猫にサフランは絶対にNG!
猫が中毒症状を引き起こすのは玉ねぎやチョコレートといった食べ物や洗剤、人間用の薬、タバコなどいくつかありますが、植物も種類によっては中毒を起こすものがあります。その危険な植物の中にイヌサフランがあり、猫に絶対与えてはいけません。
※以下の文章内のサフランは注釈がない限りイヌサフランのことです。
猫にサフランを与えてはいけない理由
サフランにはコルヒチンといった毒成分を含んでいるため猫がサフランを食べてしまうと中毒症状を引き起こしてしまいます。
サフランに含まれている毒成分は全ての部位にあり非常に危険です。
猫がサフランを食べた場合の症状
猫がサフランを食べてしまうと下痢や嘔吐、腹痛といった胃腸炎症状を引き起こします。症状が重くなると呼吸困難から死亡する場合もあります。
ちなみにサフランによる中毒症状は猫だけではありません。犬や私たち人にも害を及ぼす植物であり、摂取すると嘔吐や下痢のほかに知覚異常や呼吸困難を引き起こし命にかかわります。
猫がサフランを食べてしまったら
もし猫が誤ってサフランを食べてしまった場合、食べたサフランの量や元々の猫の体質によって症状や重症度、発症するまでの時間などが異なってきます。
場合によってはサフランを食べてから時間が経ってしまうと、含まれている毒成分が猫の体全体に行き渡り、命を落とすこともあります。また症状が重症化したり、治療をしても何らかの障害を起こす恐れがありますので猫がサフランを食べてしまったり、食べた疑いがある場合は早急に動物病院へ連れて行きましょう。
そもそもサフランとは?
猫にとってサフランは下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こす危険な植物ですが、そもそもサフランはどんな植物なのか、まとめてみました。
ユリ科の植物
猫にとっても中毒症状を引き起こす危険なサフランはユリ科の植物に属しています。多年生の球根植物。球根は径3~5cmの卵形で、9月から10月に花茎を15cmほど伸ばします。ヨーロッパ中南部~北アフリカ原産の球根植物で、サフランに似た淡い紫色の花を咲かせます。翌春に20~30cmほどの葉を伸ばします。耐寒性が強く、何年も植えたままで開花します。
サフラン以外の猫にとって毒となる植物
サフランだけではなく猫にとって危険な植物はなんと約700種類以上もあるといわれています。植物の種類によっては高確率で命を落とすものもあったり、あるいは後遺症として残ってしまうこともあるため注意する必要があります。
猫を飼っている飼い主さんは必ず知ってもらいたいため、今回はその中でも毒性が強く猫が危険な植物を5つ紹介したいと思います。
アジサイ
非常に毒性が強い植物で人も嘔吐やめまいなどの中毒症状を引き起こしますが、人よりも体が小さい猫は更に危険で命を落とすこともあります。
猫が少量のアジサイを食べてしまうと元気がなくなり、嘔吐や下痢との症状が現れます。大量摂取した場合は血圧の低下や呼吸麻痺、瞳孔拡大、ケイレンなどの症状が起き、場合によっては昏睡状態になり命を落とすこともあります。
アジサイに含まれている「青酸配糖体」という成分より食べることで中毒症状を引き起こすといわれています。毒があるといわれているのがアジサイの葉っぱや茎、蕾ですが、特に蕾はほんの少しかじっただけでも重度の中毒症状が出る恐れがあります。
ユリ
猫を飼っている飼い主さんの多くがユリは危険な植物と知っているかもしれませんが、猫にとって死に至らせる猛毒な植物であります。
中毒を引き起こす成分がハッキリと解明されていませんが猫がユリの葉っぱや茎、花びらを食べるだけではなく、花瓶に入っている水を飲んだりすることでも中毒症状を引き起こします。
腎臓が損傷したり壊死してしまうため非常に高い確率で急性腎不全を引き起こします。猫がユリを食べた量にもよりますが、わずか1日足らずで腎臓が機能しなくなってしまうため尿毒症となり1週間程で命を落とします。
たとえ猫の命が助かったとしても、一度損傷受けた腎臓の働きは元に戻ることはできないため後遺症として残ってしまいます。
また猫にとって死に追いやるユリですが、ユリの中でもテッポウユリやオニユリ、コオニユリ、鹿の子百合、キスゲはかなりの猛毒であり、カサブランカやイースターリリーも中毒症状を引き起こすため大変危険です。
チューリップ
猫にとってユリ科の植物は高い確率で死に至る危険性があり、同じユリ科の仲間にチューリップも含まれています。ユリと同様にチューリップも猫が食べてしまうと嘔吐や下痢などの症状のほかに腎臓に障害を受け、急性腎不全を発症し腎臓の機能が著しく低下します。
特に腎臓機能の低下が非常に危険で数時間〜もって数日の間に命を落とすことがあり、奇跡的に命が助かったとしても慢性腎不全として一生病気と闘わなければいけません。
チューリップの花びらや葉っぱだけではなく、チューリップを入れていた花瓶の水などでも中毒症状を引き起こし、腎臓に障害を及ぼす恐れがあります。更に花びらや葉っぱを猫が食べていなくてもチューリップの花粉が猫の体に付着し、それを毛づくろいなどにより口に入ってしまうことでも急性腎不全を発症することもあります。
残念ながらチューリップを含めユリ科の植物による中毒に対する有効な解毒剤がなく、急性腎不全を少しでも軽減する点滴などによる治療となってしまうため、実際に猫が食べたかどうか分からない場合でもすぐに動物病院へ連れて来てください。
スズラン
白くて可愛らしいスズランは一見、毒がないように思えますが毒性を持つ植物であり人のみならず猫も中毒症状を引き起こします。
スズランの花びらや葉っぱまで毒性がありますが、特に花と根が危険でコンバラトキシンやコンバラマリン、コンバロシドなどの毒成分が含まれています。
致死量はわずか体重1kgあたり0.3mgと少なく、毒物で有名な青酸カリの約15倍の猛毒さを持っています。そのため、ほんの少しスズランを食べただけでも体が小さい猫にとっても嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こします。
スズランに含まれている毒成分は強心作用を持っており血圧低下や不整脈、心臓麻痺などを発症し最悪の場合は命を落とすこともあります。
ツツジ
古くから日本人に親しまれているツツジですが猫にとっては危険な植物です。ツツジにはグラヤノトキシンという毒成分が含まれており花びらや葉っぱ、蜜などツツジ全体に存在しているといわれています。有毒なグラヤノトキシンは神経や消化器、循環器などに障害を引き起こします。
猫の体重の約0.2%程のツツジを食べてしまうと下痢や嘔吐、流涎、食欲不振、脱力感などの中毒症状を起こします。最悪の場合は低血圧や不整脈、ケイレンや心肺停止、ショック状態に陥り死亡することもあります。
まとめ
サフランには香辛料としてよく知られているアヤメ科のサフランと、猛毒のユリ科のイヌサフランがあります。花の形状がよく似ており間違えてしまう可能性があります。間違えてしまうと最悪の場合亡くなってしまいます。猫のそばにはおかないようにする方が無難です。下痢や嘔吐などの消化器症状から知覚異常が起こり呼吸困難から亡くなることもあります。十分注意してください。
またサフランだけではなくユリやチューリップ、アジサイなど猫が食べてしまうと危険な植物はたくさんあり、ほんの少量口にしただけでも重度の中毒症状を発症し命を落とすことも少なくありません。
猫が食べた植物によりますがユリやチューリップといったように腎臓にダメージを受けたことにより、命が助かったとしても慢性腎不全として一生抱えて生きていかなければいけません。
猫がサフランやユリなどの危険な植物による中毒にならないために、これらの植物を一切部屋に置かないようにしましょう。万が一、猫が食べてしまったり食べた疑いがある場合は迷わず動物病院へ連れて行きましょう。
サフランには猛毒を持っているイヌサフランと香辛料として使用されるサフランがあります。非常によく似ていますので注意してください。
詳細は厚生労働省の「自然毒のプロファイル」を参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000058791.html