1.動物の内臓系のお肉
猫の健康に良い食べ物を、猫のスーパーフードと呼ぶとしたら、どんな食べ物があるでしょうか?
猫はもともと肉食なので、肉類は猫にとってのスーパーフードと言えます。肉の中でもスーパーフードとしておすすめなのは内臓で、レバー、ハツ、腎臓などがあげられます。内臓の肉は、多くのビタミンとミネラル類が摂取できるので、猫にとってのスーパーフードと言えるでしょう。
レバーはビタミンAが多く、ビタミンB群や猫に必要なタウリン、さらに鉄や亜鉛も摂ることができます。ハツは心臓の肉で、こちらも鉄や亜鉛を摂ることができます。
腎臓(マメ)からは、体内の抗酸化機能に関与しているセレンというミネラルを摂ることができます。鶏、豚、牛、羊など、どの動物の腎臓かによって成分の違いがあるのか、薬膳効果に多少の違いがあると言う人もいます。
2.お肉
鶏肉
鶏肉には、ビタミンAが多く含まれています。ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ったり、免疫力を強化したりします。また鶏肉は、皮をはずせば低脂質、低カロリーなお肉です。
豚肉
豚肉はビタミンB1が豊富です。ビタミンB1は糖質からのエネルギー産生に不可欠で、皮膚や粘膜の健康、神経系の働きにも関わっています。
牛肉
牛肉には、ビタミンB群と鉄分が豊富です。ビタミンB群は様々な物質の代謝に関わっていて、造血、皮膚や様々な臓器の健康維持に欠かせません。
どのお肉も良質なたんぱく源ですが、鶏肉の皮や軟骨、鶏の足、牛スジ肉などには、特にコラーゲンというたんぱく質が多く含まれます。コラーゲンを摂取すると、皮膚や被毛、関節などに良い影響があるかもしれません。肉類の与え方としては少量を加熱して、ほぐしたり潰したりして食べやすくし、キャットフードにトッピングする形で与えます。ゆでた場合、茹で汁にビタミンBが多く流れ出てしまうので、茹で汁も冷まして与えても良いでしょう。
3.お魚
肉と同じく、魚を食べることでもタンパク質が摂れます。生魚にはビタミンB1を破壊する酵素であるチアミナーゼが含まれているので、魚をしょっちゅう与える場合には常に加熱した方が良いでしょう。
寄生虫による食中毒を心配するのならば、どんな時もしっかりと冷凍、または加熱した方が良いのは人間が魚を食べる場合と同じです。健康に良い成分として有名なDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸も、適量であれば猫の健康にも良いのでしょうが、摂り過ぎにも気を付けなければいけません。
4.卵
卵は猫にとっても栄養があるスーパーフードです。タンパク質やアミノ酸が豊富でそれを構成するアミノ酸も多くの種類が含まれています。皮膚や被毛の健康、筋肉の成長に役立つでしょう。卵の黄身部分には、ルテイン、ビタミンEといった抗酸化成分が含まれています。
気をつけることは、卵アレルギーの猫もいるので、様子を見ながら最初は少量を与えること、生で与えないこと、塩などの味付けをしないことです。ゆで卵にしたり、炒り卵にしたりして、細かくほぐして与えると猫も食べやすいです。
5.野菜
野菜を摂ることで、炎症や酸化から体を守ってくれる成分を摂取できます。猫はもともと植物を直接は食べていませんが、野生で暮らしていた猫の祖先は獲物を丸ごと食べたり獲物の内臓も食べたりすることで植物を間接的に食べていたでしょうし、猫もある程度の量の炭水化物を消化できることも分かっています。市販の総合栄養食を食べている場合には野菜を必ずしも与える必要はありませんが、野菜を食べることで足してあげられる栄養素もあるということです。
猫に与えることの多い野菜は、キャベツ、ブロッコリー、にんじん、インゲンやグリーンピースなどの豆類などでしょうか。少量を茹でて、冷ましてから刻んだりつぶしたりしてキャットフードなどにトッピングする形で与えます。
猫にNGな野菜
気をつけることは、大量に与えないこと、中毒を起こすため猫に与えてはいけない野菜があるので、しっかりと選ぶことです。 猫には玉ねぎ、ニラ、にんにく、らっきょうといったネギ類、アボカドは与えないでください。
猫のスーパーフードを知っていると良い理由
- キャットフードを選ぶ時に参考にできる
- 猫のおやつとして与えられる
- 市販のキャットフードのトッピングとして与えられる
猫のスーパーフードとなる食材を知っておくと、キャットフードを購入する時に、記載されている成分表を見て、選ぶことができます。どのような食材が使われているかを見れば、自分の猫にどのような餌を与えるかといったことにも気を配るようになります。
猫のいつもの主食に加えて、スーパーフードをおやつとして与えるだけでも、猫の健康への効果が期待できます。猫の健康のためにと、食事を毎回、一から手作りするのは大変ですが、おやつやトッピングとしてあげるのは簡単にできます。
総合栄養食として、主食のフードはきちんと与えて、スーパーフードで猫の健康をさらにサポートするといった与え方が良いでしょう。
猫に与えるスーパーフードの条件
- 猫にとって害のないものであること
- 市販のフードに加えてさらに強化できる栄養素があること
- 少量でも多くの栄養を摂ることができる
猫にとって体に良いスーパーフードは、人間のスーパーフードと同じく、自然生まれで抗酸化力が高く、ビタミンやミネラルなどの栄養素が含まれているものです。猫の体に良くて健康を保てるもの、自然なものを与えるということが大切です。
また、あまり多くはありませんが猫にでも食物アレルギーを起こすものもあるので、与える時には慎重に、様子を見ながら与えましょう。キャットフードを選ぶ時にも猫にあったものを選ぶことは重要なことです。
キャットフードでも自然の食材でも、猫の体に入るものに注意することは当然のことですね。
猫にスーパーフードを与える時に気をつけること
- 総合栄養食を主食として与える
- 量は少量にする
- 食べた後の猫の様子を観察する
スーパーフードは猫の体に良いものですが、それだけを与えておけば良いというものではありません。ひとつの種類だけを与えたり、多く与えすぎたりしていると、栄養が偏り、猫にとって必要な成分が摂れないため、健康になるどころか体調を崩してしまう可能性があります。
猫の食事全てを手作りして、栄養バランスをうまく取って猫の健康を維持するのは、素人ではたいへんなことです。栄養素が足りていてもカロリーオーバーになってしまったら肥満へとつながり、スーパーフードの効果が台無しです。
全ての食事を手作り食にすることも不可能ではありませんが、基本的には総合栄養食のキャットフードを主食として与え、少量の健康に良く猫も好む食材を普段の食事のトッピングやおやつとして与えていくことが良いと思います。
火を通すなどの処理をしっかりしたとしても、食材の状態や猫の体調によっては、中毒症状やアレルギー症状が出たりすることもあり得ます。猫に慣れない食材を与えた時は、中毒やアレルギーなどを起こさないかどうか、食後の状態を観察しましょう。
猫のスーパーフードのまとめ
猫にとっての体に良いスーパーフードとされる食べ物は、肉の内臓や魚、鶏卵、いくつかの野菜などがあげられます。普段の食事に少量加えるという形でスーパーフードを取り入れと、強化される栄養素があるでしょう。
主食として市販のペットフードを与えていても、手作りをしていても、おやつやトッピングという形で、猫にスーパーフードを与えることができます。猫は好き嫌いがありますから、無理に食べさせようとしても難しいので、猫の好みに合わせて食べさせてみて、受け入れてくれるものを与えるということになるでしょう。
最初に与える時には、かかりつけの獣医さんに相談して、与えても大丈夫かどうかを確認すれば安心して与えられますよ。
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上記の通り、ネギ類やアボカド以外であれば人間が食べる野菜の多くは猫にも与えることができます。しかし、苦味やえぐみを持つ野菜には、与えない方が良い場合や少量に抑えておいた方が良い物もあります。
野菜の苦味のもとの一つはアルカロイドと総称される成分です。ナスやじゃがいも、ピーマン、山菜など苦味やほろ苦さを感じる野菜に含まれています(皮が緑に変色したじゃがいもを皮ごとたべると苦味を感じます。)。アルカロイドに含まれる物質はたくさんありますが、人間でも上記の野菜を大量摂取したり、栽培条件によってアルカロイドを多量に含んでしまった野菜を食べたりすると健康上の問題が生じることがあります(大量摂取して問題となる野菜の量は、通常では摂取し得ない量です)。
猫はアルカロイドの代謝能が低く、また体も人間に比べてとても小さいので、野菜に含まれるアルカロイドをたくさん摂取してしまわないように少し気をつけましょう。たとえばじゃがいもだったら、家庭菜園ではなく買ってきたじゃがいもで皮が緑に変色していないものを、きちんと芽を取り皮をむいて使いましょう。ナスはしっかりとあく抜きをして使い、あまり大量には与えません。野菜のえぐみのもとの一つにはシュウ酸があります。猫で多く見られる尿結石の一つ、シュウ酸カルシウムの成分で、ほうれん草、たけのこ、山菜、ブロッコリー、キャベツ、レタス、さつまいも、ナスなどに含まれます。特にほうれん草に含まれる量が多く、ブロッコリーやキャベツ、レタスなどに含まれるシュウ酸の量はほうれん草の半分以下です。これらの野菜は、与えるにしてもしっかりと茹でてあく抜きしたものを少量与える程度にし、シュウ酸カルシウム結石が出たことがある猫ちゃん、尿路系の病気がある、治療したことがある猫ちゃんでは与えないのが最も安心でしょう。
アスパラガスは猫に与えても良いのかどうか、様々な意見が見受けられますが、野菜としてのアスパラガスは猫に与えても大丈夫なようです。アスパラガスにもアルカロイドが含まれますが、常識的な量であれば問題がないようです。しかし、観葉植物としてアスパラガス属の植物を育てている家庭では気を付けて下さい。頻回の接触でアレルギー性皮膚炎を起こす可能性、実を食べてしまった場合に胃腸障害を起こすことがあるようです。
《参考》
アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)の有毒植物リスト