猫にヤクルトは少しなら大丈夫
猫は牛乳に含まれている乳糖を分解する酵素をほとんど持っていないためヨーグルトやヤクルトなどの乳製品を与えると消化不良を起こす恐れがあり、避けた方がいいと考えられてきました。
しかしヨーグルトやヤクルトに含まれている“乳酸菌”は人だけではなく猫の健康に大きく関わっていると注目されるようになり、最近では猫にヤクルトを与えている飼い主さんをチラホラ見かけるようになりました。
ヤクルトに含まれている乳酸菌(善玉菌)を取り入れることで腸内環境が整えられます。免疫力がアップされ体の不調が改善されたり、病気の予防に大きな期待があるといわれています。
特に腎不全になりやすい猫にとっては乳酸菌を取り入れることで腸内環境が整えられ、腎臓の負担が軽減されるので猫にとっては嬉しい効果があるのです。
乳製品でもヤクルトの方がヨーグルトよりも乳酸菌の数が多く、1ml中に1000万個の乳酸菌が存在しているため、猫にヤクルトを飲ませた方がいいと考えられています。
ですが乳糖を分解する力が備わっておらず、中にはひどい消化不良を起こしてしまう猫もいるため少量であれば大丈夫と思われますが、乳製品などですぐ下痢を起こしてしまう猫は与えないように注意してください。
猫がヤクルトから得られる栄養
ヤクルトを飲むと健康に良いといわれていますが、具体的にヤクルトにはどのような栄養や効果を得られるのでしょうか?
善玉菌を増やしてくれる
ヤクルトには悪玉菌を減らし善玉菌を増やしてくれる整腸作用があり、猫の健康維持に大きく関わってきます。
善玉菌とは腸内に1番多くあるビフィズス菌のことを指しており、人の場合約1ヶ月間ヤクルトを毎日飲み続けた結果、ヤクルトを毎日飲まなかった人と比較してビフィズス菌の数が2.5倍も多く増えていたことが分かっています。
このビフィズス菌が増えることで良い腸内環境を維持することができます。そのため下痢や便秘が改善されたり、免疫力がアップすることで感染症や病気に効果をもたらしてくれます。
乳酸菌により腸内環境が改善され、腎臓の負担が軽減される
ヤクルトの栄養から得る2つ目の効果は腸内環境を整えられ、有害物質の産生を抑制してくれる作用を持っています。
通常は猫の腸内環境も善玉菌と悪玉菌のバランスが一定に保たれていますが、ストレスや何かしらの病気にかかったことが原因でバランスが崩れてしまいます。悪玉菌が多くなってしまうとその分、有害物質も多くなり腎臓に負担がかかってしまいます。特に猫は慢性腎不全になりやすいため進行を早めてしまいます。
そのため乳酸菌が多く含まれているヤクルトを猫に飲ませることで崩れてしまった腸内環境が改善され、猫の体内にある老廃物を体の外に排出させるように促してくれます。
人の場合、毎日ヤクルトを飲み続けたことで有害物質の発生率が約40%以上も減らすことができた実験結果があります。猫の場合も腎臓の負担を減らしてくれたり、腎臓機能の低下を遅らせる効果もあるといわれています。
高カロリーなため栄養補給として
各メーカーや種類によって多少異なるかもしれませんが、ヤクルトに含まれている成分を見てみると炭水化物がメインで高カロリーで糖分も多く入っています。
そのため食欲不振の猫や病気でごはんを食べない猫にとってヤクルトは栄養補給として期待されています。また水分も一緒に補えることができるので脱水傾向のある猫にもヤクルトは最適かもしれません。
猫にヤクルトを与える際の注意点
消化不良を起こす可能性があるため少なめに
腸内環境を良くし便秘解消の効果があるヤクルトですが、あくまでもヤクルトは人間用の乳酸菌飲料であります。元々猫は乳糖を分解することが苦手なため逆にヤクルトを猫に飲ませることで下痢を引き起こしてしまう恐れがあります。
そのため猫にヤクルトを飲ませる量は小さじ1杯程度と、多く飲ませないように気をつけることです。しかし、少しでも猫がヤクルトを飲んだ後に下痢などの消化器症状が現れた場合は与えないでください。
人肌程度にあたためる
基本的にヤクルトは冷蔵保存なので、冷蔵庫に入れていると思います。冷蔵庫から出したばっかりのヤクルトはとても冷えているので、すぐ猫に飲ませてしまうと胃腸に負担がかかってしまいます。
猫は“猫舌”というように熱いものが苦手ですが、かといって冷たいものも猫は苦手で下痢や嘔吐などの症状を引き起こしてしまいます。
人肌程度の温度になってから飲ませたり、温かいお湯で割って飲ませてあげましょう。電子レンジでヤクルトを温めてしまうと大事な乳酸菌が死滅してしまうため電子レンジは避けてください。
カロリーオーバーに注意
ヤクルトは少量ですが高カロリーで糖分も多く入っているため多く飲ませてしまうと太りやすくなり、糖尿病になるリスクを高めてしまいます。太らせないことも健康に大きく関わってくるため、量やカロリーに注意する必要があります。
ヤクルト以外で猫が乳酸菌を摂れるサプリ
ヤクルトを飲むことで乳酸菌により腸内環境が整えられ、様々な効果を得ることができますが中にはお腹を壊しやすい猫がいたり、「ヤクルトを飲ませるのが不安」と思う飼い主さんもいらっしゃると思います。
最近では猫に与えても安全な乳酸菌が入っている猫用のサプリメントが販売されるようになりました。実際に飼い主さんに処方していたり、愛猫に与えている飼い主さんも増えています。
そこで今回は猫向けの乳酸菌が摂取できるサプリメントを4つ紹介したいと思います。
毎日爽快
「植物酵素」と「乳酸菌」を配合し、猫の健康をサポートしてくれる猫用サプリメントです。人と同様に猫も高齢になると酵素の量が少なくなり代謝が悪くなったり消化不良を引き起こしやすくなり、体全身に悪影響をあたえてしまいます。
「毎日爽快」には猫に必要な消化酵素がほとんど入っている植物酵素を含んでおり、食事からの栄養素の消化吸収をサポートしてくれます。更に乳酸菌では生きたまま猫の腸内に届く“ラクリス-S 有胞子性乳酸菌”が入っており、腸内環境を良くしてくれます。
アゾディル【90カプセル】
アゾディルは犬猫の腎臓の健康をサポートしてくれるサプリメントです。
このサプリメントには体内の老廃物を栄養源としている「ストレプトコッカス・サーモフィルス」、「ラクトバチルス・アシドフィルス」、「ビフィドバクテリウム・ロンガム」の3つの善玉菌を配合しており腎臓の負担を軽減してくれます。
生きたまま腸に届くようにカプセルタイプになっており、1カプセルに約150億個以上の善玉菌が入っています
私が勤務している動物病院では実際に腎不全の犬や猫にアゾディルを処方しており、便の状態も良く食欲あって調子が良好との声を多く聞きます。
ラクトフェリDX
腸内にある免疫細胞を活性化してくれるラクトフェリンを犬や猫といった動物用につくられた健康補助食品です。
使っている原料は天然素材なため長い期間飲ませることが可能で、一緒に抗生物質などの薬も併用しても可能です。粉末状で溶かしやすく嗜好性も良いので、ウェットフードに混ぜたりして与えることもできます。
メニにゃんGOLD【30包】
不足しがちな猫にとって必要な必須アミノ酸のL-リジン塩酸が入っており、猫にかかりやすい猫ヘルペスウイルスの増殖を抑えたり症状の軽減する効果をもたらします。
それに加えてラクトフェリンを配合し、腸内環境を改善され猫の健康維持に期待されています。また、必須アミノ酸の1つであるヒスチジンを多く含まれているカツオエキスも入っており、関節炎の緩和や減量効果、脳神経のサポートなど多くの効果があり、味もよく食べやすくなっています。
まとめ
ヤクルトには乳酸菌が豊富に入っており、人のみならず猫の健康に大きく関与しています。腸内環境を良くなることで便秘が解消されたり、有害物質の産生を軽減し腎臓の負担を減らしてくれるなど大きな効果をもたらしてくれます。
また高カロリーでもあるので食欲不振の猫や病気で食べが悪い猫に対して栄養補給や水分補給としても使うことができ、実際に“ヤクルト400”や“ヤクルト ミルミル”を飲んだ猫がお腹の調子が良くなったとの声を聞きます。
健康維持に大きな効果があるヤクルトですが、元々猫は乳糖を分解することが難しいためヤクルトなどの乳製品を与えてしまうと消化不良を起こしてしまう恐れがあります。そのため猫にヤクルトを与える場合は少量におさえましょう。
あくまでもヤクルトは人間用として作られているため猫に飲ませる際は十分に注意してください。最近では猫に与えても安全な乳酸菌入りのサプリメントがありますので、この機会に是非愛猫の腸内環境を整えてあげましょう。
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