猫は普段から濃縮したおしっこを排泄するため尿路結石症になりやすく、特に尿道が細長いオス猫の場合は尿道に詰まることが多く全くおしっこが出なくなってしまいます。
また、おしっこがキラキラしていたり色の濁りがある場合は細菌感染による膀胱炎が原因で尿に白血球が含まれている可能性があります。猫の細菌感染による膀胱炎の症状の1つに濁った色のおしっこをするようになります。
猫のおしっこを動物病院で調べるには?
猫はおしっこに関係する病気になりやすく、明らかに見た目の色や量、回数で飼い主さんが異変に気づくこともありますが、ほとんどが尿検査にて初めておしっこの異変や病気が発覚するケースが多いです。
猫のおしっこを動物病院で調べる方法
尿検査試験紙による尿の成分検査
試験紙1項目ごとにおしっこを滴下し、30秒や60秒、120秒とそれぞれ決められた時間が経過したごとの試験紙の色の変化を見て、成分の量などを測定します。目視でおこなうこともあれば専用の器械に入れて計測して判断します。
尿比重
おしっこの濃さを調べる検査です。通常健康な猫のおしっこは濃い黄色をしていますが、腎不全になるとおしっこの色が薄くなりニオイもしなくなります。ちなみに水の比重は1.000で、これと近い比重のおしっこの場合はかなり薄いおしっこをしていることが分かります。
尿沈渣
おしっこを試験管や遠心管に入れて遠心した後、下に沈んだ赤血球や白血球、細胞や結晶成分などを顕微鏡にて調べる検査です。
猫のおしっこを動物病院で調べるとわかること
尿検査で感染症や出血・炎症の有無、腎機能障害、糖尿病、尿路結石症などの病気や泌尿系の状態を知ることができます。今回はその中の「尿路結石症」「糖尿病」「腎不全」は猫にかかりやすい病気であり、尿検査にて調べることができます。
尿路結石症
尿phの値や結晶の有無で分かることができます。この尿phが極端に高くなったり、あるいは低くなったりすることで結晶・結石ができやすくなります。
また尿路系に炎症や粘膜の損傷による出血していると白血球や潜血反応が陽性とでてきたり、尿沈渣でたくさんの赤血球が見られることもあります。
猫の場合はほとんどが尿phが高くなるストラバイト結晶になりやすい傾向があり、遺伝や体質、年齢、食事内容などが関係しているといわれています。再発しやすい病気なため定期的に尿phや結晶の有無をチェックする必要があります。
糖尿病
通常であればグルコースの値は陰性反応ですが、糖尿病の場合は血液中に溜まりすぎた糖分がおしっことともに排出されていくので陽性反応となり、グルコースの値が(++)〜(+++)と異常値を示します。
腎不全
健康な猫であれば腎臓により体内の老廃物をろ過しておしっことともに排泄されるため、黄色いおしっこをします。
しかし腎不全になり、腎臓機能が衰えてしまうと老廃物が排出されなくなってしまうため比重が低い(色が薄い)おしっこをするようになります。
末期状態になると尿比重が1.020以下にまで下がり、見た目がほぼ透明に近くなり、ニオイもしなくなります。また、腎不全になるとタンパクが漏出するため、タンパク尿がでます。
まとめ
毎日トイレ掃除をすることも大事ですが、排泄物から猫の健康状態を知ることができます。特に猫は泌尿系の病気になりやすく、おしっこの色やその濃さだけでもある程度の健康状態をわかることができます。
しかし、いつもトイレ掃除をしているにも関わらず、おしっこの色や濃さの異変に気づかず、発見した時はすでに病気が進行していたというケースが少なくありません。
猫のおしっこの色の変化に気づいてあげれるように色が分かる猫砂に変えてみたり、システムトイレにしてみるなど、お家でできる対策はありますが、場合によっては見た目は普通でも実際は出血しているなどと尿検査をしなければ分からないことがあったり、早い段階で病気に気づくこともできます。
また緊急性が高く命に大きく関わる病気もあれば、定期的に尿検査をする必要性があるので、猫のおしっこに異変がないか日々チェックするとともに定期的に尿検査をおこない健康状態を知っておきましょう。