猫が異物を食べたときの対処法
それでは、猫がなぜほこりや他の異物を食べてしまうことがあるのか、そして食べてしまった時はどうすればいいのかを見ていきましょう。
たとえば猫が知らないうちに少量のほこりを食べていても、ほとんどの場合気づきませんよね。他の異物でも毒性のない物をちょっとの量なら問題が起きないことも多いでしょうが、たくさん食べてしまうのはとっても不衛生ですし、いつまでも消化されない物が胃にあると食欲がなくなったり胃を傷つけたり、胃や腸で詰まってしまうことがあります。
病院へ行こう!タイムリミットは3時間
飼い猫が明らかに大量またはある程度の大きさの異物を食べていたら、すぐに病院へ連れていってください。食べた物が胃に達した後胃から腸へ出ていくまで、通常3時間くらいの時間がかかります。その間であれば、飲み込んでしまったとしても胃内に異物が留まっている可能性が高く、吐かせることで異物を除去できる可能性があるからです。
それより長い時間が経過してしまい異物が胃から腸へ流れてしまうと、異物が腸で詰まることもあります。その場合はお腹を切開して異物を取り除かなければなりません。治療費は15万円以上にのぼるかと思います。猫ちゃんの安全も脅かされるし、治療費でお財布にも大きなダメージです。
お腹の切開などの手術が必要になる前に対処するには、異物を食べてしまってからの時間が大切です。飼い猫が何をどれくらいの量を食べてしまったのか、食べてしまった可能性があるのかを獣医師に伝えましょう。診察や対応がスムーズになるはずです。
自宅で無理やり吐かせるのは止めましょう
塩水やオキシドールを飲ませて猫に嘔吐させるという方法が色々なところで紹介されています。
しかし、飲ませる時に誤嚥させたり、大量の食塩水によって体調を悪くしたり、オキシドールによって胃を荒らしたりすることがありますので、自宅で吐かせるのは止めましょう。
病院で吐かせる場合には主として、副作用として吐かせる作用のある注射薬を用います。病院なら誤食や嘔吐による影響にも対処できますので、異物を飲み込んでしまった場合には、自宅で吐かせるのではなく、すぐに病院に連絡し病院で吐かせる処置をしてもらいましょう。
異物を食べないようにするには
猫が異物を食べないようにするには、どうしたらよいでしょうか?たとえば風で舞っている小さなほこりをぱくっと口にしてしまう程度なら、健康面には問題がないでしょう。もしそれすらやめて欲しい場合には、まずは固まりで舞うようなほこりがないように定期的にきちんと掃除をしましょう。猫が異物を食べてしまうことについては、食べようとしている、食べてしまうのをやめさせるのではなく、食べてしまうことが出来る状況を作らないことが最も簡単で確実な方法です。
猫が誤飲・誤食しやすいものを後で紹介しますが、飼い主さんがきちんと管理をしていれば食べてしまわずに済む物が多くあります。趣味や生活の道具を出しっぱなし、置きっぱなしにしていませんか(縫い針や糸、毛糸など)?猫のおもちゃで壊れかけているものはありませんか(ネズミのおもちゃが壊れかけているのにまだ遊ばせている、ほつれている部分があるおもちゃを使っているなど)?観葉植物が猫の手や口が届くところにありませんか?人間の食べ物、食べ終わった物を放置していませんか(魚や肉の骨、焼き鳥の串、果物の種など)?何か床に落っこちているものを片付けずにそのままにしていませんか?猫が口に入れてしまってはいけない物が猫の生活空間にないか、チェックしてみて下さい。
もし何かをくわえている、口に入れそうになっているのを見た場合には、大声を出したり水をかけたり物を投げたりして食べるのをやめさせようとはしないで下さい。びっくりした猫は、そのつもりがなくてもそれを飲み込んでしまうかもしれません。可能なら、猫の好物を持って近づいていき、好物を食べるかわりに異物を口から出してもらいましょう。
猫が口に入れて欲しくない物を食べてしまうことを防止する方法として、お酢や苦味のあるしつけ用のスプレーなどを使う方法もありますが、まずは猫の生活空間から口に入っては困るものをなくすようにしましょう。
猫が誤飲・誤食しやすい異物
ほこり以外にも、猫が誤飲・誤食しやすい物はいくつもあります。猫を家に招き入れた時、誤って食べてしまわない様にしまっておきましょう。
髪留め用のゴム
髪留め用のゴムは、猫が飲み込むのに最適なサイズなのでよく誤飲されがちです。間違っても床に放置してはいけません。髪留めには飼い主さんやヘアケア用品の香りが付いており、猫が興味を持ちやすいので猫がいる部屋自体に置かない方がいいでしょう。
飼い主さんの衣類
髪留め用のゴムと同じで、衣類も猫が興味を持って隠れて遊んだり噛んでみたりします。お気に入りのシャツやズボンがボロボロにされることもあるかもしれません。衣服や布製品が噛み切られた場合、それを飲み込んでしまうこともあるかもしれません。
中には「ウールサッキング」という問題行動を繰り返す猫がいます。ウールサッキングとは猫が大きな不安や欲求不満を感じた時、ひまを持て余している時などに取ることがあるる行動で、原因には子猫期に母親から引き離されたのが早過ぎたことなどが考えられていますが、詳しくは不明です。
具体的にどういう行動にでるのかというと、ウールに限らず衣類や布製品、ビニール製品などを意味もなく延々と吸い付いたり噛んだり噛み切ったりします。ウールサッキングの原因はストレス以外にもあるかもしれませんが、もし猫ちゃんがウールサッキングをする場合には、生活環境や飼い主さんとの関係を見直してみて下さい。
ウールサッキングの原因は日々のストレスによるものですが、一番の原因は飼い主との信頼関係です。信頼関係がない人間と同じ空間にいるのは苦痛ですよね?
ビニール袋
コンビニやスーパーで買い物した時にもらえる持ち手付きビニール袋は猫が興味を持ちやすい物です。触れるとガサガサと音が鳴り、噛んだら簡単に引きちぎれるので猫にとってはかっこうのおもちゃとなります。引きちぎる時にビニールが少し破れてそのまま誤飲するケースが多いようです。
猫がビニール袋などの異物を食べるのは単に遊びにハマっているということもありますが、「病気」や「ストレス」によることもあります。猫の体に寄生虫が潜んでいたり消化器系に問題が起きていたるすると、食品ではない物を食べる様になってしまうことがあります。あまりに、食べ物以外の物を食べてしまうことが多いようなら、動物病院を受診してみて下さい。
猫がこのような異物を食べてしまうと、嘔吐や便秘、食欲不振が、元気がないなどの症状が見られるようになります。しかし、飼い主さんが気付く症状が何もないこともあるので注意が必要です。
まとめ
以上、猫が誤飲・誤食する異物の例、誤飲する理由や対処方法でした。
猫は赤ちゃんと一緒で、興味を持つものを口にいれたりかじったりしようとします。なので、誤飲・誤食したら危なそうなものは猫の生活空間に放置してはいけません。
ほこりはフワフワと動き回るため猫が興味を持ちやすく誤飲しやすい物の1つです。猫が誤飲・誤食するのは好奇心からの場合が多いようです。悪気なくほこりや異物を食べてしまうことがあります。少量のほこりをたまに食べてしまうくらいなら問題はないでしょうが、猫を飼育するならほこりや誤飲・誤食しそうな物が散乱していない環境づくりをしましょう。
そして、ゴムやビニール袋、または衣類などの誤飲は絶対に防いでください。
「ひも状異物」と言ってひも状に長い物は特に、腸で悪さをしやすい異物です。糸や毛糸などは「ひも状」だと分かりやすいでしょうが、噛みちぎった衣類やビニール、輪っか状の髪留めゴム、ストッキング、長さのあるおもちゃの部品などもひも状異物となります。
飼い主さんのうっかりで大変なことにならないよう、常日頃から猫が口に入れそうな物、食べてしまったら困る物、興味を持ちそうな物を放置しないように注意して下さい。