猫に魚は間違い!食べてはいけない魚7選

猫に魚は間違い!食べてはいけない魚7選

一般的に、猫といえば魚好きというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。猫は魚を食べますが、魚の種類や与え方に注意をしないと、猫の健康状態に影響を及ぼす可能性があります。今回の記事では、猫に魚を与える時に考えられる危険性や、食べさせてはいけない魚の種類、与え方における注意点を詳しく解説します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫には魚というイメージは間違い?

お皿の上の魚を見て舌なめずりをする猫

なぜ「猫=魚好き」のイメージがついたのか

猫はもともと肉食動物のため、魚が好きというのも間違いではありません。しかし、海外では猫の獲物はネズミや鳥、ウサギといった小動物のみという認識で、魚好きというイメージがあるのは日本だけのようです。

この理由は日本の食生活に関係していると言われています。江戸時代まで日本人は獣の肉は好んで食べず、魚を主要なタンパク源としていました。そのため、人間のそばで暮らす猫にも魚を与えるようになったと考えられています。

島国である日本は漁も盛んなため、猫が魚にありつく機会も多かったのかもしれません。猫が魚を食べられると言っても、魚の中には猫の健康に悪影響を及ぼす種類もあるので注意しましょう。

魚しか食べていないと栄養不足に

猫に魚ばかりを与えることは避けましょう。猫も人間と同じように、たんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど、いろんな栄養素を必要としています。

魚だけを与えていると、これらの栄養素をバランスよく摂ることができません。体内の栄養バランスが崩れると病気を発症するリスクが高くなります。

魚が主原料になっているキャットフードは、必要な栄養素をバランスよく配合して作っているため、普段から与えても特に問題はありません。

魚の骨が喉や胃腸に刺さる

猫はもともと鳥やネズミなどを狩っていた肉食動物なので、魚のように小さな骨があるものは食べ慣れていません。また、猫は犬よりも顎が小さく噛む力が弱いため、固い骨を噛み砕くことが苦手です。

勢いよく魚を食べたときに、骨が口や喉に刺さったり、胃腸を傷つけたりする恐れがあります。猫が魚を食べる場合は、なるべく目を離さないようにしましょう。

魚の骨は自然に取れる場合もありますが、正しく対処しないと重篤な症状に繋がります。よだれを垂らして苦しそうにしている、口周りを引っ掻くような仕草が見られた時には、骨など異物を飲み込んでいる可能性を疑いましょう。飼い主の手で取り除くことが難しければ、無理をせず早めに動物病院を受診してください。

アレルギーを発症する可能性がある

魚の種類によって、猫がアレルギー反応を起こす場合があります。魚などの動物性たんぱく質に含まれる成分がアレルゲンとなり、猫が食べてしまうことでアレルギーを引き起こします。

症状は下痢や嘔吐、皮膚炎などです。与えても良いとされる魚でも、猫に初めて与える際は少量ずつ与え、様子を見るようにしましょう。

猫が食べてはいけない魚7選 

マグロの匂いを嗅いでいる猫

青魚

サバやイワシ、アジ、サンマなどの青魚には、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸が多く含まれています。猫が青魚を食べると、不飽和脂肪酸によって体内の脂肪を酸化され「黄色脂肪症(イエローファット)」を引き起こす可能性があるので注意が必要です。黄色脂肪症になると、皮下にしこりができ、発熱や痛みが生じます。

また、不飽和脂肪酸を分解するために、猫の体内にあるビタミンEが大量に消費されます。これによってビタミンEが不足すると、筋力の低下や生殖障害、免疫系の異常が起こると言われています。

マグロ

マグロは青魚と比べて不飽和脂肪酸は少ないようですが、猫が食べ過ぎると「黄色脂肪症」を発症する可能性があります。赤身を少量与えるのは問題ないと言われていますが、脂肪の多いトロの部分は消化不良に繋がるので与えないようにしましょう。

生のマグロを長時間放置していると、食中毒の原因となる「ヒスタミン」が増殖します。ヒスタミンは加熱しても減ることはありません。

ヒスタミン中毒になると、下痢や嘔吐、じんましんなどの症状が現れます。発症するのはマグロなどの魚を食べてから2~3時間以内と言われているので、中毒症状が見られた際には速やかに動物病院を受診してください。

カツオ

カツオはミネラルを豊富に含む魚で、猫に与えすぎると「尿路結石」を発症する原因となります。生のカツオには食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」がついている可能性があるので注意が必要です。

市販のカツオのたたきには、ネギやニンニクなどの薬味が添えられている場合があります。ネギ類に含まれる「アリルプロピルジスルファイド」という成分を摂取すると、中毒によって猫が溶血性貧血を引き起こすリスクが高まります。ネギを取り除いても成分が付着している可能性を考え、与えないようにしましょう。

ブリ

天然もののブリは、養殖のものより「アニサキス」による食中毒のリスクが高いと言われています。また、ブリは部位によっては太くて硬い骨がありますので、骨を飲み込んで猫の口内を傷つける可能性が高い魚なので注意が必要です。

猫が脂肪分の多い食事を食べると、消化不良を起こす可能性があります。ブリは特に腹身の部分に脂がのっているのでなるべく与えないようにしましょう。

猫がアワビやサザエ、トリガイ、トコブシなどの貝を食べると「光線過敏症」を発症するリスクが高まります。原因は、貝に含まれる毒成分のピロフェオホルバイドαです。ピロフェオホルバイドαが血中に取り込まれると、日光に対して過剰に反応し、体内の細胞を破壊してかゆみや腫れなどの炎症を起こします。

また、あさりやハマグリ、シジミなどの二枚貝に含まれるチアミナーゼと呼ばれる酵素は、猫の体内にあるビタミンB1を破壊する働きを持っています。これによって「ビタミンB1欠乏症」を発症すると、末梢神経障害による痙攣や歩行困難などの症状が現れます。

エビやカニなどの甲殻類

生のエビやカニには、ビタミンB1を破壊する酵素のチアミナーゼが含まれています。ビタミンB1は、筋肉や心臓の機能を正常に保つ働きをする成分で、猫の健康維持になくてはならないものです。また、エビなどの甲殻類の殻は、猫が消化不良を起こす原因にもなるので与えないようにしましょう。

イカやタコなどの軟体類

ビタミンB1欠乏症の原因となるチアミナーゼは、イカやタコなどの軟体類にも含まれています。猫は顎の力が弱いため、弾力のあるイカやタコを噛み切れない可能性があります。

与えると、喉や消化器官を詰まらせてしまう場合もあるので、目を離したすきに食べてしまわないよう注意が必要です。

猫に魚を与えるとしたら

お皿からご飯を食べている猫

中まで火を通す

猫に魚を与える際にはしっかりと火を通しましょう。ビタミンB1欠乏症の原因となるチアミナーゼ酵素や、アニサキスをはじめとする魚類寄生虫は熱を加えることによって死滅します。

しかし大量の油を使った調理法は、猫が皮膚炎や消化不良を起こす可能性があるため、魚の与え方としてはあまり適していません。蒸したりスープで煮たりするなど、なるべく油を使わない調理法をおすすめします。

骨や固い部分を取り除く

猫が魚の骨を飲み込んでしまわないように、あらかじめ取り除いておきましょう。骨取り用ピンセットを使うと、比較的きれいに取り除くことができます。ヒレや尻尾などの固い部分も、猫の口や喉を傷つける恐れがあるので注意が必要です。

猫の胃は小さく、固い食べ物の消化を苦手とします。誤飲の心配がある部分を取り除いたら、食べやすい大きさにカットして与えてあげてください。

味付けはしない

猫に魚を与える際、塩などの調味料を加える必要はありません。味の濃い食事に慣れると、通常のキャットフードを食べなくなる可能性があります。

焼き魚用として販売されている食品には、加工の段階で塩分や油が加えられている場合もあるため、与えないようにしましょう。塩分量が多いと心臓や腎臓に負担がかかります。

まとめ

魚の形のおもちゃで遊ぶ猫

人間にとって美味しい魚も、与え方よっては猫が体調不良を起こしてしまう可能性があります。食べさせてはいけない魚の種類や与える際の注意点をしっかり把握しておくと安心です。

飼っている猫が魚を食べない場合は、無理に与える必要はありません。キャットフードには栄養素がバランスよく配合された種類も多く、魚に含まれる栄養を十分補うことができます。健康維持のためにも、猫にとって安全な食事を用意してあげられるとよいですね。

投稿者

30代 女性 ひなた

猫ちゃんに昔、鰹の刺身を猫ちゃん用の出汁で炊いて食べさせていた時期がありました。
EPAが摂れて体にいいだろうとおもったからです。しかし、食べさせすぎて、尿路結石になってしまい原因が鰹だと言われました。
ショックでした。猫ちゃんは魚が好きで食べさせた方がいいと思い込んでいました。
そんな私は、愛猫ちゃんが笹身を欲しがるのに気づきましてそれからは、笹身が大好物な愛猫ちゃんのために、よく笹身を湯がいて与えているようになりました。思い込みはいけないですね。たまに、無塩の焼いた鮭を骨に気を付けて与えてあげると喜びますが量は少しにしています。

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