猫の健康を見分けるチェックリスト、病気を予防する方法まで

【獣医師監修】猫の健康を見分けるチェックリスト、病気を予防する方法まで

猫にいつまでも健康で長生きしてほしいということは、猫を飼っている飼い主の誰もが願うこと。ですが猫は人よりも4〜5倍のスピードで年をとり、具合が悪くても症状を隠してしまう動物です。そのため異変にすぐ気づいてあげれるように、日々、猫の健康チェックをすることが重要であり、飼い主さんの務めでもあります。今回はお家でできる7つの猫の健康チェックやそのポイントなどを、それぞれ紹介したいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の耳の健康チェック

病院で耳をチェックされている猫

健康な状態

元々耳が折れているスコティッシュフォールドなど、猫の種類や個体差によりますが、健康な耳であれば通常は汚れることがなく、多少の耳垢がつく程度です。耳の中も健康的なピンク色で臭いもありません。

健康ではない状態

  • 黒色や焦げ茶色の耳垢が出て、汚れている
  • 耳からクサイ臭いがする
  • 頻繁に耳を掻いていたり、頭を左右に振る

耳に炎症が起き、異常がある場合は黒色や焦げ茶色の耳垢で汚れており、臭いが出てきます。また痒みが起こるため、しきりに後ろ足で耳を掻いていたり頭を左右に振るようになります。

耳の汚れや臭い、痒みなどがある場合は耳ダニによる寄生虫の感染や、細菌・マラセチアなどによる外耳炎などの可能性があります。

猫の目の健康チェック

暗闇で光る黒猫の目

健康な状態

通常、健康時の猫の目はまん丸くて大きく、澄んだ瞳をしているので目の異変にすぐに気づきやすいパーツでもあります。そのため目が濁っていたり、目ヤニや涙の量が多く出ることはありません。

健康ではない状態

  • 涙や目ヤニの量が多い
  • 黄色や黄緑色の目ヤニが出ている
  • 目をしきりに擦りつけたり掻く
  • 充血、目をショボショボさせている
  • 目の周囲が赤く腫れて目が開きにくい
  • 頻繁に瞬きをする

目ヤニや涙の量が多い、目が充血して赤い、目の周囲が赤く腫れているなどの症状がみられた場合は何らかの目の病気の疑いがあります。

特に猫に多い結膜炎は目ヤニや涙の量が多く、目が赤くショボショボさせ、目が開きにくいなどの症状が起こります。

原因によっては黄色や黄緑色でドロッとした目ヤニが出てきたり、目の痒みでしきりに掻いたり擦りつける、目頭側にある瞬膜が腫れて出てくるなどが見られることがあります。

また頻繁な瞬きをする場合は、目の表面にある角膜が炎症・損傷したときによく見られます。

猫の口の健康チェック

猫の歯をチェックする獣医師

健康な状態

猫は口腔内のトラブルが起きやすいため、健康チェックで口の中も見てあげることが大事です。歯茎を見ることで口腔内の状態や現時点での健康状態を知ることができます。

一般的に猫の健康時の歯茎の色はピンク色をしており、歯垢や歯石が付着していません。またヨダレや口臭がなく、固いドライフードを好んで食べてくれます。

健康ではない状態

  • 歯茎の色が白っぽい、黄色っぽい
  • 歯茎が赤く腫れており、出血しやすい
  • 口臭
  • ヨダレが多い
  • 歯に歯石が付着している
  • 固いドライフードを避ける食欲低下
  • CRTの延長

健康な猫の歯茎の色はピンク色ですが、貧血が起きると薄っすらなピンク色や白っぽくなります。また歯茎の色が黄色っぽい場合は黄疸の可能性があり、歯茎の他に白目や皮膚の色も黄色くなります。

逆に歯茎が赤く腫れている場合は口内炎や歯周病の疑いがあります。症状が進行すると口腔内粘膜や歯肉が真っ赤に腫れあがり、出血したり潰瘍化します。

激しい痛みを伴うため固いドライフードを嫌がって食べなくなったり、全く食べれなくなり体重減少が起こります。また大量のヨダレが出てきたり、強い口臭がするようになります。

他にも歯茎を押すことで「毛細血管再充満時間(CRT)」を調べることができます。健康であれば歯茎を押してすぐに白色から元のピンク色に戻ります。しかし3秒以上時間がかかっている場合は血液循環が悪く命に関わる危険サインでもあります。

猫の鼻の健康チェック

猫の鼻アップ

健康な状態

猫の鼻も何らかのトラブルにより症状として現れやすいため健康状態を知る上で非常に重要です。

健康な猫の鼻は適度に湿っており、ひんやり冷たいです。鼻が湿っていることでニオイの分子がくっ付きやすく、食べ物の匂いや相手の存在、獲物の存在や距離感など、ニオイから様々な情報をキャッチしているのです。

猫の嗅覚は人の数万〜数10万倍ともいわれています。他にも猫の鼻は優れた温度計の役割を持っており0.5度の温度差でも感じることができます。しかし、健康状態が問題なくても寝ている時や寝起きの場合の鼻はやや乾燥しています。

健康ではない状態

  • 鼻が常に乾いている
  • 鼻水
  • クシャミ
  • 鼻づまり

健康な状態でも睡眠時や寝起きの場合は鼻がやや乾いていますが、猫の体の水分量が少なく脱水症状が起きていると鼻がカサカサと乾燥するようになります。

下痢や嘔吐・食欲低下などで脱水症状が起こりやすく、また高齢猫に多い腎不全を発症すると脱水症状が起きます。

ウイルスや細菌などに感染した場合には鼻水やクシャミの症状が現れ、場合によっては鼻づまりが起きることもあります。特に猫にかかりやすい猫カゼは感染すると主な特徴として鼻水やクシャミが出てきます。

猫の皮膚・毛の健康チェック

後ろ足で体を掻いている猫

健康な状態

猫は全身が毛に覆われており、健康時でも換毛期など生理的なもので毛が抜け落ちますがゴッソリ極端に抜けることはありません。

ラグドールのような長毛猫など種類や個体差はありますが、全体的に毛並み・毛ヅヤが良いです。また皮膚に関しましても赤みがなく、痒がることもありません。

健康ではない状態

  • 体をしきりに搔きむしったり、舐める、擦りつける
  • 皮膚が赤い
  • 脱毛、毛ヅヤが悪い
  • しこりがある
  • ツルゴールドの低下

ノミやダニなど外部寄生虫や細菌・真菌、アレルギーなどにより体を頻繁に掻いたり、舐める、床や壁に擦りつける、脱毛、皮膚の赤みなどの症状が現れてきます。

原因によっては顔や耳、四肢など限局的に現れるものがあったり、広範囲に及ぶこともあります。また皮膚糸状菌や疥癬、ノミ・ダニなどは人にも感染するため注意です。

また皮膚をつまむだけで脱水を起こしていないか知ることもでき、「皮膚つまみテスト」または「ツルゴールテスト」とも呼ばれています。

脱水がなく健康であれば皮膚をつまんですぐに戻りますが、時間がかかっている場合は脱水を起こしている可能性があります。およそ3秒程といわれており脱水がひどくなる分、皮膚の戻りも悪くなります。

他にも猫の体を触ることで、しこりを見つけることができ腫瘍の疑いがあります。犬と比べて猫の場合は腫瘍の約8割が悪性といわれているため早期発見が非常に大事になってきます。

特に避妊手術受けていないメス猫は乳腺腫瘍の発症率が高いため注意です

健康な猫の体型・体重

お腹にメジャーを巻いた猫

健康な状態

人は身長と体重から肥満度を割り出していますが、猫の場合は直接触ったり、見たりして評価するBCS(ボディーコンディションスコア)で決めており、猫の現時点での健康状態や健康を維持していく上で重要な指標です。

一般的にBCSは5段階に分けられており痩せてもなく、かつ太ってもない健康な体型は「BCS3」になります。全身的に程よい脂肪に覆われており、肋骨に触ることができ、猫を真上から見るとくびれが見えます。

健康ではない状態

  • ほとんど脂肪に覆われておらず、肋骨が容易に触れ骨ばっている
  • 分厚い脂肪により肋骨に触ることが困難、くびれがない
  • 体重低下

健康なBCS3よりも低いBCS1や2は痩せていると評価しており、あまり脂肪に覆われておらず安易に肋骨を触ることができ骨ばっています。

高齢猫にかかりやすい腎不全は症状が進行すると食欲不振や嘔吐などの症状で体重が落ちていくため痩せていきます。また甲状腺機能亢進症も高齢猫で発症しやすく食欲があり、食べているが体重が減少し痩せていくのが特徴です。

一方で健康体型であるBCS3よりも高いBCD4や5は太っている・肥満であります。健康体型よりも厚い脂肪に覆われているため触っても肋骨を感じることが難しく、くびれも確認することができません。

年齢が若い猫ほど太っている傾向があり、特に去勢・避妊手術後に体重が増えている猫が多いです。肥満になると糖尿病や尿石症などの病気のリスクを高めてしまったり、心臓や関節にも大きな負担をかけてしまいます。

健康な猫の排尿・排便

猫用のトイレに入っている猫

健康な状態

猫は元々泌尿器系の病気になりやすい動物なため、オシッコやウンチの回数・量に異常がないか健康チェックする必要があります。

健康で問題がない猫は個体差がありますが、およそ1日に3〜4回の排尿、1日1回および2日1回に排便をします。

健康ではない状態

  • 頻尿でオシッコの量が少ない
  • オシッコが出ない
  • 血尿
  • 排尿痛
  • 多飲多尿
  • 下痢
  • 便秘

トイレに何回も行くがオシッコの量が少ない・または出ない、血尿、排尿痛などが見られる場合は尿石症や膀胱炎の可能性があります。

尿石症の場合は結晶・結石により尿道が詰まりオシッコが出なくなり命を落とす危険があります。特に尿道が細長いオス猫になりやすいため要注意です。

肥満や飲水量が低下する冬場に発症しやすいといわれているため気をつける必要があります。

逆に健康時の排尿回数が1日3〜4回ですが、それよりもオシッコの回数や飲水量が増えている場合は腎不全や糖尿病の疑いがあります。太っている猫や高齢猫にかかりやすいため、トイレチェックは必須です。

またウンチも健康状態を知る上でとても大事です。猫は環境変化に敏感なためストレスにより軟便や下痢になりやすいです。またアレルギーやフードを急に変えた場合にも下痢を起こすことがあります。

猫は元々あまり水を摂取しない動物なため年齢とともに便秘になりやすいです。健康であれば毎日や2日に1回のペースで排便しますが、2日以上排便していない、ウンチが固くて小さい、嘔吐、食欲低下などが見られた場合は注意です。

特に猫は肛門の手前の結腸で起きる巨大結腸症による便秘になりやすく浣腸や摘便、手術が必要な場合があります。

猫の健康を維持させる方法

病院で獣医師に聴診されている猫

定期的な健康診断

昔と比べて獣医療の発達や飼い主さんの健康意識向上などにより猫を含めペットの寿命が伸び、長生きするようになりました。しかし私たちの1年間は猫では4〜5年と、人よりも早いスピードで年をとってしまいます。

猫は自分が弱っているところを相手に見せず隠してしまうため、飼い主さんが気づいた時点ではかなり病気が進行していたり、状態が悪化していたケースも少なくありません。

特に猫に発症しやすい慢性腎不全は初期症状が多飲多尿とほとんどありません。また腎機能の約80%が失われた頃になるとようやく血液検査で異常値として現れてくるため、早期発見が猫の健康・寿命に大きく影響します。

年齢が比較的若い7〜8歳以下の猫は年に1回、それ以降は年に2回程健康診断を受けることが大切です。

完全室内飼い

屋外飼育している猫より、室内飼いの猫の方が健康で長生きしていることが分かっています。

外に出てしまうとノミやダニなどの寄生虫に感染する恐れがあります。また野良猫との接触でウイルス感染する危険があり、特に猫エイズと猫白血病は現時点で完治する治療法がないため、感染し発症すると高い確率で命を落とします。

また中には猫から人にうつる感染症があったり、車との事故で亡くなるケースもあります。

ワクチン接種

猫にかかる感染症はいくつかあります。室内飼いだからワクチン接種しなくてもいいと思いがちですが実際のところ、猫にかかりやすい感染症である「猫カゼ」は高い確率で感染し慢性化しやすく、場合によっては重度になることもあります。

猫が室内飼いだとしても、外に出入りする飼い主を介して感染することも考えられます。

また多頭飼いでは、すぐに蔓延し他の猫に感染してしまい免疫力の低下に伴い、様々な病気にかかりやすくなってしまいます。そのため感染症から猫を守るためにもワクチン接種が必要なのです。

子猫の場合は2回程、成猫からは年に1回の追加接種をすることで免疫力が維持され健康で過ごせることができます。

去勢手術・避妊手術

子猫を産む予定がないのならば健康のためにも去勢・避妊手術を受けることです。

猫の去勢・避妊手術を受けることで望まない妊娠を防ぐほかに、メス猫では卵巣・子宮の病気、オス猫は精巣の病気とそれぞれ生殖器系の病気を予防することができます。

また性ホルモンの関係により過剰な鳴き声をあげるなどの発情期に伴う行動の抑制や、ニオイが強いオシッコをかける尿スプレーによるマーキング行為を防止するメリットもあります。

食事・体重管理

猫の健康を守るためには毎日あたえる食事管理も欠かせません。感染症予防のためには室内飼いが適切だが、その分運動不足になりがちになり太りやすくなるため食事内容に注意する必要があります。

特に去勢・避妊手術後は性ホルモンの関係により代謝が落ち、かつ食欲が増すため太りやすくなります。実際にほとんどの猫が手術後に体重が増えてしまっています。肥満になると病気のリスクを高めてしまい健康を損ねてしまいます。

肋骨が触ることができなかったり、くびれが見えないなどの場合は肥満の可能性があります。カロリーオーバーとならないように、その猫の理想体型(体重)から1日の適正な食事量を決めて与えるようにしましょう。

もちろん、ちゅーる系などのオヤツもついついあげてしまうかもしれませんが、太る元なので気をつけましょう。

日常的なケア

爪切りやブラッシング、歯磨きなど、お家でケアできることはなるべく積極的におこなってあげてください。猫に直接触れて見ることで体型に変化はないか、しこりの有無、皮膚や口腔内など異常なところがないかチェックすることができ、猫の健康状態をいち早く知ることができます。

まとめ

重ねられた人の手の上に置かれた猫の手

年々、獣医療の発達や飼い主さんの意識が上がったことにより猫の寿命が伸び、健康で長生きするようになりました。ある調査では猫の平均寿命が約15歳で、20歳も長く生きている猫も増えてきました。

しかし、それでも猫は人よりも何倍も早いスピードで年をとり、その分様々な病気にかかりやすくなってきます。

特に猫は体調が悪くても症状を出さず隠してしまうため、気づいた時には病気がかなり進行しており末期状態になっていたことも少なくありません。

いち早く猫の異変に気づき早期発見が猫の健康や寿命に大きく繋がりますので、日々の健康チェックは必要な飼い主の役目でもあります。

病気の中には目立つ初期症状がないものもあり、獣医療が進歩したからといっても難しい場合があります。そのため、少しでも怪しいなと思った場合は一度動物病院に受診することをすすめます。

猫は体調が悪くなると姿を消すといわれているように、具合いが悪いと静かなところに移動していたり廊下など冷たい場所にいるなどの行動が見られるため、普段の生活で猫の行動に異変がないか気にかけてください。