猫の命に関わる食べさせてはいけない食べ物

猫に食べさせると、命の危険がある食べ物を集めてみました。
1. ネギ類

ネギ類は、猫に与えてはいけない食べ物です。玉ねぎはもちろん、長ネギやニラも避けましょう。
これらネギ類に含まれている物質が、猫の赤血球を破壊してしまうのです。加熱しても、この物質はなくならないので要注意です。
ネギだけを与えることがなくても、飼い主さんの食べ物にネギが含まれていて、それをつまみ食いしてしまうなど、思わぬ事故に気をつけましょう。
2. チョコレート

チョコレートを猫に与えると中毒を起こし、重症になると死亡するケースも。チョコレートに含まれる、テオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチン類が原因です。
猫が自らチョコレートを食べることは少ないと思いますが、何かの拍子に口に入ってしまわないよう、猫の手が届くところにチョコレートを置かないように注意してください。
チョコレートに含まれるメチルキサンチンの量はチョコレートの種類により大きく変わってきます。
チョコレートの種類 | 総メチルキサンチン量(mg/g) |
---|---|
ココアパウダー | 28.5 |
製菓用チョコレート | 16 |
ダークチョコレート、セミスイートチョコレート | 5.4~5.7 |
ミルクチョコレート | 2.3 |
ホワイトチョコレート | ほとんど含まれていない |
もし猫ちゃんがチョコレートを食べてしまった場合には、どんなチョコレートをどの位食べてしまったかが分かると、獣医師が中毒の危険性を予測しやすくなるでしょう。
メチルキサンチン類による中毒の他にも、チョコレートの入ったお菓子やケーキなどを食べてしまった場合には、たくさん含まれている脂肪による消化器症状がみられることもあります。
≪参考≫
Kovalkovičová N, Sutiaková I, Pistl J, Sutiak V. Some food toxic for pets. Interdiscip Toxicol. 2009;2(3):169–176. doi:10.2478/v10102-009-0012-4
3. 生の青魚

意外や意外、生の青魚は、猫にあまり食べさせてはいけない食べ物です。青魚には多量の不飽和脂肪酸が含まれています。不飽和脂肪酸は適量なら猫の健康にも良い成分なのですが、青魚をたくさん食べて過剰に不飽和脂肪酸を摂取すると、ビタミンEが不足して起こる黄色脂肪症という病気になる可能性があります。
また生魚一般に、体内のビタミンB1を破壊するチアミナーゼという酵素が含まれており、生魚を大量または定期的に食べているとビタミンB1欠乏症になる可能性があります。
魚は新鮮なものを加熱して、与えるようにしてください。そして、青魚の与え過ぎには注意しましょう。
4. 生の豚肉

トキソプラズマは、猫を終宿主(成虫となり、生殖活動をする)とする原虫という仲間の寄生虫で、様々な動物が中間宿主(幼虫が寄生する)としてトキソプラズマに感染する可能性があります。
そして、生の豚肉に、トキソプラズマがいることがあります。猫がトキソプラズマに感染している場合には猫の糞から人にも感染する可能性があります。
特に妊婦さんに感染すると、胎児に重大な障害を起こしたり、死亡させてしまったりすることがあります。
健康な人がトキソプラズマに感染しても症状が出ることはほとんどありませんが、妊婦さんが妊娠中に初めて感染すると、胎盤を介して胎児に感染し、重大な障害を起こしたり、死亡させてしまったりすることがあります。妊娠の6か月以上前からトキソプラズマに感染していた場合は、胎児への問題はないようです。
ですから、猫に豚肉を与える場合は必ず加熱して、もしかしたら寄生しているかもしれないトキソプラズマを死滅させてからにしましょう。
【豚肉とトキソプラズマについての補足】
「と畜場法」によって、豚からトキソプラズマが検出された場合にはその豚肉は全廃棄することになっており、現在日本のと畜場でのトキソプラズマの摘発事例は年間数例ほどのようです。
しかし、加熱不十分な肉の摂取が原因と考えられる人間のトキソプラズマ感染例は近年でも報告がありますので、人が豚肉を食べる際にも十分な加熱が必要となります。
【猫とトキソプラズマについての補足】
トキソプラズマに感染していても、とても幼い子猫や免疫能が低下している猫以外では、症状が見られることはほとんどありません。人が猫の糞からの感染を起こさないためには、マスクと手袋を着用してできるだけ早く糞を処理しましょう。
≪参考≫
5. 牛乳

子猫などに牛乳を与えたくなってしまいますが、実は下痢を引き起こす可能性がある食べ物です。牛乳に含まれるラクトースにを分解する酵素が猫にはほとんどあるいは全くないのです。
子猫の時はある程度その酵素(ラクターゼ)を持っているけれども、大人になると猫ではラクターゼが作られなくなるそうです。牛乳中のラクトースをどれ位分解できて、牛乳を飲んでも問題がないのかあるのかは、猫によって違います。
体力のない小さな子猫が下痢を起こすと、命に関わる場合がありますので、猫には猫用ミルクを与えましょう。またヤギミルクは、牛乳よりはラクトースの量が少ないそうです。
6. 生卵

生卵の白身が猫にとっては皮膚炎や結膜炎などの原因になることがある、とも言われますが、これは「生の白身に含まれるアビジンはビタミンB7(ビオチン)と結合するので、大量に生の白身を食べるとビタミンB7欠乏症になることがある。ビタミンB7が欠乏すると、皮膚炎や結膜炎になる。」ということです。
新鮮な黄身ならば、生で与えてもビタミンB7欠乏症を心配する必要性はありませんが、白身も黄身も加熱した方が消化には良いでしょう。
7. サザエ、アワビ、トコブシ

サザエやアワビ、トコブシなどアワビ類の内臓は、猫にとっても毒となる物質が含まれている可能性があります。
ピロフェオホルバイドという成分が内臓に含まれていた場合、それを食べると光線過敏症を起こすことがあるのです。光線過敏症になると、皮膚のかゆみや腫れが起き、痒みや痛みで耳をひっかく結果耳がなくなってしまうことさえあったそうです。
東北地方では「春先(2月〜5月)のアワビの内臓を猫が食べると耳が落ちる」という言い伝えがあります。正に言い伝えの通りですので、猫にアワビ類を食べさせないようにした方が良いでしょう。
【ピロフェオホルバイドについての補足】
ピロフェオホルバイドは加熱してもなくなりません。アワビ類の自然毒については、以下のページも参考にして下さい。
8. 生いか、生たこ

生いか、生たこには生魚と同様にチアミナーゼという酵素が含まれており、これが猫の体内のビタミンB1を破壊してしまいます。ただ、チアミナーゼは熱に弱いので、十分加熱すれば大丈夫ですが、猫にはあまり消化が良くない食べ物です。
9. 骨

骨は大きなまま猫に与えてはいけません。必ずフードプロセッサーなどで細かくしてから、与えるようにします。大きなまま与えてかみ砕いた破片を飲み込んだ場合、喉や内臓に刺さる可能性があり危険です。また、歯や歯茎にもよくありません。
10. アボカド

女性に人気のアボカドですが、猫には下痢や嘔吐、呼吸困難を引き起こす物質が含まれているため、食べてはいけない食べ物です。アボカドに含まれる「ペルシン」と言う成分が原因です。
【アボカドについての補足】
ペルシンは牛や馬、うさぎやモルモット、鳥類には非常に危険な毒であることは分かっていますが、猫にとってはどのくらい毒性があるのかは分かっていません。
アボカドは猫に与えても大丈夫、と主張する人たちは「猫でのアボカド中毒の報告がない」「ペルシンの量はアボカドの品種によって異なる。ペルシン量の少ない品種を選べば大丈夫。」と言っているようですが、猫に対するペルシンの毒性が分かっていない以上、アボカドをそのまま猫に与えるのは避けるのが安全でしょう。ペルシンはアボカドの葉や茎にも含まれるため、観葉植物としてのアボカドを猫の生活空間に置くことも避けた方が良いでしょう。
ペルシンとは別に、アボカドに含まれる多量の脂肪のせいで猫が胃腸障害を起こす可能性もあります。アボカドを原料の一つとして使用しているペットフード(アボダーム)がありますが、そのメーカーはペルシンの犬と猫には毒性がないとしています(参考1)。
最初に書きました通り、ペルシンの猫における毒性について科学的には分かっていないので、その主張については賛否分かれるでしょう。アボダームの製品そのものについては、30年以上の歴史の中で健康被害の報告はないそうです。同ブランドサイトにはまた、葉や樹皮などは毒になるが果肉は犬と猫にとっては大丈夫だ、との記事が掲載されています(参考2)。
また、公表されてはいませんが、アボダーム製品からはペルシンは検出されなかったと聞いた、という人もいます(参考3)。アボダームの日本の輸入代理店のサイトにも、アボダーム製品の安全性についての記載があります(参考4)。
≪参考1≫
アボダームの米国ブランドサイト アボカドの安全性についての記載 (英語)
≪参考2≫
アボダームの米国ブランドサイト 「Can Dogs Eat Avocado?」(監修者注:犬はアボカドを食べられるのか?) (英語)
≪参考3≫
https://iheartdogs.com/the-truth-about-avocados-are-they-bad-for-dogs/
≪参考4≫
アボダームの輸入代理店のHP アボダームの安全性に記載(よくある質問)
まとめ

飼い主さんが美味しそうに食べていたら、猫も興味を持って近づいてくるかもしれません。
クンクンと匂いを嗅ぐまでは良いですが、ペロッと一口、なんて事にならないよう、ご注意を。
キッチンやテーブルに置いてある飼い主さんの食べ物を猫が漁る、なんてこともありますので、猫の手の届かない冷蔵庫などに、しっかりとしまっておきましょう。
【ネギ類に含まれる植物】
玉ねぎや長ネギ、ワケギ、あさつき、エシャロット、ポロネギ、チャイブ、ニラ、ニンニク、らっきょうなどの食用植物、いわゆるアリウムと呼ばれている園芸用の植物がネギ類に含まれます。
【猫の玉ねぎ中毒量】
玉ねぎや長ネギ、ワケギ、あさつき、エシャロット、ポロネギ、チャイブ、ニラ、ニンニク、らっきょうなどの食用植物、いわゆるアリウムと呼ばれている園芸用の植物がネギ類に含まれます。
≪参考≫
Kovalkovičová N, Sutiaková I, Pistl J, Sutiak V. Some food toxic for pets. Interdiscip Toxicol. 2009;2(3):169–176. https://doi.org/10.2478/v10102-009-0012-4
【ネギ中毒の原因物質についての補足】
ネギ類の匂いの元であり健康に役立つとされる物質は、猫を含む多くの動物(犬や馬、羊、猿など)で貧血を起こす原因となります。
その物質とは何かについてはインターネット上でも様々な情報がありますが、古くから言われているアリルプロピルジスルフィドなどのジスルフィド類と、玉ねぎ中毒の新たな原因物質として1994年に新しく発表されたチオ硫酸ナトリウム類が現在のところ分かっている原因物質です。
ジスルフィド類は揮発性の物質なので、ネギ類を含む加熱された料理の摂取でもネギ中毒が起こることを考えるとジスルフィド類がネギ中毒の原因物質とは考えられない、という意見も見受けられますが、加熱した玉ねぎにもジスルフィド類は含まれるというデータも示されています。
≪参考≫
Osamu Yamato, Teruhiko Yoshihara, Akitami Ichihara & Yoshimitsu Maede (1994) Novel Heinz Body Hemolysis Factors in Onion (Allium cepa), Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 58:1, 221-222.
大和 修「イヌのタマネギ中毒 明らかになった貧血惹起物質」『化学と生物』、1994年32巻10号、p628-629
平成21年度 野菜等健康食生活協議会 野菜のおいしさ検討部会報告書 第10章 野菜のおいしさに関する文献調査
【ニンニクについて】
ニンニクについては、ネギよりは猫にも安全で、少量なら与えても問題ないし健康に良い効果が期待できる、とする人たちと、猫にとってはネギよりも5倍以上も危険である、と主張する人たちがいます。
猫におけるニンニク中毒の研究や症例の報告は今のところありませんが、犬における研究やニンニクを含んだ餃子を食べた犬の貧血症例の報告があります。実験的に体重1kgあたり1.25mLのニンニクエキスを1日1回、7日間、犬に与えたところ、目に見える犬の体調の変化はなかったものの、検査をすると赤血球の様々な異常が認められたそうです(このニンニクエキスの量は、体重1kgあたり5gのにんにくそのものの量に相当します)。
猫はネギ類による貧血(ヘモグロビンの酸化ダメージ)が他の動物に比べて2~3倍起こりやすいことを考えても、ニンニクを猫に与えるのは避けるのが最も安全でしょう。
また、ニンニクを摂取した場合には、赤血球へのダメージとは別に、ニンニクに含まれる強力な殺菌成分によって嘔吐や下痢、よだれ、腹痛などの消化器症状が出ることがあります(これは、食べる量などによっては人間でも起こるそうです)。
≪参考≫
Kovalkovičová N, Sutiaková I, Pistl J, Sutiak V. Some food toxic for pets. Interdiscip Toxicol. 2009;2(3):169–176. doi:10.2478/v10102-009-0012-4