猫はトマトを食べても大丈夫?
猫にとってトマトは食べても問題ない野菜です。
トマトは水分量が多く、トマトから摂取できる栄養素は猫の健康に良いものがたくさんあり、消化器官の働きを助ける効果も期待できます。
しかし、猫の体質によっては食べると体調を崩してしまう子もいるため、全ての猫にとっていいものではないので注意が必要です。また、年齢が12ヶ月未満で体重が1kg未満の子猫の場合は、消化器官が未発達なのでトマトを与えないほうが無難です。
特にトマトは消化があまり良くない食べ物なので、与えるとしても少量のみにするようにしましょう。基本的には猫にとって問題のない野菜なので、与えてみて様子を見るようにしましょう。
それではトマトを与えた際の効果や与え方、食べた際の体調の変化について説明していきます。
トマトに含まれる栄養素
〈リコピン〉
トマトには、リコピンが多く含まれていることをご存知の方も多いかと思います。リコピンには抗酸化作用があります。
抗酸化作用とは、名前の通り体の酸化を抑えるということです。酸化してしまうとガンのリスクが上がり、老化が進行してしまう可能性もあります。
そのようなリスクを軽減させ、免疫力を高める効果がリコピンにはあり、人間と同じように猫にも良い効果が期待できます。
〈13-oxo-ODA〉
「13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸」こちらの栄養素は聞いたことがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2012年に京都大学の河田照雄教授らの研究グループが発見したもので、リノール酸の仲間で脂肪の燃焼作用をもつというものです。太りすぎにより発症してしまう高脂血症や脂肪肝などを改善する効果があります。
〈クエン酸〉
クエン酸は疲労回復や、生命維持活動に必要な栄養素なので猫の健康に良いものですが、クエン酸はトマトの酸味成分でもあるため、酸っぱさが気になると口にしない猫が多いと思います。そのため酸っぱさが気にならない与え方をする必要があります。
猫にトマトを食べさせる時の注意点
細かく切って皮を剥いて与える
トマトを与える時は消化しづらい薄い皮は丁寧に処理をしましょう。ミニトマトでも丸々与えるのは喉に詰まらせる恐れがあるため、必ず小さく切って与えるようにしてください。
上記で説明したリコピンは加熱すると猫が吸収しやすくなります。生のトマトは消化しづらいですし、酸味があると口にしない猫が多いため加熱して与えることによって消化しやすく酸味もやわらぎます。
トマトのヘタには要注意!
猫にトマトを与える時は、必ずヘタを取るようにしましょう。トマトのヘタには「トマチン」という、猫にとってかなり危険な成分が含まれています。
トマチンとは、害虫を寄せ付けない(忌避)成分で、トマト自身が赤く成熟するまで昆虫から身を守るために備えているといわれています。そのため赤く成熟する前のトマトにはトマチンが多く含まれています。
さらに、トマチンの中にはアルカロイドが含まれています。アルカロイドとは有機化合物の一種で、ジャガイモの芽に含まれるソラニンにも含まれています。
ジャガイモの芽に毒素があることは知っている方も多いかと思いますが、その毒素と同じ成分がトマトのヘタには多く含まれているため注意が必要となります。
体の小さい猫にとっては1つのヘタでも、摂取すると下痢や嘔吐、ひどくなるとめまい、ふらつきなどの神経症状が出たり、血液を溶かしてしまったりする作用もあります。
もしヘタを食べてしまった形跡がある場合は、すぐに医療機関に相談をしましょう。
未熟な青いトマトは与えない
また、成熟していない青いトマトの実にもトマチンが含まれるため、トマトはヘタの近くまでしっかり赤く成熟したものを選ぶようにしましょう。
家庭菜園でトマトを育てている方は特に、猫がヘタや成熟していない青いトマトを食べないように注意が必要です。
成熟したトマトでも、その猫の体質に合わなければ体調を崩してしまうことがあります。トマトの果実部分は猫にとって危険な食べ物ではありませんが、そもそも猫は肉食動物です。
人間と共同生活を送ることで雑食寄りに変化してきているとはいえ、猫のカラダは肉食動物としての構造をしているため、野菜や植物の消化が得意ではありません。
猫の消化能力には個体差がありますが、トマトに限らず初めて食べる食材を与える場合は、必ずごく少量から始めましょう。
そして、食後に下痢や嘔吐、体を痒がったり震えているなどの動作が見られる場合は、体質に合っていない可能性が高いので、すぐに与えるのはやめ、状況に応じて医療機関に相談をしましょう。
また、もしもの事を想定して最初に与える際は、すぐに医療機関へ相談ができる時間帯に与えるようにしてください。
猫に与えるトマトの量
トマトは少量であれば体に良いのですが、実にも多少のトマチンが含まれるためたくさんあげすぎるのは避けましょう。大きなトマトであれば16分の1程度、ミニトマトであれば1つを3日に一回くらいのペースで与えてください。
トマトには色々な品種がありますが、黄色やオレンジなどのものは赤い品種に比べてトマチンが多く入っています。人間には問題のない程度ですが、体の小さな猫にとっては多少のトマチンでも大きな違いです。
トマトを選ぶ際は黄色やオレンジなどの色は避け、赤い品種のものを選ぶと良いでしょう。
また、トマトの底に筋が入っているものや、表面に傷が付いているものはその傷から雑菌が繁殖している可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
猫におすすめのトマトの与え方
小さな鍋にトマトと浸かるくらいの水を入れ、しっかりと火を通しましょう。火が通ると皮が剥きやすくなるので、冷まして皮を剥き食べやすい大きさに切って与えてください。
トマトだけでは食べてくれない場合は、一緒に魚やササミを煮ると風味が出て酸味を和らげるので、スープのようにして与えても大丈夫です。
トマトをすりおろして煮ると魚やササミの風味が強くなり、喜んで飲む猫もいます。スープにすると水分補給にもなるため、水分をあまり取らない猫にとっては一石二鳥となります。
ただし、調味料は入れないことと魚に骨がないかしっかりと確認をして、魚やササミは食べやすいように小さくするようにしましょう。
まとめ
トマトは少量であれば猫にとって体に良い栄養分が豊富に含まれているので、与える量や調理方法を守るのであれば問題はありません。
しかし忘れてはいけないことは、良質なフードをしっかり食べている場合は、それ以外の食事は基本的に必要ないということです。
ほかの食べ物を与えることで、それまで食べていたフードを食べなくなることもあります。
特に好き嫌いの多い猫は、トマトを使った飼い主の手料理を気に入ってしまい、キャットフードを食べなくなってしまっては逆に体に良くないため、猫の性格を考えて与えるようにしましょう。
すでに食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時などは、少しでも食べられるものを探してあげるために試しに与えてみるのもいいのです。
健康な猫にとってはキャットフードで栄養をしっかり摂ることが大切なことなので、トマトはたまに与えるごちそうのような感覚で与えるようにしましょう。