猫はブリを食べても大丈夫?
ブリを猫が少量食べても直ちに問題になることは少ないと言われています。ブリにはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。DHAは皮膚粘膜の健康を保ち脳の働きを活発にするとされ、EPAは細胞を正常に機能させる為に不可欠な栄養素だと言われています。またブリには、エネルギー代謝に重要な役割をするカリウムも豊富です。
しかし、与える量や与え方によっては猫の健康に悪影響を与えることがあるため気をつけなくてはいけません。ではどのような危険性があるのかをしっかり把握していきましょう。
猫にブリを与える時の注意点
黄色脂肪症
猫にブリを与えすぎてしまうと、ブリに含まれる不飽和脂肪酸によって「黄色脂肪症」を引き起こす可能性があります。黄色脂肪症とは、ビタミンEが欠乏することによって腹部や胸部にたまっている皮下脂肪が酸化し、炎症を起こす病気です。
発症すると下腹部のしこりやその部分の発熱などが現れ、不自然な歩き方をしたり、腹部を触られるのを嫌がるなどの症状が見られます。黄色脂肪症を発症した場合は、猫の食習慣を見直し、適切な栄養素を含むキャットフードに切り替えるようにします。その他ビタミンEや抗酸化剤の投与などを行いますが、回復には数週間~数カ月かかることもあります。
ヒスタミン食中毒
ブリやマグロなどの赤身魚には「ヒスチジン」が多く含まれており、それらはヒスタミン産生菌が生み出す酵素の働きで分解され「ヒスタミン」という物質になります。このヒスタミンを猫が大量に摂取すると、激しいアレルギー症状を引き起こします。
発症すると舌や顔の腫れや蕁麻疹、体内では胃腸に炎症を起こし、水下痢や吐き気などの症状が見られます。中毒症状は早ければ食べてから2~3時間で現れます。猫の様子がおかしいと感じたら、すぐに病院で診察を受けましょう。
魚を常温で放置することでヒスタミンが増加するため、猫に赤身魚を与える場合は新鮮なものを購入し、常温で放置しないようにしましょう。
アニサキス
猫にブリを与える時には「アニサキス」の心配もあります。アニサキスは主に青魚の内蔵に寄生する寄生虫で、魚の鮮度が落ちると内臓から筋肉である可食部に移動します。その魚を生の状態で食べることで、アニサキスが胃壁や腸壁に刺入して(アニサキス症)を引き起こします。
発症すると、嘔吐や激しい痛みを伴う症状が見られます。アニサキスは天然物のブリに多く見られ養殖魚における寄生はあまり確認されていませんが、できるだけ新鮮なものを選び、与えるときはしっかり加熱することが大切です。
猫がブリを食べてしまったら
もし猫がブリを食べてしまっても少量なら心配ありません。しかし、ブリの骨は細かく小さいため、飼い主が見逃し、猫が骨ごと食べてしまうこともあるかもしれません。口内や喉など、体内に骨が刺さってしまうと、猫は痛みを感じ吐き出そうとして嘔吐の症状を見せることもあります。また、猫の食べたブリがアニサキスに寄生されていた可能性もあります。猫がブリを食べて体調を崩した場合は、早めに動物病院を受診しましょう。その際に、猫がいつどのくらいの量食べてどんな調理方法だったかをきちんと説明できるようにしておきましょう。
猫がブリを食べないようにするには
猫がブリを食べないようにするには猫の手が届くところに置かないことが一番です。買ったらすぐに冷蔵庫に入れるようにし、食卓の上や調理台の上には置かないようにしましょう。家族間でも猫に危険な食べ物であることを話し、ブリをむやみに与えないよう意識を共有するようにしてください。
ブリには上記に説明されている通り、様々な中毒や病気を引き起こす可能性がありますが、少量食べてしまっても問題になることは少ないと考えます。 とは言っても、本来猫は肉食動物であるので手作り食などであえて魚を与える必要はないでしょう。獣医師の立場からは栄養バランスがきちんと調整されている総合栄養食のキャットフードをお勧めします。
まとめ
ブリは少量であれば猫が食べても大丈夫な食材と言えます。しかし、与え方や量によっては猫の健康に悪影響を及ぼします。ブリを主食にしたり日常的に与えたりせず、キャットフードをメインとした食事に、おやつやトッピングとしてあげる程度にしましょう。
一般的に60℃で1分以上の加熱で死滅すると言われています。