猫にさきいかは与えないほうがいい
お酒のおつまみとしてよく登場する“さきいか“ですが、その匂いに誘われて猫が「美味しそうだな〜、欲しいな〜」とおねだりしてくることがあるかと思います。
可愛いおねだりについつい、猫にさきいかを与えてしまったこともあるかもしれませんが、実際は猫にさきいかを与えて大丈夫なのでしょうか?
胃腸が膨張し、通過障害を引き起こす恐れがある
猫がさきいかを食べたことで死に至らせる危険性が高い食べ物ではありませんが、生のイカを加熱し加工されたさきいかは猫の胃の中で大きく膨らみます。
そのため、さきいかを食べることで猫の胃がパンパンに膨れあがってしまい、通過障害を起こす恐れがあります。
消化が悪く、下痢や嘔吐をする
さきいかに含まれている栄養素は高タンパク質や猫に必要なタウリンなどが豊富に含まれていますが、元々イカ自体消化がよくありません。胃腸に大きな負担がかかってしまい、消化不良により下痢や嘔吐、便秘などの症状を引き起こしてしまいます。
尿路結石症にかかりやすくなったり、腎臓に負担がかかる
さきいかを含め、あたりめや鰹節、かまぼこなど練り物や干物、乾燥して加工された食品類には調味料や添加物、塩分などが多く入っています。
そのためリンやマグネシウムといったミネラル成分が多く含まれている食品を食べてしまうことで尿路結石症になるリスクを高めてしまったり、腎臓に大きな負担がかかります。
生まれもった体質などにもよりますが猫は元々飲水量が少ないこともあり、尿路結石症や腎不全など泌尿器系疾患にかかりやすい動物です。
猫の尿道に結石が詰まりオシッコが出なくなると、腎臓に障害を起こす場合も。急性腎不全を起こし、症状が悪化すると尿毒症へとなり命を落とす恐れがあります。
スルメなら猫に与えても大丈夫?
「生のいかを炙り焼いて裂いた“さきいか”」は猫の健康上好ましくありませんが、同じイカの加工物でも「イカの内臓を取り除き、干した“スルメ”」は猫に与えても健康に悪影響を及ぶことはないのでしょうか?
スルメも猫に与えないほうがいい
- 胃腸が膨張する
- 消化が悪い
- 腎臓病のリスクを高めたり、進行させる
スルメはイカを乾燥させた食品です。水を含むと数倍に膨らむ性質をもっているため、猫の胃の中で水分を吸収し10倍以上も膨張してしまいます。
大きく膨れあがってしまうと猫の胃腸に大きな負担がかかり嘔吐を招いたり、最悪の場合は胃や腸を塞いでしまい通過障害を引き起こしてしまいます。
さきいかと同様にスルメも消化に悪く、猫の胃腸に大きな負担となります。下痢や嘔吐などの消化不良を起こす原因になります。
またスルメもさきいかと同じ塩分が多く含まれており100gあたり約3gの塩分があります。人も塩分を取りすぎてしまうと高血圧や心臓病になりやすいといわれており、人よりもはるかに体が小さい猫にとってはかなりの塩分過多です。
塩分の過剰摂取は腎臓に負担がかかり腎臓病のリスクを高めてしまったり、症状の悪化を早めてしまうため猫の健康上良くありません。
猫に生のイカを与えるのは危険?
よく「猫にイカを与えると腰を抜かす」と聞いたことがあると思いますが、一般的に猫に生のイカを与えることは非常に危険といわれています。
「本当に猫は生のイカを食べると腰を抜かしてしまうのか?」との疑問点も含めて、なぜ与えると危険なのでしょうか。
生のイカは加熱して少量であれば大丈夫
「刺身のイカを猫が食べてしまったけど、特に腰を抜かすことがなく元気だった」ということがあると思います。猫にとって危険な食べ物はいくつかありますがイカを少し口にしただけで命に直結に関わる程、そこまで危険な食べ物ではありませんので、少量食べたとしても大きな問題はないでしょう。
ですが生魚と同様に生のイカを食べることで寄生虫感染する危険性があります。イカにはアニサキス(幼虫)という白い糸状の寄生虫がいることがあり、サバやイワシ、アジ、サケなど魚介類に寄生します。
熱を加えることで死滅するといわれていますが、生のイカを食べたことでアニサキスに感染すると胃壁や腸壁に入り込み、激しい腹痛や嘔吐などの症状を伴う食中毒(アニサキス症)を起こしてしまいます。
私たち人も生の魚介類を食べたことでアニサキスに感染し、重度の食中毒を引き起こしてしまうため十分に注意が必要です。
猫がイカを食べ過ぎると良くない理由
少量のイカならば食べたとしても大きな問題はありませんが、イカを食べ過ぎることは猫の健康を損ねてしまう恐れがあります。
特に生のイカは注意で「チアミナーゼ」という酵素を含んでおり、疲労回復やブドウ糖をエネルギーに変換させるなどの働きをする猫に必要なビタミンB1を分解してしまいます。
どんどんビタミンB1が分解され続けてしまうとビタミンB1欠乏症になり、食欲の低下やヨダレの量が多くなる、フラつきなどが見られるようになります。体がフラついて上手く歩くことができないことから「猫がイカを食べると腰を抜かす」という言い伝えが生まれたと考えられます。
次第にいつもと違う鳴き声を発したり、反応が鈍くなりボーっとするようになり最悪の場合は命を落とすことも可能性として考えられるため、注意しなければいけません。
なぜ猫がイカを食べ過ぎると健康に害を及ぼしてしまうのか、詳しいことは「猫はイカを少量であれば食べても大丈夫!その理由と正しい与え方」に記載されていますので、この機会に是非読んでみてください。
猫はイカを少量であれば食べても大丈夫!その理由と正しい与え方
イカを使った猫用のおやつ
さきいかやスルメは猫の健康を損ねてしまうため与えない方が好ましいですが、「猫ちゃんにイカを食べさせたい!」と思う飼い主さんがいらっしゃると思います。
猫の健康を考慮してイカを使った猫用オヤツは数多くはありませんが、イカが入っている猫用オヤツを今回3つ紹介したいと思います。
いなば 「焼ミックス3つの味 かつお節・ほたて・いか風味」
かつおとササミをベースのオヤツで、かつお節エキスやほたてエキス、いかエキスを加えています。
かつお節やほたて味、いか風味と猫が飽きないように美味しくつくられています。
いなば 「焼ミックス3つの味 かに風味・魚介スープ・いか風味」
このシリーズはカニエキスやいかエキス、かつお節エキス、ほたてエキスを加えており、猫が好きな魚介類をメインにしています。
また保存料や着色料、酸化防止剤を使っていないため安心して猫に与えることができます。
いなば 「CIAOちゅーる とりささみ&いか」
どの猫も大好きなちゅーるのオヤツで、マグロなど色々な味の種類がありますが、その中の1つに“とりささみとイカ“があります。
また、いかエキスも入っており風味や味も更に増して美味しく、猫が舐めやすいように液状タイプとなっています。
まとめ
猫に多少さきいかを食べたとしても命を脅かす程、危険な食べ物ではありませんが下痢や嘔吐などの消化不良を招いたり、胃や腸が膨張し通過障害を起こすなど猫の健康を損ねてしまいます。
また、そもそもイカ自体は生で食べてしまうと寄生虫に感染したり、ビタミンB1欠乏症を引き起こす恐れがあります。猫のためにも、さきいかを含めイカを与えないことが安心安全で健康に過ごすことができると思います。
さきいかには猫に必要な高タンパク質やタウリンが豊富に含まれていますが、総合栄養食のキャットフードにはきちんと栄養バランスが整えてつくられているため、あえてさきいかを与える必要はありません。
少量なら問題はないさきいかですが、たくさん食べると危ない食べ物という事をしっかり認識しておきましょう。